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日本トムソン(6480) 24/3Q1決算メモ ポジティブからニュートラルに変更

24/3期は想定以上の半導体不振等で収益急降下し9.2%減収31.3%営利減予想は減額懸念

株価563円(8/15) 時価総額413億円 発行済株73501千株

PER(24/3DO予10.1X)PBR(0.54X)配当DO予19円  配当利回り:3.4%

 

・24/3Q1は12.9%減収44.4%営利減と半導体製造装置、チップマウンタ向け不振で低迷

・24/3期半導体製造装置等向け不振長引き9.2%減収31.3%営利減予想は減額懸念高まる

・25/3期半導体向け再拡大、EV含め一般機械向け設備投資も回復し収益回復期待

 

24/3Q1は12.9%減収44.4%営利減と半導体製造装置、チップマウンタ向け不振で低迷

 

 直線運動用軸受大手で半導体製造装置、電子部品実装装置向け等に強味。8/9に24/3Q1決算が行われ、同日説明資料が開示された。24/3Q1は売上高145.95億円(12.9%減)、営業利益10.41億円(44.4%減)、経常利益17.18億円(46.5%減)、税引利益12.09億円(43.5%減)、受注高108.50億円(39.2%減)、生産高131.57億円(12.1%減)と大幅悪化に。

 

 地域別で欧州を除き減収、日本は68.84億円(6.7%減)とマウンタ需要が減退、米国は20.15億円(5.6%減)と精密機械、医療機器向けが減退、中国も21.71億円(18.9%減)と全般に設備投資低迷で冷え込んだ。欧州は一般産業向けが堅調で円安もあり17.87億円(0.8%増)と微増に。

 

 業界別では直販分が71.78億円(12.0%減)で、エレクトロニクス向けが22.54億円(11.0%減)とマウンタ、半導体製造装置向けが低迷、工作機械向けも7.93億円(6.5%減)、一般機械向け35.01億円(6.1%減)と減少、但し輸送用は6.27億円(9.5%増)と自動車産業の生産回復が寄与しらとみられる。市販と輸出を加えた合計は74.17億円(12.2%減)と、海外向けの販売減、代理店などの在庫調整の影響が出ている。為替影響が0.96億円あったものの、減収影響で8.06億円、部材高など原価高0.52億円、諸経費増0.69億円などが影響、大幅減益に。

 

24/3期半導体製造装置等向け不振長引き9.2%減収31.3%営利減予想は減額懸念高まる

 

 24/3期会社予想に変更はなく、売上高620億円(9.2%減)、営利65億円(31.3%減)、経常利益67億円(36.1%減)、税引利益45億円(39.8%減)予想を据え置いた。半導体製造装置、電子部品実装機の減速継続、工作機械減速等で足元の受注が低迷、ユーザーの受注回復が年明けイメージで大幅収益低迷予想となっている。工作機器工業会の直動軸受の月次推移で見ても同月比減少率が下げ止まっておらず、会社想定より厳しい数字となっている。

 

 製品別では軸受等が539億円(12.4%減)予想に対し、機械部品81億円(20.5%増)と増収予想としている。機械部品はメカトロ製品の本格拡大で売上増を見込でいる。軸受等では超小型のリニアウェイ等を投入、さらに世界初の液晶潤滑剤を利用した「液晶潤滑リニアウェイ」なども用途開発が進め、売上が伸びない中でも高付加価値化で総利益率を維持する方針。但し足元Q1は機械部品も同期比8.3%減と減収に止まっており、残念ながら機械部品も新製品寄与でも売上微増が精一杯の状況と判断される。

 

 地域別予想では日本が301億円(6.4%減)、海外319億円(11.7%減)予想。中国が110億円(7.9%減)と新エネ関連堅調も全体は市況悪化。北米は82億円(8.9%減)と医用は堅調も他が低迷見通しとしている。こちらも中国の状況が想定を上回って厳しく、2ケタ減が避けられない見通し。

 

 利益面では営業利益減益分29.59億円に対し、減収影響で19.05億円、為替前提を1$=130円(5.47円円高)、為替益減少7.55億円を見込む。売上原価では値上げ効果などがプラストなり4.29億円改善効果を見込むが、人件費増、営業活動の活発化などで販管費が嵩み7.29億円の圧迫があるとしている。

 

 現状、Q1での上期予想に対する進捗率は売上で49.0%ながら、営業利益では38.6%に止まり、為替が想定より円安でプラス効果にも係わらず厳しい利益となっている。販管費もQ1では減収ながら3.7%増、販管費比率が4.2ポイントも悪化し26.0%に。現在、半導体生産、電子部品もスマホ、PC不振に加え家電製品なども低迷、全体収益はQ2でも改善が難しい状況。同業のTHK(THKは12月決算)が上期に増額修正した中で通期は逆に売上で7.1%、営業利益で43.6%減額修正を発表、下期だけをみると売上で14.0%減額、営利で74.3%減額しており、同社も年明けからの回復を見込んでも会社予想を下回ると見られる。

 

25/3期半導体向け再拡大、EV含め一般機械向け設備投資も回復し収益回復期待

 

 半導体関連の需要拡大から、2021年5月に作成した“中計2023”について、3カ年平均営業利益目標を平均45億円から平均70億円以上と大幅に上方修正した。しかし昨今の半導体生産、電子部品生産の低迷を受け、24/3期予想58億円で累計営業利益210億円は中計達成となるが、24/3期営利予想65億円は中計平均70億円に対し未達となる。しかも半導体、電子部品とも年明けからの回復を期待する状況で、今後営利減額修正が懸念され58億円を下回ると見られる。本格回復は25/3期上期にずれ込む見通しで、同社受注も本格回復は25/3期にずれ込もう。但し同社は今後の需要増に対応できる体制構築の計画は変えていない。国内工場及びベトナム、中国蘇州での生産体制を増強、24/3期は23/3期比倍増の50億円の設備投資は実行予定で、この面でも24/3期は利益の押し下げ要因となる。

 

 

 25/3期は遅れている半導体製造装置(協会販売予測で2023年は23%減、2024年30%増予測)、マウンタ向けなども受注回復から、下期には売上の急回復が見込める。加えて足元一服しているロボット関連では多関節化でクロスローラ軸受の拡大が期待され、医療機器向け等の拡大などで軸受事業は23/3期並みに回復が見込める。さらにメカトロ製品群も新製品群採用が本格寄与し拡大が見込まれる。全体として再度売上高700億円にチャレンジを期待する。

 

 

 足元、株価は23/3期会社予想EPS62.99円に対しPER8.9倍となっており、プライム機械平均PER16.6倍に対し割安で、減額修正のTHKの20.0倍、黒田精工の12.3倍に対しても割安感がある。但し今後収益の減額修正が懸念され、中計累計営利に届かない懸念もあるため、PERはそれなりに高まると見られる。減額修正懸念のためポジティブを変更、但し25/3期は収益が回復すると見られること、PBR0.54倍で下押しリスクは小さいとみられるためニュートラルに止まると考える。

 

 

 

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9月1に弊社主催の第1回半導体サミットinTOKYOが開催されます。

 

 

(H.Mirai) 

 

 

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