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日本アビオニクス(6946) 24/3Q1決算メモ  ポジティブ継続

24/3期情報システムの収益拡大で増収増益予想、25/3期防衛費増で中計目標の上振れ期待

株価(8/17)5310円   時価総額169億円   発行済株3191千株

PER(24/3DO予8.7X)PBR(1.4X) 配当(24/3予)30円  配当利回り:0.6%

 

要約

・24/3Q1は10.5%増収、営利2.75億円(8.6倍)と情報システムの寄与で大幅増益

・Q1が想定通りも24/3期12.6%増収、5.0%営利増予想は装備品利益率向上などで増額期待

・中計目標の25/3期売上高220億円、営利26億円は上振れ達成期待

 

 

 

24/3Q1は10.5%増収、営利2.75億円(8.6倍)と情報システムの寄与で大幅増益

 

 24/3Q1は売上高36.05億円(10.5%増)、営利2.75億円(8.6倍)、経常利益2.68億円(10.3倍)、税引利益1.28億円(1.91億円改善し黒字転換)、受注37.37億円(12.0%減)、受注残高107.26億円(6.7%減)と受注は一服も、収益の改善が進んだ。

 

 セグメント別では情報システムが売上高29.52億円(40.4%増)、営利4.90億円(4.56億円改善、14.4倍)、受注30.87億円(2.4%増)、受注残98.56億円(6.4%増)。防衛予算の増加を受け、受注が堅調、売上は主力の艦船搭載情報表示装置の大型受注残などの消化が進み大幅増収に。増収効果に加え人員再配置、QDC改善などプロセス改善が進み収益性改善の寄与も大きく、営業利益率が16.6%と15.0ポイントも改善、一気に収益獲得部門に変身した。なお受注残高は依然として増加している。

 

 一方、電子機器は売上高6.53億円(43.7%減)、営業損失2.14億円(2.13億円悪化し赤字拡大)、受注6.50億円(47.4%減)、受注残8.69億円(61.1%減)と厳しい。受注面では接合機器がスマホ・PCの不振、5G基地局投資の狭間などで低迷、赤外線機器もコロナ需要剥落が痛手。売上面は輸出が2.99億円(57.0%減)、国内3.54億円(23.5%減)と内外とも不振。主力の接合機器が売上高5.19億円(55.6%減)と落ち込み、特に中国1.26億円(49.0%減)、5G基地局向けの反動減が大きかった模様。また台湾が主力と見られるアジアが1.36億円(66.5%減)と水晶振動子向けなどがスマホ・PC等の低迷で大幅減に。なお国内向けは2.20億円(8%減)と落ち込みが小さかった模様。また国内中心トップシェアを持つ赤外線機器は1.33億円(40.9%減)とコロナ特需が剥落し大幅減に。利益面では減収影響が赤字拡大を余儀なくされた。

 

 全体として、Q1業績は会社想定通りに推移したとのことで、日本産業パートナーズ傘下のNAJHDによる経営により、特に赤字体質だった電子機器事業の収益改善が実ったことが大きい。

 

Q1が想定通りも24/3期12.6%増収、5.0%営利増予想は装備品利益率向上などで増額期待

 

 Q1決算が想定通りに推移したため24/3期会社予想に変更はなく、売上高200億円(12.6%増)、営利20.5億円(5.0%増)、経常利益20億円(3.9%増)、税引利益19億円(4.4%増)予想を据え置いた。

 

 部門別では情報システム140億円(13%増)、電子機器60億円(11%増)予想。防衛庁予算が6.8兆円、令和5年度予算は当初予算で10.5%増に。しかも新装備品購入及び研究開発分を合わせ2割を超え、現有装備品の維持割合も高める計画で、今後上乗せの可能性が十分ある。

 

 接合機器はスマホ、PCなどの低迷が長引く見通しも、EVバッテリー向け合金タブ溶接、モーター用コイル線接合(フュージング)、ハーネス向け銅・アルミ異種金属溶接などで増加が見込める。また低迷の続く水晶デバイス向けも、5G対応、車載搭載増加が見込まれる。サーモグラフィーは非発熱向けで、ネットワーク監視サーモカメラの拡大、加えて医用サーモカメラ発売も見込まれる。減少、水晶デバイスの生産も23年4月にボトムを付けたとみられ、水晶デバイスメーカーの設備投資も大きな減にはなっておらず、Q1ボトムに新製品寄与もあり受注の回復が見込める。

 

 利益面ではR&D6.5億円(33%増)、減価償却費3.5億円(59%増)などの増加を見込み、売上高営業利益率が0.75ポイント悪化し10.25%に低下予想。但し、防衛省が装備品調達で算定する利益率を最大15%にする仕組みを23年度から実施、平均8%を品質や納期に応じ最大10%の利益率に算定、原材料高騰など変動分として最大5%付与する方針。このため電子システムは受注増に加え、利益率のさらなる改善が見込まれ、収益上振れが期待される。一方接合機器は収益低迷からQ1ボトムも今期は厳しい状況が続こう。全体として情報システムの収益上振れ、電子機器の収益悪化を円安で一部カバー、全体として情報システムの上振れで売上は計画並み、利益は若干予想を上回ると見込まれる。

 

中計目標の25/3期売上高220億円、営利26億円は上振れ達成期待

 

 同社は中期経営目標として25/3期に売上高220億円、営利26億円を掲げている。中計策定当時は情報システム126億円(横ばい)、電子機器94億円(接合装置67億円、赤外センシング27億円と推定)として、電子機器の伸びを成長の中心としていた。しかし状況が大きく変化、特に防衛費の大幅な拡大政策を受け、情報システムを150億円に変更している。電子機器はこれを減額すると70億円となり、22/3期の80億円を下回る計画となる。これはスマホ・PCの低迷継続を念頭に置いたためと見られる。しかし電子機器については、特に接合装置において、同社が4つの接合機方式(抵抗溶接の応用としてシーム溶接含む)を持つ他社にない総合接合機メーカーという強味がある。特に同社が高いシェアを有するシーム溶接機は、水晶振動子の真空封止として利用される溶接機であるが、今後、5GスマホがSub6からミリ波対応の5Gスマホに本格移行する場合、「高速大容量」、「高信頼性、低遅延」、「多数同時接続」が必要要件で、スマホ搭載個数で4G対比2倍が想定される他、ミリ波対応でコアの基地局に対し10倍規模のスモールセル基地局が必要と言われ、しかも複数、広帯域の周波数、多数同時接続で多数必要になる。

 また水晶振動子は自動車の自動運転などの制御にタイミングデバイスとしての重要性が高まり、1台当たりの使用数量が10倍程度に膨らむ見通しもある。将来的には自動車向けで全固体電池を封入する場合も需要が期待される。さらにシーム溶接は光デバイスの封止にも利用され、今後、データセンタでの光コネクタでの利用も加わろう。25/3期には水晶デバイスの需要回復が見込まれ、再度水晶振動子の設備投資も高まるとみられ、光デバイスなど用途拡大も加わり、単価の高いシーム溶接機の需要増が期待される。インバータ式抵抗溶接機は溶接物を溶接電極で挟み込み加圧して電流を流し母材の抵抗発熱で溶接するが、2次電池のタブ溶接、EVモーターの端子溶接等での利用が期待される。

 また超音波金属溶接機は放熱対策で採用が増加しているベイバーチャンバの封止、アルミワイヤーハーネスと銅の異種金属接合など低い接合温度を必要とする需要の広がりが期待される。加えてFRP等と金属の異種素材の接合に対し、従来の接着剤やボルト等による機械的接合の代替として技術開発、小型情報機器や小型精密部品での熱可塑性CFRPと金属接合が可能で、今後、量産部品製造での採用もありえる。レーザー溶接は高い非接触接合で、金属ケースの気密封止を接着剤なしで接合でき、2次電池ケース等の接合に利用が見込まれる。いずれにしても、様々な需要家に対し最適な接合方式を提案できる強味を持ち、改めて25/3期は需要急回復が見込まれる。

 

 赤外サーモでは医用サーモカメラでは国内唯一の医療機器となるため、糖尿病や振動障害などの検査への活用が期待出来る。またネットワーク対応サーモカメラは多発する異常気象や自然災害に対し、変電設備、鉄道河川、ゴミ処理場の自然発火の検知などで利用拡大する見通しで、新分野での拡大が期待出来る。なおセンシング分野ではドローン搭載型サーモカメラを開発中で、橋梁や建物の老朽化などの遠隔点検も視野に建築基準法第12条に基づく定期調査報告制度にも適応する計画。このため電子機器も当初想定していた売上94億円は難しいにしても、25/3期70億円予想は多少上振れが見込まれる。

 

 

 情報システムは防衛費予算拡大に追従、整備計画に沿いターゲットを絞り事業拡大を目指す。既存事業でAI,VR、音声認識など高機能化を進め、防空ミサイル防衛などの需要を取り込む。さらに新規事業領域として、スタンドオフ防衛、無人アセット防衛など高性能なプラットフォームの提供も目指す。令和5年度防衛予算では将来の戦い方に直結するスタンド・オフ防衛能力などに集中投資する事となっており、研究開発費として前年度比3.1倍の8968億円を計上している。これらの事業はNEC子会社時代とは異なり、富士通や三菱電機などオールジャパンに対応できる体制となっており、防衛予算の増額から中期的に大口受注が期待される。

 

 

 中計目標の25/3期売上高220億円、営利26億円は、情報システムの更なる増額、電子機器は修正計画を多少上回る程度に止まるとみられるが、全体として上振れ達成が期待される。

 

 株価は24/3期会社予想EPS594円に対しPER9.0倍と、東証スタンダード電機平均PER12.9倍に対し割安感があるが、適正税率では11.3倍程度で割安感はなくなる。但し、今期営業利益は上場来連続最高額更新見通しのほか、防衛予算の積み増しから、25/3期は中計の上振れ達成、適正税率でみてPERの割安感がでてくるなどでポジティブ継続とする。

 

 

 9月1日(金)第1回 SEMICON(半導体)サミット in TOKYO

 

 

(H.Mirai)

 

 

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