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タツモ(6266) 23/12上期決算説明会メモ ニュートラル継続

23/1229.0%増収11.1%営利増予想は減額懸念も24/12期再度収益拡大、中計上振れ期待

株価2893円(8/23、前場) 時価総額429億円 発行済株14813千株

PER(DO予:21.5X)PBR(2.38X) 配当(予)21円  配当利回り:0.7%

 

要約

・23/12上期19.0%減収58.1%営利減44.2%受注減も検収遅れが主因、受注残19.7%増に

・23/12期受注残背景に会社予想29.0%増収11.1%営利増変更無しも遅延から収益減額懸念

・中計で25/12期に売上高406億円、経常利益50億円目標は上振れ期待

  

 

23/12上期19.0%減収58.1%営利減44.2%受注減も検収遅れが主因、受注残19.7%増に

 

 塗布技術を生かした半導体装置、液晶製造装置を軸に事業展開、最近はパワー半導体向けに収益伸ばす。8/10に上期発表、決算説明資会が8/22に開催された。

 

 23/12上期は売上高104.34億円(期初計画比31.76億円未達、19.0%減)、営業利益5.39億円(同6.48億円未達、58.1%減)、経常利益7.06億円(同4.64億円未達、59.0%減)、税引利益1.37億円(同6.63億円未達、89.0%減)と大幅未達となった。受注も92.69億円(44.2%減)となったものの、受注残は371.60億円(19.7%増)と前期末の386.85億円比では6.4%減となったが依然として膨れ上がった状況が続いている。

 

 半期セグメント別では主力のプロセス機器が売上78.57億円(計画比17.49億円未達、21.2%減)、営利7.03億円(同4.84億円未達、36.9%減)、受注高75.84億円(40.5%減)、受注残高293.12億円(8.3%増)に。収益性の高い半導体装置部門が売上高17.31億円(36.1%減)、受注35.49億円(27.8%減)、受注残高121.27億円(60.2%増)と、売上高はパワー半導体向けで仮貼合装置、支持体剥離装置、剥離層塗布装置など、セット販売などが有り、据え付けなどの検収の遅れが数件発生し売上が計画比大幅未達に。受注は大幅減も検収遅れでBBレシオが2.05、受注残が121.27億円(60.2%増)と積みあがった。搬送機器は売上高39.64億円(13.9%増)、受注30.28億円(40.6%減)、受注残50.82億円(11.2%減)と、売上面ではベトナム工場の能力増強効果で売上が順調に拡大、受注は半導体メーカーの設備投資抑制で大幅減も引合いは多く、計画通りの推移とのこと。洗浄装置は売上高16.40億円(33.4%増)、6.46億円(68.9%減)、受注残高76.49億円(13.4%減)とウエハーメーカー向け比率が高くSUMCO向け大型受注の納入が計画通りに進展、受注は大型受注の反動減となり、こちらも計画線とのこと。コーターはLCD大型が不振で、売上高5.20億円(79.6%減)、受注高3.12億円(52.9%減)、受注残高44.53億円(9.8%減)は想定通り厳しい。全体を通じ利益面で収益性の高い半導体装置部門の未達の影響が大きく、減益幅も拡大した。

 

 表面処理用機器は売上高18.07億円(計画比11.26億円未達、13.6%減)、営業損失1.39億円(同3.71億円未達、赤字転落)、受注10.52億円(65.3%減)、受注残高76.09億円(2.1倍)に。売上面では生産が順調に推移も、車載基板メーカー向け検収遅れが発生、受注残高が膨れ上がる結果となり売上減が大きく営業赤字に。なお受注も大幅減ながら、元々下期に車載向け受注が見込まれており、受注環境は悪くないとのこと。

 

 全体を通じ、半導体装置と表面処理用機器の検収遅れが数件発生したことが売上未達成の要因で、利益面では収益性の高い半導体装置の売上げ未達の影響が大きく、大幅な利益減に。

 

23/12期受注残背景に会社予想29.0%増収11.1%営利増変更なしも遅延から収益減額懸念

 

 23/12期会社予想に変更なく、売上高314.23億円(29.0%増)、営業利益31.18億円(11.1%増)、経常利益30.87億円(1.6%減)、税引利益21.00億円(6.8%減)を据え置いた。

 

 セグメント別売上予想も変更無く、プロセス機器が229.74億円(19.7%増)予想。中身は半導体製造装置82.22億円(37.1%増)、搬送機器74.53億円(4.4%増)、洗浄機44.12億円(54.0%増)、コーター28.85億円(9.7%減)予想。半導体装置はパワー半導体向けの貼合/剥離装置65億円(2.5倍)を見込む。塗布/現像装置は4億円(84%減)予想。また紫外線照射装置は6.5億円と新規売上げを見込む。洗浄機は前期受注のサムコ向けが寄与し大幅増予想。コーターではFPD向けが36.7%減も、ナノインプリント向け、パネルレベルパッケージでの売上を新規に見込み、FPD向けの大幅減を補い、売上減を最小限に止める計画。

 

 現状、売上未達は基本的に検収遅れが主因で有り、Q2においてもが受注残372億円あり同期比19.7%増、前期末比でも3.0%減と高水準で、今期売上予想比14ヶ月分の受注残高を抱えており、検収が進むにつれて会社計画に近づこう。但し足元受注がQ2で同期比半減、機種により納期の先送りで、これまでの四半期売上の上限から一部売上の未達が懸念され、会社計画を下回る売上に止まるとみられる。具体的にQ2での進捗率はプロセス機器が34.2%。内訳では半導体装置の進捗率が21.1%、洗浄機37.2%、コーターが18.0%であり、コーターは元々想定通り、洗浄もSUMCOの計画に遅れはない模様。表面処理も検収遅れながら生産は順調で計画達成は可能としている。但し半導体装置は四半期売上のピークを続けても通期で影響が残るとみられる。このため全体として売上の未達成が懸念される。なお利益面でもQ2においてプロセス機器は想定の73.2%の達成に止まり、通期予想に対しては進捗率25.7%に止まる。特に半導体装置の影響が出るとみられ、為替が想定より円安に推移しておりこの分はプラス要素も有るものの、通期では収益減額が懸念される。

 

中計で25/12期に売上高406億円、経常利益50億円目標は上振れ期待

 

 会社側では「TAZMO Vision2025」を策定、25/12期に売上高406億円、経常利益50億円達成を目標としている。内訳は半導体装置の増額が主で、22/12期の60億円に対し25/12期は127億円を見込む。中心は貼合/剥離装置で、22/12期の26億円に対し25/12期に75億円を目指す。この背景にはパワー半導体設備投資の伸長がある。パワー半導体は高電圧や高温に耐える必要から、ウエハ表面に絶縁層や金属層を貼合、剥離する必要があり、貼合/剥離装置は作業を精密かつ効率的に行うための装置。同社は高シェアを有し、パワー半導体の伸び率以上に加速が見込まれ、周辺装置を含めソリューションビジネスの拡大も見込める。現在、主要ユーザーのパワー半導体投資拡大に加え、中国、日本でも新工場建設が相次ぐ。現状、パワー半導体はシリコンパワー半導体向けが中心で、大口径化で300mmウエハ対応の設備投資がインフィニオン中心に活発な他、日本勢も漸く設備投資に乗り出している。シリコンパワー半導体では動作時のロスを少なくするためにオン抵抗を下げる必要性が高まり、縦型の構造を持つ半導体のため、抵抗値をさげるウエハの薄化が求められ、現在50μの薄さを要求される等で、従来よりも10工程ほど工程数が増えている模様で需要が加速している。またSiCを中心とする化合物パワー半導体向けも本格拡大している。化合物半導体はシリコンと比較し高硬度でしかも割れやすく、割れ防止や研削時間の長時間化などで必要性が高まっている。特にSiCデバイスで先行するSTマイクロンの設備投資拡大が続いている他、基板メーカーのウルフスピードやパワー半導体最大手のインフィニオン、日本のローム等も相次いで増強投資を行い市場が急成長している。なおウエハの大型化も進行中で、6インチ、8インチ兼用できる装置の需要が高まっている。現在はパワー半導体向けの10%程度が化合物向けとなっているが、SiC需要の拡大が年率30%以上とも言われ、構成比の高まりが続こう。また半導体装置ではHPCを中心にハイエンドパッケージング向けの需要も見込まれる。現状は半導体装置の2割程度を占めるが、台湾や中国からの引合いも多く、今後急速に構成比を高める可能性を秘めている。このような環境で、同装置の目標は十分達成可能とみられる。

 

 FPD中心に低迷しているコーターは、半導体製造向けにハイエンドサーバーで期待されるPLP対応スリットコーター装置を売上10億円程度見込む。同装置は極薄で均一な塗布を実現し、高品質なパッケージングを実現する装置。またナノインプラント装置も期待が大きい。従来不可能だった形状の製品を製造が可能でVR・ARデバイス搭載レンズやウェアラブルセンサーに活用、25/12期に30億円規模を見込む。

 

 全体として23/12期は半導体生産の不振でパワー半導体以外の不振で収益拡大一服も、24/12期は再度高成長に回帰、25/12期は中計予想を上回る収益が期待される。

 

 株価は23/12期会社予想EPS151円に対し8/22はPER15.9倍となっており、プライム機械平均PER17.4倍に対し若干割安となっていた。しかし決算説明会を受けQ2での収益進捗率が低いものの減額修正は織込み、8/23は8/4の2679円を上回り20年来の新値更新と跳ね上がっている。但し実際に減額修正が出た場合、PERが機械平均に近づくとみられるとみられ、当面、ニュートラル継続が望ましい。

 

 

 

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9月1に弊社主催の第1回半導体サミットinTOKYOが開催されます。

 

 

(H.Mirai)

 

 

 

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