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中国の金属需要、「国慶節前の駆け込み増」ならず アルミ高値も勢い鈍く、リチウム安い

 中国は2023年9月29日から10月8日まで、国慶節(10月1日)に伴う大型連休に入る。例年なら金属市場も休暇前の駆け込み需要で価格が上がる時期だが、今年はさえない展開が続く。建材となるアルミや銅が中国の不動産不況を背景にさえないほか、電気自動車(EV)バッテリー所用が見込まれるはずのリチウム価格も下落が続く。

 

■アルミと銅、「金九」が終わるにもかかわらず…

 

過去3年間の中国のアルミニウム価格の推移(RMB/ton)

 

 9月28日の上海先物取引所でアルミニウム価格は1トン=1万9390元と年初来高値を更新した。2022年6月以来の高値となる。しかし、3年スパンで見ると水準自体が低く、中国のアルミ関係者の間からは楽観的な声は聞かれない。

 中国メディアの新浪網は9月27日付の分析記事で、アルミニウムについて「9月、10月は『金九銀十』と呼ばれる不動産販売と建材需要のピーク期だが、今年は金九が終わるにもかかわらず盛り上がりは見られない」と指摘。「不動産市況の低迷で受注が予測を下回っている。大手は優位に立つことができているものの、中小型企業は苦しくなっている」との業界関係者の見方を伝えた上で、「長く続くアルミ価格の低迷で、特にリサイクル事業は収支が厳しい企業が多く、割に合わないとの見方から廃業や減産に踏み切る企業も出ているようだ」と報じた。

 

過去3年間の中国の銅価格の推移(RMB/ton)

 

 不動産価格の低迷が響いているのは銅相場も同じ。特に中国の銅相場は世界的な銅価格に影響し、「ドクター・コッパー」と呼ばれる世界的な景気の先行指標である銅相場につながっている。相場動向の大きな要因となっているのはアルミと同じく中国の不動産市況だが、こちらは陰鬱ムードが続く。足元では不動産大手の中国恒大集団の一段の経営悪化が伝わり、恒大株は9月28日の香港市場での取引を停止した。

 

 中国恒大集団による売買停止広告: Listed Company Information (hkexnews.hk)

 

 中国の不動産市場に不穏な空気が漂う中、往年の風物詩だった連休中のモデルルーム見学も、今年は盛り上がりが期待できそうもない。

 

■リチウムは在庫消化が進まず

 

過去3年間の炭酸リチウム価格の推移(99.5%China )(RMB/mt)

 

  一方、炭酸リチウム価格は9月27日に仲値1トン=17万2500元となり、4月に付けた年初来安値に並んだ。もしこの水準を割り込めば2021年秋以来の安値となる。

  リチウムの場合、2022年にEV需要を見込んだ買いが集まり、採掘も活発化して価格が高騰した反動安が続いている。9月11日の証券日報電子版によれば「バッテリーメーカーは既に十分なリチウム在庫を抱えており、調達を増やす理由に乏しい」という。当然、リチウムメーカーにも在庫は在り、在庫が掃き切れていないのが現状だ。

 

■やっぱり中国景気の持ち直しが処方箋

 リチウムに関しては「価格下落はEVメーカーにとっては原材料費の縮小につながる朗報」(9月27日の台湾の中国時報電子版)と、歓迎する声もある。ただ、9月には欧州連合(EU)が中国製EVに対する補助金調査を始めるなど、EV需要の先行きには不穏な空気も漂う。また、証券日報は「ナトリウムイオン電池や全固体電池の出現で、EV生産におけるリチウム需要は期待ほどではなくなっている」とも指摘する。何より、中国景気が減速すれば中国国内のEV販売が鈍ってくる可能性もある。

 結局、不動産、EVともに中国景気の持ち直しが金属価格にとっても最大の処方箋であることに変わりはない。しかし、現時点では中国のマクロ経済に本格回復の兆しは見えず、今年のピークは盛り上がらないまま終わりそうだ。

 

関連記事: リチウム市況⑪ 下落続き年初来安値に並ぶ――景気対策への反応が当面の焦点 | MIRU (iru-miru.com)

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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