ステンレス鋼材国内市場近況2023 #31 7月 冷間仕上げ鋼材生産・消費
2023年9月15日、鉄鋼連盟が発表した2023年7月の特殊鋼冷間仕上げ鋼材生産・消費によれば、ステンレス鋼冷間仕上げ鋼材におけるCr-Ni系生産量は前年同月比18.8 %減の24,804トン(前月24,709トン)、Cr-Ni-Mo系 は同7.5 %減 の1,935トン(前月1,442トン)と減少した。一方、Cr系生産量は同比1.4 %増の43,831トン(前月36,431トン)、その他系は同比37.8 %増の16,641トン(前月15,349トン)と増加した。前月比ではすべて増加した。
ステンレス鋼熱間圧延鋼材については、を参照ください。
ステンレス鋼材国内市場近況2023 #29 7月 熱間圧延鋼材生産・消費・在庫 | MIRU (iru-miru.com)
ステンレス鋼材国内市場近況2023 #30 7月 熱間圧延鋼材生産・消費・在庫(第2報) | MIRU (iru-miru.com)
なお、本記事の表及び図番号は、上記記事からの連番としている。
<冷間仕上げ鋼材>
2023年7月のステンレス鋼冷間仕上げ鋼材生産量計は、前年同月(8万7,955トン)比0.8 %減の8万7,211トン(前月7万7,931トン)となった。2か月ぶりに8万トンを超えた。
2022年度のステンレス冷間仕上げ鋼材生産量計は、2021年度(139万9,402トン)比 16.8 %減の116万4,826トンであった。月換算で、9万7,069トンとなる。2023年7月のステンレス鋼冷間仕上げ鋼材生産量計は、2022年度月換算を下回った。
2023暦年上半期(1月〜6月累計)のステンレス冷間仕上げ鋼材生産量計は、22暦年上半期(59万8,054トン)比14.9 %減の50万8,995トンとなった。
2023年度第1四半期(4月〜6月累計)のステンレス冷間仕上げ鋼材生産量計は、22年度第1四半期(29万2,205トン)比19.4 %減の23万5,412トンとなった。
表2に7月のステンレス鋼冷間仕上げ鋼材の鋼種別生産量を示す。
表2 ステンレス鋼冷間仕上げ鋼材(磨帯鋼・冷延広幅帯鋼・冷延鋼板)生産内訳(鋼種別)
図6には、ステンレス鋼冷間仕上げ鋼材の鋼種別生産量推移を示す。
図6 ステンレス鋼 冷間仕上げ鋼材生産量推移(経産省データ、2023年1月より鉄鋼連盟)
2023年7月のステンレス鋼冷間仕上げ鋼材生産量の鋼種別内訳では、
Cr系が43,831トン。前月2023年6月(36,431トン)比では20.3 %増、22 年同月(43,247トン)比でも1.4 %増と増加したが、21 年同月(55,405トン)比では20.9 %減となった。
コロナ禍で大きく生産量が減少した20年同月(29,863トン)比では、46.8 %増。
2022年度のCr系生産量は55.4万トンで、2021年度(63.0万トン)比で12.1%減となった。 月換算では4.6万トンとなり、7月の生産量は、月換算量を下回った。
2023暦年上半期(1月〜6月累計)Cr系冷間仕上げ鋼材生産量は、22暦年上半期(28万3,913トン)比12.9 %減の24万7,268トンとなった。
2023年度第1四半期(4月〜6月累計)Cr系冷間仕上げ鋼材生産量は、22年度同期(13万9,557トン)比17.6 %減の11万4,950トンと減少した。
Cr-Mo系、Cr-Mn系については実際には生産はあるが、生産企業が1社に絞りこまれることで具体的な生産量は公表されていない。
Cr-Ni系(304系)は24,804トン。前月2023年6月(24,709トン)比では0.4 %増と微増したが、前年同月(30,544トン)比18.8 %減、21年同月(34,297トン)比でも27.7 %減と共に減少した。
コロナ禍で大きく生産量が減少した20年同月(25,562トン)比でも、3.0 %減となった。
2022年度のCr-Ni系生産量は39.3万トンで、2021年度(43.7万トン)比で10.1%減となった。 月換算では3.3万トンとなり、7月の生産量は、月換算量を大きく下回る結果となった。
2023暦年上半期(1月〜6月累計)Cr-Ni系冷間仕上げ鋼材生産量は、22暦年上半期(20万2,706トン)比21.7 %減の15 万8,660トンとなった。
2023年度第1四半期(4月〜6月累計)Cr-Ni系冷間仕上げ鋼材生産量は、22年度同期(10万10トン)比29.1 %減の7万927トンとなった。
Cr-Ni-Mo系は1,935トン。本集計において初の1,500トンを下回った2023年6月(1,442トン)比では34.2 %増となった。前年同月(2,092トン)比7.5 %減、21年同月(2,075トン)比でも6.7 %減と減少し、前年同月比及び21年同月比ではともに、減少した。
コロナ禍で大きく生産量が減少した20年同月(1,939トン)並みとなった。
2022年度のCr-Ni-Mo系生産量は3.08万トンで、2021年度(3.03万トン)比で1.7 %増となった。 月換算では2.6千トンとなり、6月の生産量は、月換算量を下回った。
2023暦年上半期(1月〜6月累計)Cr-Ni-Mo系冷間仕上げ鋼材生産量は、22暦年上半期(1万3,471トン)比0.4 %増の1万3,530トンとなった。
2023年度第1四半期(4月〜6月累計)Cr-Ni-Mo系冷間仕上げ鋼材生産量は、22年度同期(6,406トン)比14.3 %減の5,491トンとなった。
その他は16,641トン。2023年6月(15,349トン)比では8.4 %増、前年同月(12,072トン)比でも37.8 %増、一方、21年同月(22,223トン)比では25.1 %減と減少した。
コロナ禍で大きく生産量が減少した20年同月(14,101トン)比では、18.1 %増であった。
2022年度のその他系生産量は18.7万トンで、2021年度(22.2万トン)比で15.8 %減となった。 月換算では1.56万トンとなり、7月の生産量は、月換算量を上回った。
2023暦年上半期(1月〜6月累計)その他系冷間仕上げ鋼材生産量は、22暦年上半期(9万7,964トン)比8.6 %減の8万9,517トンとなった。
2023年第1四半期(4月〜6月累計)その他系冷間仕上げ鋼材生産量は、22年度同期(4万6,232トン)比4.7 %減の4万4,044トンとなった。
(IRUNIVERSE tetsukoFY)
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