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オキサイド(6521)24/2Q2WEB決算説明会メモ ややポジティブからややネガティブへ

24/2期は52.5%増収11.4%営利減予想も、部材不具合、ライコス社リスクで減額懸念

株価(10/17)2724円   時価総額272億円   発行済株9988千株 

PER(DO予:100X)PBR(5.3X) 配当(24/2予)0円  配当利回り:-

 

要約

・24/2Q2は売上高19.64億円(27.5%増)、0.41億円営業損失は売上、利益とも計画比未達
・24/2期予想に変更なくRaicol社損益連結で52.5%増収11.4%営利減予想
・中計において26/2期に新領域の拡大で連結売上高136億円、営利16億円目指す

 

 

24/2Q2は売上高19.64億円(27.5%増)、0.41億円営業損失は売上、利益とも計画比未達

 

 単結晶及びレーザ光源・装置などを手掛ける研究開発型企業。24/2Q2決算が10/13に開示され10/16にWEB説明会が実施された。24/2Q2連結業績は売上高19.64億円(計画比2.19億円未達、前期は非連結で同期比27.5%増)、営業損失0.40億円(同1.3億円未達、同2.61億円減少し赤字転落)となった。基本的にQ2からRaicol社の損益が連結され大幅増収に。

 

 製品の市場別では、半導体事業が売上高7.73億円(計画比5.0億円未達、20.0%減)と一部部材の不具合の影響が残り減収に。なおQ1比24.0%減となっているが、これは23/2Q3に発生した部材の不具合による出荷遅延分がQ1に含まれていたため。Q2はQ1で対応した影響で良品部材在庫が大きく不足する状況に陥り、売上ができない状況となったとのこと。

 

 ヘルスケア事業は売上高5.97億円(計画比2.29億円増額、27.8%増)と、中国市場の低迷、顧客の在庫調整から持ち直した。なお7/6にエーザイのアルツハイマー型認知症の治療薬「レカネマブ」が米国FDAより正式承認され、日本でも9月に承認されたが、24/2期で同分野での売上規模はヘルスケア事業の売上高の10%程度(1.7億円強)と見込み、収益寄与はほとんど無く本格拡大は来期以降となる。ちなみに日本での薬価決定は12月下旬が目途としている。

 

 全体として売上、利益面とも半導体向けに不具合が生じた影響が大きく、計画未達に。なお設備投資が2.78億円(同期比0.4億円増)、減価償却費1.58億円(0.71億円増、81.6%増)、研究開発費2.39億円(0.57億円増、31.3%増)、24/2Q2末従業員394名(23/2期末比130名増)など、先行投資負担増も影響、これらの影響を除けば営業利益は黒字を維持している。

 

24/2期52.5%増収11.4%営利減予想に変更なく、半導体、ライコル社の減額で減額懸念

 

 24/2期会社予想に変更なく、子会社化したライコル社がQ2より収益が連結され、連結予想は売上高87.73億円(前期単独決算比52.5%増)、営利4.71億円(同12.3%減)、経常利益6.52億円(5.1%減)予想。なお連結に伴う追加費用4.76億円を除くと営業利益で9.47億円(76.4%増)と実質大幅営利増で営利最高益更新予想となっている。逆算して上期に収益未達成だったことから、下期の収益が期初計画を上回る予想となるが、現在、リスク要因が多く、多少無理がある。

 

 事業別に半導体事業が売上高44.90億円(期初計画比4.88億円減額、38.6%増)を見込む。部材の不具合の原因究明を行い物理的メカニズムが解明されたものの、改良製品がQ4で投入される見通しで、Q3を6.50億円(Q2比15.%減)、新製品対応でQ4を20.50億円と急増を見込む。現状、この予想では通期の会社予想が未達となる計算となるが、Q4では新規供給先分を加え、Q4計画を上回る可能性が残っており、全体計画を変更しなかったとのことで、実際には説明会資料の44.90億円が上限とみられる。

 

 ヘルスケア事業は17.21億円(期初計画比変更なし、2.9%減)を見込む。Q1でボトムを形成、Q2で回復したものの、販売先の仕向け先の2~3割が中国向けとのことで中国の不透明感から下期を慎重に見ている。

 

 新領域事業は売上高21.03億円(計画比0.3億円増、2.8倍)を見込む。ライコル社の子会社化でQ2より新規連結が含まれ、約15億円が相当し、これを除くと微増予想となる。分野としてはレーザ機器の開発に関連する案件が多いとみられる。なおライコス社についてはイスラエル・ハマスの紛争でイスラエル政府が30万人の軍人招集を実施、ライコス社でも現在までに15人が招集されたとのこと。ライコス社はガザ地区から80km、レバノン国境から110km地点にあり、現状、空爆やロケット弾などの被害は出ていない。10/9(火)から業務を再開、先週は70%の稼働率、今週はさらに稼働率改善を見込む。但し、今後の戦況如何では影響が出る懸念がある。なおライコス社の売上の5割強が防衛・宇宙・軍事に関連する事業で、足元の受注環境は世界的な緊張の高まりで引き合いが拡大しているとのこと。操業に影響が及ばなければ25/2期には特需による需要拡大もあり得る。

 

中計において26/2期に新領域の拡大で連結売上高136億円、営利16億円目指す

 

 同社は中期経営計画で26/2期に売上高136億円、営業利益16億円を目指す。事業別の売上開示はないが、半導体事業が倍増強、新領域5~6倍、ヘルスケア10%増のイメージ。

 

 新事業ではライコル社とのシナジー効果で、宇宙・防衛、美容、エネルギーなどの新事業、さらには量子分野など、10億円を超える事業創出を見込む。

 

 同社は事業拡大にあたり半導体事業におけるレーザの増産に対応する第4工場の第1期工事が3月に完了、9月には深紫外レーザのメンテナンスを開始している。同じ3月には第5工場も完成、第5工場ではNEDOグリーンイノベーション補助事業で取組んでいる新製法によるパワー半導体SiCの量産技術開発を進める。同事業のターゲットは8インチ大口径も、まずは6インチ対応を早期に量産化、特に高品質が要求されSiC市場の1割程度を占めると見られるP型SiCの量産化を急ぐ。

 

 

 この他、ScAlMgO4単結晶基板(以下、「SAM」)をテンプレートとして成長させたGaNで2インチのGaN単結晶を開発。高歩留まり且つ転位等の格子欠陥が少なく完全度の高い結晶で、青色LED、可視光レーザ、パワーデバイス用半導体材料として成長が期待される。

 

 

 また最近では高ビームで長寿命の紫外/深紫外フェムト秒レーザ分野でも新製品を開発、μLEDやOLED、フォトマスクのリペア、パワー半導体ウエハへのマーキング向けなどで需要が期待される。

 

 ヘルスケア分野では頭部PET用シンチレータ単結晶の売上拡大が期待される。24/2期は同部門の1割程度に過ぎないが、国内では12月にも薬価か決まる見通し。頭部PETは従来の全身PETと比較し小型のため、結晶の使用量は1/3程度で済む。PET装置自体の価格は従来の4000万円に対し1200~1300万円程度となるとみているが、結晶が小さくなるために加工度が高まり、単価としては高く設定できているとのこと。「レカネマブ」(抗Aβ抗体)の使用は脳内にAβの蓄積が確認されることが前提となり、その処方判断にアミロイドPET検査が用いられる。アミロイドPET検査ではまず、Aβに結合する放射性物質(診断薬)を静注し、その後、陽電子放射断層撮影装置(PET)で頭部を撮影、この脳画像を解析し、脳内Aβ蓄積量を評価する。現在頭部PETを保有する病院は60程度と少なく、今後、治療薬の普及で頭部PET検査装置の拡大で大きな需要が期待され、将来的にがん診断用を抜く規模も見込める。

 

 新領域ではRaicol社の寄与が大きいが、その他では通信分野として長距離量子通信機器の実用化に向けた製品開発も注目される。同分野は横浜国立大学スタートアップ企業LQUOM 株式会社へ出資、長距離量子通信機器の実用化に向けた研究開発を目的に資本業務提携を締結、既にR&D向けに金額は小さいが納入されている。今後、長距離量子通信構成機器である量子もつれ光源、量子中継器およびこれらを統合した通信システムの構築で、LQUOMに対し高品質波長変換素子、量子中継器用高品質光学単結晶、高機能波長変換導波路素子の供給を行う。同分野は6Gを睨み、潜在市場は大きく中長期的に大きなインパクトが期待される。

 

 全体として25/2期には結晶部材の不具合の解消、2調達先対応も実行し先端半導体向けの需要再加速が見込め、イスラエル・ハマス問題が限定的に収まる前提で中計予想に近い売上、利益は多少下回るまでの回復が見込める。なおM&Aや業務提携などのシナジー効果などが加わり、26/2期の会社想定の中期目標達成が可能とみられる。

 

 株価は10/13の24/2H1が計画未達で、半導体の部材不具合継続、さらにはイスラエル・ハマス問題で新連結となったライコル社のリスクなどを懸念、10/13には前日比417円安の2678円と年初来安値となった。現在、24/2期予想を変更しおらず、会社予想EPS43.09円に対しPER63.2倍と、東証グロース電機平均PER63倍と同水準にある。しかし今後、減額修正が懸念される中で、PERは割高となる見通しの他、イスラエル・ハマス紛争が長引けば不透明感がさらに継続することとなる。中長期的ポテンシャルは非常に高いものがあるものの、減額修正が発表され、悪材料出尽くし感がでるまでは、従来のややポジティブからややネガティブに変更せざるを得ないと思われる。         

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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