ステンレス鋼材国内市場近況2023 #35 8月 熱間圧延鋼材生産・消費・在庫(第2報)
2023年10月16日、鉄鋼連盟が2023年8月の特殊鋼熱間圧延鋼材・生産・消費・在庫内訳を発表した。
8月の熱間圧延鋼材Cr系生産量は前年同月(90,311トン)比25.2 %減の67,572トン(前月73,855トン)、Cr-Ni系(304系)は同(83,647トン)比 32.6 %減の56,398トン(前月59,397 トン)、Cr-Ni-Mo系 は同(25,612トン)比42.5 %減 の14,727トン(前月15,313トン)、その他系は同(22,733トン)比17.2 %減の18,824トン(前月19,034トン)と全品種、前年同月比で減少した。前月比でも減少。
第1報は下記を参照ください。
ステンレス鋼材国内市場近況2023 #34 8月 熱間圧延鋼材生産・消費・在庫 | MIRU (iru-miru.com)
なお、以降の図番号は、上記からの連番としている。
<鋼種別熱間圧延鋼材>
ステンレス鋼(熱間圧延鋼材)鋼種別(Cr系、Cr-Ni系、Cr-Ni-Mo系及びその他系)生産量推移を図2に示す。月率換算を右軸に示す。その他系にはCr-Mo及びCr-Mnが含まれる。
折れ線グラフ:月換算(右軸)
図2 ステンレス鋼(熱間圧延鋼材)鋼種別生産量推移 (経産省統計、2023年1月より鉄鋼連盟統計)
2023年度8月のステンレス鋼(熱間圧延鋼材)生産量の鋼種別内訳では
Cr系が67,572トン、前月2023年7月(73,855トン)比で8.5 %減、[22年同月(90,311トン)比25.2 %減、21年同月(93,366トン)比27.6 %減、20年同月(48,359トン)比では39.7 %増]と、前月比、前年同月比及び21年同月比ではともに減少した。
8月の生産量は、2022暦年の月換算量7.9万トン、2022年度の月換算7.7万トンを共に下回った。
Cr-Mo系、Cr-Mn系については実際には生産はあるが、生産企業が1社に絞りこまれることで具体的な生産量は公表されていない。
Cr-Ni系(304系)は56,398トン、2023年7月(59,397トン)比で5.0 %減[前年同月(83,647トン)比32.6 %減、21年同月(79,688トン)比では29.2 %減、20年同月(56,135トン)比では0.5 %増]と、前月比、前年同月比及び21年同月比ではともに減少した。
8月の生産量は、2022暦年のCr-Ni系(304系)生産月換算量7.6万トン、2022年度の月換算量7.0万トンを共に下回った。
Cr-Ni-Mo系は14,727トン、2023年7月(15,313トン)比で3.8 %減[前年同月(25,612トン)比42.5 %減、21年同月(27,987トン)比47.4 %減、20年同月(21,794トン)比では32.4 %減]と、前月比、前年同月比、21年同月比及び20年同月比ともに、減少した。
8月の生産量は、2022暦年のCr-Ni-Mo系生産月換算量2.7万トン、2022年度の月換算量2.5万トンを共に下回った。
その他は18,824トン、2023年7月(19,034トン)比で1.1 %減[前年同月(22,733トン)比17.2 %減、21年同月(28,398トン)比33.7 %減、20年同月(17,467トン)比では7.9 %増]と、前月比、前年同月比及び21年同月比ではともに減少した。
8月の生産量は、2022暦年のその他生産月換算量2.1万トン、2022年度月換算量2.0万トンを共に下回った。
<2018年1月~2023年8月 鋼種別生産量推移>
図3には、平成30年1月~2023年8までのステンレス鋼熱間圧延鋼材品種別月別生産量の推移を示す。
図3 ステンレス鋼(熱間圧延鋼材)鋼種別生産量 月別推移(経産省統計、2023年1月より鉄鋼連盟統計)
2023暦年上半期(1-6月期)のステンレス鋼の鋼種別生産量は、2022暦年上半期に比べて減少傾向を示した。Cr系は11 %減、Cr-Ni系は25.2 %減、Cr-Ni-Mo系は28.1 %減、及びその他系は13.1%減となった。総合計では18.7 %減。
<2019年2月~2023年8月 鋼種別生産量推移>
図4には、ステンレス鋼 熱間圧延鋼材の生産量と在庫量の推移を示す。
図4 ステンレス鋼 熱間圧延鋼材(生産・在庫)(経産省データ、2023年1月より鉄鋼連盟)
各鋼材の生産量は棒グラフ、在庫量及び生産量の小計は折れ線グラフで示す。生産量の小計は、2021年(令和3年)8月までは緩やかに上昇傾向を示したが、2022年(令和4年)に入ってからは5月、6月、10月、11月は、20万トン台を僅かに下回ったが、20万トン台で推移。2023年に入ってからは16万トン台で推移し、7月は17万トンを超えたが、8月は、16万トンを下回った。
一方、小計の在庫量は微増傾向を維持していたが、2023年5月からは13万トンを下回って推移。2023年8月末在庫量は前月から13,124トン減少して11万5,344トンとなった。前年同月(15万6,782トン)比では26.4 %減となった。
図5に鋼種別生産及び在庫量の推移を示す。
図5 Cr系、Cr-Ni系及びCr-Ni-Mo系(熱間圧延鋼材)の生産及び在庫量推移
Cr系の2023年8月末在庫量は前月から7,334トン減少して3万6,142トンとなった。前年同月(4万8,473トン)比では25.4 %減となる。
Cr-Ni系の2023年8月末在庫量は前月から3,640トン減少して4万8,786トンとなった。前年同月(7万4,376トン)比では34.4 %減となる。
Cr-Ni-Mo系の2023年8月末在庫量は前月から21トン増加して1万8,119トンとなった。前年同月(2万1,252トン)比では14.7 %減となる。
2023年5月より、生産量を在庫量が上回って推移している。
その他系の2023年8月末在庫量は前月から2,171トン減少して1万2,297トンとなった。前年同月(1万2,681トン)比では3.0 %減となる。
(IRUNIVERSE tetsukoFY)
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