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アドテックプラズマテクノロジー(6668) 23/8期WEB決算メモ ポジティブ継続

23/8期1.3%増収17.8%営利減、24/8期2.4%増収8.1%営利増予想、25/8期再度最高益へ

株価(10/20)1474円     時価総額126億円   発行済株8,586千株

PER(DO24/8期予:7.0X) PBR(1.16X)配当予20円 配当利回り1.4%

 

要約

・23/8期1.3%増収ながら17.8%営利減、受注45.5%減と半導体製造装置向け不振が直撃

・24/8期2.4%増収8.1%営利増予想と半導体製造装置向け受注回復遅れ収益回復も下期に

・25/8期は半導体事業で増設効果が本格寄与、光学薄膜向けも寄与し再度最高益更新期待

 

 

23/8期1.3%増収ながら17.8%営利減、受注45.5%減と半導体製造装置向け不振が直撃

 

 23/8期決算が10/13に発表され、10/19にWEB説明会が開催された。23/8期は売上高124.98億円(4/14減額修正予想比0.98億円増額、1.3%増)、営業利益22.47億円(同3.47億円増額、17.8%減)、経常利益22.93億円(5.93億円増額、24.8%減)、税引利益16.78億円(4.78億円増額、22.8%減)と円安も寄与し、増額着地した。但し受注環境は厳しく受注高が98.79億円(45.5%減)となり、受注残高が76.92億円(25.4%減)となった。

 

 半導体・液晶関連事業が売上高114.97億円(1.0%増)、営業利益21.95億円(16.3%減)、受注高85.70億円(50.2%減)、受注残高66.96億円(30.4%減)、生産高62.03億円(6.0%減)に。顧客所在地別売上では最大手ユーザーのASM向け(シンガポール)が15.37億円(6.1%減)、AMATを中心とする米国向けが14.74億円(14.2%減)となった一方で、中国17.19億円(91.4%増)が補い微増収を確保した。但し利益面では資材高、確保している受注対応のためコスト高、MIX悪化などで総利益率が悪化し営利減に。

 

 IDX部門は売上高10.01億円(5.3%増)、営利0.04億円(89.4%減)、受注13.08億円(38.3%増)、受注残9.95億円(44.6%増)と、シリコンウエハ引上用装置向け電源など一般産業向け拡大も、研究所、大学関連が不振で利益は低迷。

 

 四半期半導体・液晶関連事業推移ではQ4が売上高29.59億円(同期比4.4%減、Q3比5.2%減)、営利6.24億円(同13.2%減、Q3比9.0%減)、受注17.40億円(同67.4%減、Q3比7.4%減)、となっている。但しQ3受注13.80億円の中には中国向けのPV用が含まれており、これを除くと四半期では14億円~17.4億円の範囲で推移している。なお受注残66.96億円(同期比30.5%減、Q3比15.4%減)と同期比30.5%減ながら、部材確保が正常化してきた中で、受注残高としては適正水準に漸く回帰した状況にある。

 

24/8期2.4%増収8.1%営利増予想と半導体製造装置向け受注回復遅れ収益回復も下期に

 

 24/8期会社予想は売上高128億円(2.4%増)、営利24.30億円(8.1%増)、経常利益23.30億円(1.6%増)、税引利益17.00億円(1.3%増)予想と、半導体製造装置向け受注回復が遅れ、緩やかな収益回復を見込む。

 

 なお半導体製造装置向け受注の回復が下期となる判断で、上期は同期比4.6%減収、7.4%営利減、下期を同期比28.6%増収、19.3%営利増、24/8上期比28.6%増収79.3%営利増を見込む。メモリ関連は2024年上期底這い、下期に急回復、ロジックは24年上期にやや上向き、下期に拡大、車載半導体は好調継続も市場規模が小さくインパクトは小さいとのこと。光学系は23年下期ほぼ需要が枯渇状況で、受注残も払底状況も、24年上期は新製品向け受注が見込まれ、24年下期はiPhoneの新モデル向けにスパッタ、蒸着向けが急拡大見通しとした。

 

 現状、同社決算期が8月であり、半導体製造装置メーカー各社の収益状況から、同社収益は会社想定通り上期が低迷継続、下期に大幅回復が見込まれる。なお半導体事業で地域別売上推移では引き続き中国向けの拡大を見込んでいる。特に急成長している中国最大の半導体製造装置会社NAURA(20/12期売上60億元、21/12期が96.8億元、22/12期は147億元、約3000億円)向けを含め、中国ローカルの40社程度から引き合いが来ており、財務内容を精査し10社程度と取引の可能性があるなど、中国向けの拡大などが下支えするとみられる。全体として為替が円安で推移しており、会社計画に対し多少円安メリットから利益の上乗せが期待される。

 

25/8期は半導体事業で増設効果が本格寄与、光学薄膜向けも寄与し再度最高益更新期待

 

 25/8期は2023年7月末に建物の引き渡しが完了したベトナム第2工場の本格稼働が始まる。現状、8月現在のグループ生産能力はベトナムの950台を含め1330台となっており、稼働率は55%にとどまる。ベトナムの第2工場の建屋面積は15957㎡あり、ベトナムでの生産設備を揃えるとグループ全体で2000台の生産能力があるとしている。

 

 半導体事業はALD最大手のASM向けの拡大に加え、ロジックではTSMCの熊本工場などの設備投資本格化もあり、ロジック向けも24/8下期より急回復が見込まれる。また遅延しているメモリ向け投資もマイクロンが北広島を含め国内で5000億円投資を実施、2026年先端メモリ量産予定で日本政府が最大1920億円の補助を行うことを決めるなど、25/8上期にはエッチング装置向け、CVD装置向けが本格拡大しよう。さらに金額は小さいもののパワー半導体製造装置向けも国内設備投資が相次ぐことから堅調な受注拡大が見込まれる。加えて光学薄膜向けがARやVR向けなど、いわゆるメタバース向けに光学薄膜製造装置向けが本格拡大すると見られ、特にアップルのVR/AR「VisionPro」などが起爆剤となれば継続的に光学薄膜向けの拡大が見込める。またIDXについては政府の研究開発投資に対する支援策の拡大から研究所向け超高圧電源需要の回復が見込まれる。加えて民生用に直流バイオポーラ電源の品揃えを強化しているが、開発中の1000V、75A、30kW製品について引合いが増加、24年2月には製品投入、24年4月以降量産する計画であるなど、バイポーラ電源量産の寄与も加わり、収益の本格回復が期待される。

 

 全体を通じ、先端半導体製造装置向けの拡大に加え、次世代光学薄膜製造装置向け、さらにはIDXも収益回復が進み、25/8期には再度最高益更新が期待される。

 

 株価は足元の収益悪化を受けてさえない動きで終始している。24/8期会社予想EPS 198.06円に対しPER7.7倍は東証スタンダード電機平均PER12.0倍に対し割安感がある。但し高周波電源国内最大手のダイヘンの8.54倍、京三製作所8.43倍と似通った水準で、いずれも半導体製造装置の足元の受注状況の悪さで低いPER水準にある。現状、受注は底這いも底割れとはなっておらず、売上だけ見ると過去最高額更新を続けており、今後、下期にかけて受注の急回復が見込まれ、25/8期は投資負担増の一巡、生産能力拡大の恩恵を受けて再度最高益更新が見込まれることから、ポジティブ継続としたい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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