ゲルマニウム輸入Report#48塊粉くず 2023年9月中国からの輸入減
日本のゲルマニウム塊粉くずの輸入は、中国の規制強化の影響がジワリと現れてきたようだ。2023年9月の輸入量は、100キロを下回った。中国からの輸入が減ったことによる。ただ、中国以上に、米国からの輸入が大きく減っており、今後の影響を注意したい。
【1】ゲルマニウム塊・粉・くずなどの輸入概況
財務省貿易統計データによると、2023年9月の日本のゲルマニウム塊・粉・くずなどの輸入量は94キロだった。5月以来の100キロ割れとなり、前年同月比64.3%減少となった。3か月ぶりにマイナスに転じた。
9月の同輸入平均単価は、キロあたり17万8千円、前月より1万3千円安だった。引き続き2015年以来の高値圏にある。
2023年1-9月の同累計輸入量は3,569キロ、前年比72.2%増加した。既にほぼ昨年の年間輸入量に到達している。
【2】ゲルマニウム塊・粉・くずなどの輸入先
2023年に入って今回9月までの日本のゲルマニウム塊・粉・くずの輸入量が昨年を上回っているのは、中国と米国からの輸入が増えたことが大きい。中国からの輸入量は、昨年より1割増加ベースで推移していた。米国からの輸入量は昨年の2倍以上の増加ペースだった。
中国が8月以降、ガリウムとゲルマニウムの取引に制限を加えると事前に通知していた。その通知が5月、6月と少なかったが、7月に中国から大量の輸入があり、その月は、ゲルマニウム塊・粉・くずの輸入量が700キロを超えた。
中国からの同輸入平均単価は、他の原材料と同様に2021年以降、上昇基調にあった。ただ、昨年終盤から急落し、そのまま2023年に入っても下落していた。ただ、年度が変わるあたりから再び上昇に転じている。5月、6月は中国からの同輸入量が少なかったから、あまり参考にならないが、7月8月を見ても、単価が再び大きく上昇したことが伺える。
中国が規制強化したため、多くのメディアは中国からの輸入だけに注目している。ただ、米国から日本への輸入も大きく減っている。今回9月の米国からの輸入が無く、これは昨年7月以来のことだった。米国もゲルマニウムを中国に依存している。米国からの減少の方が、中国からの輸入減少よりも影響が大きくなるかも知れない。引き続き注目したい。
2023年9月のゲルマニウム塊粉くずの主要な輸入先と輸入量と、キロあたりの輸入平均単価は以下の通りである。
中国 94キロ17万8千円
【3】ゲルマニウム塊・粉・くずなどの輸入税関
2023年9月のゲルマニウム塊粉くずの主な輸入税関と輸入量、輸入平均単価は以下の通りである。
成田 94キロ17万8千円
※記事内のグラフ・図表は、MIRU.comにて作成
(K.AKIYAMA)
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