金価格、「サンタクロース・ラリー」開始か 国内外ともに過去最高値を更新
金相場の勢いが増している。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で金先物価格は12月1日に一時1トロイオンス=2095.70ドルと2020年8月以来3年4ヶ月ぶりに過去最高値を更新した。長引く地政学的リスクの高まりや米利上げの終了観測で金の需要が続いている。
■NY金は3年4か月ぶり、国内金は2日ぶりにそれぞれ高値更新
過去3か月間のNY金価格の推移($/toz)
金相場は日本国内価格も過去最高値を更新中だ。田中貴金属工業の日次データで、金の買い取り価格は12月1日に前日比40円高の1グラム=1万719円と2日ぶりに過去最高値を更新した。miruのデータでも国内金(山元建値)は12月1日に心理的節目の9700円を超え、1グラム=9701円を付けた。
過去3か月間の国内金価格の推移(山元建値)(JPY/g)
■複合要因で年末まで上昇か
金相場の上昇には複数の要因が絡み合う。まず、ロシアのウクライナ侵攻に加え、イスラエルがガザ地区への攻撃を再開するなど、地政学的リスクの高まりが長引いていることが要因にある。加えて、世界的にインフレ傾向が落ち着く中、米国の政策金利引き上げが終了局面に入ったとの見方が広がり、金利による儲けが期待できない米ドルから金に資金が流れ始めている。ロイター通信は12月1日、先物トレーダーの話として「金はサンタクロース・ラリーを始めており、上昇は年末まで続く」との見方を伝えた。
さらに中期的要因として、米国が中東情勢などで仲裁に失敗し国家的権威の発露が難しくなる中、新興国の中央銀行がドル資産の保有分を金保有に切り替えているとの指摘が聞かれる。
日本国内の金相場は、こうした国際価格の上昇に加え、対米ドルで円安が低迷しているため輸入品としての金の価格を押し上げている面もある。
(IR Universe Kure)
関連記事
- 2025/06/16 東邦亜鉛、豪Abra社の株式を譲渡――資源事業からの撤退完了
- 2025/06/12 貴金属PGM市場近況2025#6 先行き不透明感高まるなか金銀の高値更新は続く
- 2025/06/12 JEITA新会長就任会見 日本のものづくりに DXのソフトウェア開発強みに
- 2025/06/11 軽自動車含めた中古車販売 2025年5月 中古車全般販売伸び悩み
- 2025/06/10 三井金属、社長らが報酬自主返納――子会社の検査を巡る不適切行為で
- 2025/06/10 USAリサイクラーズファイルその3 GLOBAL REFINING GROUP WEST、ELGapelam、TRIPLE M METAL、ACEROS AZA S.A
- 2025/06/10 プラチナ国際価格が4年ぶり高値 供給ひっ迫懸念、金以外の貴金属物色続く
- 2025/06/09 ペルー、「ナスカの地上絵」付近での採掘拡大「無効」に 世界遺産保護を優先
- 2025/06/06 E-SCRAP市況近況2025#2 市場に映る世界情勢――金価格高騰などで低品位大量処理に勢い
- 2025/06/06 NY銀価格が13年ぶり高値 金への出遅れ感で、25年は1億1700万オンスの供給不足に