銅板輸出Report #52 中国向け以外の輸出減少強まる
日本からの銅板の輸出は、3年ぶりに減少している。2023年前半は中国向けの減少が影響したが、ここに来て中国向け以外の輸出減少が目立ってきた。また輸出平均単価がキロ1万円を大きく上回っている門司からの輸出量が増えていたが、10月に大きく減少した。
【1】日本からの銅板輸出概況
財務省の貿易統計によると、2023年10月の日本からの銅板輸出量は458トンだった。゛前年同月比25.8%増加し、2か月続けてのプラスとなった。1年前には同輸出量が毎月のように減少していたが、2023年後半は増加基調で推移している。
10月の銅板輸出平均単価は、キロ当たり3,753円、前月より42円安だった。昨年前半の高騰から一転して後半に大幅下落していた。2023年に入って前半再び上昇していたが、このところ上昇一服している。
2023年1-10月の同輸出量の累計は4,402トン、前年比13.3%減少した。昨年、一昨年の同累計を下回っている。それでも過去10年を遡って見ると、同累計が4千トンを超えているのは、比較的多い輸出量の証である。
【2】銅板輸出先
銅板の輸出は、昨年からの輸出量減少をけん引したのが中国向けだった。ただ、中国向けは、2023年に入って早々に一時的に輸出量を増えてきた。この年初の増加の動きは、中国向けで同じ伸銅品の銅箔や銅条の輸出と比べても大きく異なる点である。それでも2023年の中国向けの銅板の輸出が昨年よりも少ない。
一方、中国向け以外の銅板の輸出は、2023年の年初が前年よりも輸出量を増やしている。ただ、その中国向け以外の銅板の輸出量は、期が変わった4月以降、輸出量が減少気味に転じてきた。
2023年10月の日本からの主要な銅板輸出先と輸出量、キロあたりの輸出平均単価と前月との単価差は以下の通りである。
韓国 32トン 7,410円(1,160円安)
中国 246トン 1,367円(35円高)
台湾 56トン 8,603円(3,194円高)
ベトナム 12トン1万1,982円(1万331円高)
マレーシア 53トン 1,895円(17円安)
フィリピン 12トン 3,937円(572円高)
インド 21トン 1,643円(前月輸出無し)
米国 22トン1万 911円(352円高)
【3】銅板輸出税関
前回も報告したが、成田からの輸出量が大きく減り、反対に門司からの輸出量が増えている。この2税関は、2023年1-10月の輸出量累計で見ても、全体の10%と4%と比較的少ない。それでもこの2税関に注目しているのは、単価がキロ1万円を大きく上回り、べら棒に高いためである。
両税関は高いだけでなく、単価が近く、成田からの同輸出が急速に減少した時に門司からの輸出が急増した。ただ、今回10月は、門司からの輸出が前月までと比べて大きく減っている。
2023年10月の主な同輸出税関と、輸出量と輸出平均単価は以下の通りである。
東京 40トン1万 798円
成田 34トン1万7,811円
横浜 247トン 1,444円
神戸 10トン 2,041円
大阪 58トン 1,683円
清水 50トン 1,888円
門司 4トン1万5,620円
※記事内のグラフ・図表は、MIRU.comにて作成
(K.AKIYAMA)
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