シーメンスとインテルはバリューチェーンのスコープ1～3における半導体製造の生産効率と持続可能性の向上に向けて協業する。半導体は世界経済のみならず、サステナブルなソリューションを可能にし、各国の二酸化炭素排出量削減にとっても極めて重要になる。インテルとシーメンス、それぞれが持つ最先端IoTソリューションの製品ラインナップを、シーメンスのオートメーションを活用し、半導体製造の効率性と持続可能性を高め拡充を図る。

 

　リーディングテクノロジーカンパニーであるシーメンスAGと、世界最大級の半導体企業であるインテルコーポレーションは、今回、覚書（MoU）を締結し、マイクロエレクトロニクス製造のデジタル化と持続可能性の推進に向けて互いに協力することとした。両社は今後、将来の製造に向けた取り組みの推進、工場運営とサイバーセキュリティの進化、および強靭なグローバル産業エコシステムのサポートに注力する。

 

 

　シーメンスAGのセドリック・ナイケ取締役兼デジタルインダストリーズCEOは、「半導体は現代経済の生命線です。半導体チップなしで動くものはほとんどありません。そのため、インテルと協力し、半導体生産を迅速に発展させることができることを誇りに思います。シーメンスは、IoTに対応したハードウェアやソフトウェア、および電気機器の最先端製品ラインのすべてをこの協業に投入します。両社の協業は、グローバルな持続可能性目標の達成に貢献するものです」と述べている。

 

　今回のMoUは、さまざまな活動内容の可能性を探るにあたり、その主要な協業分野を特定するもの。この分野の中には、エネルギーマネジメントの最適化や、バリューチェーン全体における二酸化炭素排出量への対処などがある。例えば、この協業で、複雑で膨大な初期投資が必要とされるような製造施設において「デジタル・ツイン」を活用してソリューションを標準化する可能性を探る。このような施設では、1パーセント効率を上げるだけでも大きな意義がある。

 

　また、バリューチェーン全体にわたる天然資源や環境に対するフットプリント（製品や企業活動が環境に与えている負荷を評価するための指標）の高度なモデリングを通じて、エネルギー使用最小化の可能性を検討する。インテルは、製品関連の排出量に関するより詳細な情報を得るため、シーメンスと共同で、製品およびサプライチェーン関連のモデリングソリューションを探求。これは、データに基づく新たな発見を推進し、業界全体として環境負荷の削減を加速するものだ。

　インテルのケイヴァン・エスファルジャニ主席副社長兼最高グローバル・オペレーション・オフィサーは、「チップ需要の増加に対応するため、よりグローバルにバランスの取れた、サステナブルで強靭な半導体サプライチェーンが全世界で必要とされています。シーメンスとの協業を拡大することで、インテルの高度な製造能力を基盤として、シーメンスのオートメーション・ソリューションの製品ラインを活用できます。これにより、半導体のインフラストラクチャ、施設、および工場運営の効率性と持続可能性を高める新たな分野を開拓できることになり、大きな期待を寄せています。このMOUは、地域および世界の産業バリューチェーンに利益をもたらすことでしょう」と述べている。

 

 

　設計、製造、運用、効率性、リサイクルなど、半導体のライフサイクル全体にわたって持続可能な行動を実践することは、強力で持続可能な半導体チップに対する高まる需要を満たすうえで不可欠。オートメーションとデジタル化は、業界が温室効果ガス排出のネットゼロを目指す中、その課題に対処するカギを握るものになる。シーメンスとインテルは、両社の強みと専門知識を組み合わせることで、前向きな変化の推進をリードする態勢を整えていく。

 

 

（IR universe rr）

 

 

関連記事