スズ地金輸出入Report #79輸入 インドネシアからの輸入量大幅減少続く
日本のスズ地金の輸入は、最大輸入先のインドネシアからの量が大きく減少している。2位マレーシアや3位ペルーからの量も減っているが、インドネシアからの減少幅が大きく、輸入量差が縮まってきている。一方、2023年に入って中国からの輸入量が増加している。
【1】スズ地金輸入概況
財務省貿易統計によると、2023年10月の日本のスズ地金輸入量は1,286トンだった。昨年12月を最後に、2千トンを下回り続けている。そのため、前年同月比27.9%減少し、10か月連続マイナスとなった。月2千トンを回復するのはいつになるのか。
10月の同輸入平均単価は、キロあたり3,962円、前月より43円安だった。3か月ぶりに4千円を割った。昨年5千円を超えるところまで上昇し、そこから2023年に入って、一時3千円を割る手前まで下落していたが、そこから少し持ち直している。
2023年1-10月の同累計輸入量は1万4,209トン、前年比25.6%減少となった。引き続き、リーマンショック後の2009年の同累計輸入量の過去最低1万7千トンを大幅に下回っている。
【2】スズ地金輸入先
日本のスズ地金の輸入は、最大輸入先のインドネシアからの輸入量減少が大きいことが、14年ぶりの同輸入量最低記録更新に繋がっている。それ以外の主要な輸入先の多くが、昨年よりも輸入量を減らしている。ただ、インドネシアからの輸入量減少は、続く同輸入量2位のマレーシアや3位ペルーとの差を縮めてきている。
一方、2023年に同輸入量が昨年を上回って推移しているのが、中国からのものである。中国からは、2020年21年にも輸入量の急な増加があったが、昨年大きく減らしていた。今回、2023年に入って、また突然輸入量を増やしている。
あと、輸入量はまだ少ないが、ベルギーからの輸入増加も引き続き注目したい。
2023年10月のスズ地金輸入先と輸入量とキロ当たりの平均単価、そして前月との単価差は以下の通りである。
中国 99トン3,837円(39円安)
台湾 41トン3,920円(415円安)
タイ 123トン3,980円(36円安)
マレーシア 219トン3,828円(1円高)
インドネシア 375トン3,980円(45円安)
ベルギー 76トン4,524円(570円安)
ボリビア 50トン3,936円(前月輸入無し)
ブラジル 25トン3,938円(338円安)
ミャンマー 20トン3,959円(349円安)
ペルー 220トン3,848円(105円安)
ポーランド 25トン4,184円(354円安)
【3】スズ地金輸入税関別
税関別に見ても、主要な税関全て昨において昨年よりも輸入量を減らしている。その中でもインドネシアからの輸入量の割合が大きい横浜の減少が大きいことは、前回述べた。ただ、横浜は、インドネシアからの輸入に代って、今、輸入量を増やしている中国やベルギーからの輸入が増えてきている。今回10月に横浜の輸入量は、10か月ぶりに前年同月実績を上回った。
10月のスズ地金輸入の主な税関と輸入量、キロ当たりの輸入平均単価は以下の通り。
東京 200トン3,924円
横浜 607トン4,004円
神戸 20トン3,944円
大阪 263トン3,934円
名古屋 156トン3,907円
門司 40トン3,933円
※記事内のグラフ・図表は、MIRU.comにて作成
(IRuniverse /K.AKIYAMA
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