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統計から読む半導体市況#15 日本の半導体シリコンウェハ シンガポール向け堅調

   日本の半導体シリコンウェハ輸出は、信越化学とSUMCOのトップ2社が中国や韓国向けを中心に減少している。台湾向けの輸出は比較的堅調だが、2023年10月に少し大きく減らした。そうした中、シンガポール向けの輸出が堅調に推移している。

 

【1】日本のシリコンウェハ輸出概況

   財務省の貿易統計によると、2023年10月の日本からのシリコンウェハの輸出量は、535トン、300ミリウェハ換算で418万枚相当だった。前年同月比19.6%減少し、7か月連続のマイナスとなった。前回、同輸出が落ち込んだのは、半導体市況が冷え込んだ2019年から20年で、同比12か月連続のマイナスとなった。それ以来の落ち込みとなっている。

 

   一方、シリコンウェハの輸出平均単価は、依然として上昇基調にある。10月のキロあたりの同輸出平均単価は、9万4,205円、前月より2,614円高だった。2007年10月以来、16年ぶりの高値となっている。

 

【2】輸出先

   日本からのシリコンウェハの輸出量全体の7割が台湾、韓国、中国向けで占められている。このうち、中国と韓国の2地域向けの同輸出量は、なかなか回復して来ない。ただ、今回10月は、中国と韓国向けで、久々に前月の輸出量を上回った。この後もしばらく増加基調を継続するのか、注目したい。

 

   一方、台湾向けは、2023年も輸出量が多かった昨年並みで推移していた。ただ、こちらは今回10月の輸出量が前月より大きく減らしている。2023年に入ってからの台湾向けの同輸出は5月まで緩やかに減らしていた。ただ、6月以降、今度は緩やかに増加している。生成AI向けの半導体需要増加の影響があると思われる。ただ、MLCCなど一部の電子部品の需要も、年初まで減っていたが、それ以降、増加に転じている。半導体市況は、それよりも少し遅れて、増加に転じているようにも見える。そうだとすると、今回の台湾向けの輸出減少は気になるところである。

 

   ここで少し目先を変えて、シンガポール向けのシリコンウェハの輸出量を見てみたい。日本からシンガポール向けの輸出は、上記の3地域、そして米国向けに次ぐ5番目に多い量である。シンガポールには、アナログやパワー半導体、マイコンなどの生産が得意なグローバルファンドリー(GlobalFoundries 以下GF)など、中堅どころの半導体生産工場がある。

 

   そのシンガポールに向けて、10月の日本からのシリコンウェハの輸出量は、38.5トンだった。前年同月比2.1%減少し、2か月連続のマイナスとなった。輸出量上位の中国や韓国、そして米国向けの輸出量が昨年夏以降、前年同月実績を大きく下回ったままなのに対して、シンガポール向けは、台湾向けと同様に前年並みで推移している。これは、GFのように最先端技術でないが、マイコンやパワー半導体などの需要があるためだろう

 

   GFは、2年前に300mmウェハの新工場建設を進めて、先日、生産を開始している。

 

   こうした中堅ところの半導体メーカの生産が堅調なのを、国内の税関別のシリコンウェハの輸出でも少し見えている。宇都宮からのシリコンウェハの輸出である。宇都宮からの輸出と聞いてピンとくる人は、半導体のシリコンウェハを良く知っている方である。2016年に台湾のシリコンウェハメーカのグローバルウェハ―ズに加わったMEMCの工場がある。信越化学やSUMCOと比べて、生産量が小さいが、この宇都宮からの輸出量は、このところ右肩上がりで増加している。ただ、今回10月は、前月より大きく減った。それでも前年同月比で12.9%増加し、14か月連続のプラスとなっている。こちらもこのあとの動きに注目したい。

 

 

※記事内のグラフ・図表は、MIRU.comにて作成

 

(K.AKIYAMA)

 

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