キリンHD 高効率&環境負荷低減するPETケミカルリサイクル技術を2件開発
~PET分解時間9割削減、精製に必要な薬品も削減。精製技術は早稲田大学との共同成果~
キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎功典)のキリン中央研究所(所長 矢島宏昭)は、PETを分解する工程を、短時間・低エネルギーで実現する「アルカリ分解法」を開発した。また早稲田大学理工学術院(所 千晴 教授)との共同研究で、PET分解後のモノマー※1を精製する工程において、環境負荷軽減とコスト削減を両立した「電気透析」による精製法を開発した。この2つの技術は特許出願中で、組み合わせて使用することで、分解・精製工程で使用する化学薬品のリサイクル利用も可能になる。
※1PET(ポリマー)を構成する最小の単位
従来の代表的なケミカルリサイクル法※2は、PETを分解するために高い温度・圧力設定が必要で処理に数時間かかっていた。同社は、より効率的なPETリサイクルを実現すべく、「アルカリ分解法」を開発。同技術は、研究所内での試行錯誤を経て確立した技術であり、PETとアルカリ成分とアルコールを一定の割合で混ぜることで、35~55度という低温で、15分程度の短時間で分解する新技術だ。分解処理にかかる時間はグリコリシス法などの従来法と比較し、約9割削減できる。
※4 加水分解法・メタノリシス法・グリコリシス法など
さらに早稲田大学との共同研究で、「電気透析法」を活用したモノマーの精製法を開発。この技術を採用することで、従来必要としていた化学薬品を大幅に削減でき、発生していた副産物の廃棄も不要になる。さらに「電気透析法」を使用することで精製工程中にアルカリ成分を再生でき、これを分解工程で再利用できるため、資源循環型のリサイクルプロセスも実現できる。
「アルカリ分解法」「電気透析法」を活用した資源リサイクルイメージ
■キリングループの「容器包装」に関する取り組みについて
キリングループは、社会と企業のレジリエンス強化へ向けた新たなビジョン「キリングループ環境ビジョン2050」を策定し、「容器包装を持続可能に循環している社会」を目指すことを宣言している。また「キリングループ プラスチックポリシー」では、2027年までに日本国内におけるPET樹脂使用量の50%をリサイクル樹脂にすることを掲げている。
(IR universe rr)
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