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【年末企画・レアアース】低調、EV期待剥落で磁石向け急落 中国規制も気がかり

 2023年の希土類(レアアース)市況は全体に低調だった。2022年に電気自動車(EV)向けバッテリーの材料期待で好調だったネオジムなどの磁石向けレアアースが期待剥落で急落した。世界的な製造業不振を背景に超硬向けもさえず、金属ランタンは2005年以来18年ぶりの安値圏で推移した。

 

■ネオジム4割安、ランタン18年ぶり安値

 

過去1年間の金属ネオジム価格の推移(99% FOB China)($/kg)

 

 金属ネオジムの国際価格は12月下旬時点で$79/kgと、年初から42%下落した。2022年にEV向けバッテリーの材料として注目されたものの、2023年に入ってからは、春に米テスラが「レアアースフリーの永久磁石式モーターを開発する」と表明するなどレアアースは不使用の流れができ、需要期待が一気に剥げ落ちる結果となった。

 そもそも、完成車としてのEVも「ヒット作がなかった」(中国事業を手掛ける商社幹部)不作の年。世界的に見てもEVに関心がある層の購入が一巡した感があり、世界景気がぱっとしない中で、「買い替え需要を掘り起こせなかった」(中国事業を手掛ける商社幹部)。さえない空気はバッテリー材料としてのネオジムに伝染した。

 

過去1年間の金属ランタン価格の推移(99% FOB China)($/kg)

 

 一方、光学レンズなどに使われる金属ランタン価格は12月下旬時点で$3.72/kgと年初から10%下落。値下がりはネオジムほど急ではなかったものの、水準としては18年ぶりの安値で、年間を通して低空飛行に甘んじた。別の金属商社の中国人関係者は「中国を中心に製造業がさえず、需要がしぼんだ」と指摘した。

 

■中重希土類も下落

 

過去1年間の金属ジスプロシウム価格の推移(99.5% FOB China)($/kg)

 

過去1年間の金属イットリウム価格の推移(99.99% FOB China)($/kg)

 

 

 種類別では、前述のネオジムとランタンはどちらも軽希土類に該当する。一方で、中重希土類の代表格である金属ジスプロジウムは12月下旬時点で$453/kgで推移している。年間下落率は2%で、緩やかではあるもののやはり下落した。酸化イットリウムの国際価格も1年間で22%値下がりし、2021年夏以来およそ2年半ぶりの低水準にある。

 

■中国動向が変数に

 2024年については、「良い材料が見えない」(前述の中国事業を手掛ける商社幹部)とのため息が聞かれる。ただ、EV向けレアアースの需要全体は「バッテリーだけでなくモーターなどにもレアアースが使用されるため、中長期的に需要は拡大する」(調査会社のベンチマーク・ミネラルズ)との強気な見方があり、中長期的な需要は見込めそう。中国事業を手掛ける商社の幹部も「やはり磁石向け」と話し、製造業の戻りが鈍い中、とりあえずはEV期待にかけるしかなさそうだ。

 

 2023年のレアアースを巡っては中国の規制関連が暗い影を落とした。中国当局は12月に高機能磁石向けレアアースの製造・精錬技術を輸出禁止・規制リストに加えて実質上の輸出規制に踏み切った。また、11月には10月31日から2年間の輸出入の報告義務付けを発表。10月には春に金属商社のレアメタル担当者が中国当局に拘束されていたことが伝わった。

 

 このため、商社の関係者らは一様に「こちらからの訪中は避けている」のが現状。「2012年のレアアース禁輸時の結末や、アパレルや農産物を禁輸した場合に比べると禁輸効果が乏しいことを考えると、レアアース鉱石自体の禁輸まで踏み切る可能性は低い」(中国事業を手掛ける商社幹部)とは見られるものの、2024年のレアアース市場にとって中国の動向はやはり変数になってくる可能性がある。

 

 

(IR universe Kure)

 

 

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