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アジア合成樹脂市況の近況(No22) 市況は底打ちから持直しに入るか

 アジア合成樹脂市況は10月中旬以降、原油価格が12月初めにかけて軟調な展開となり、中国、欧州の景気不透明感による需要の低迷による在庫調整の遅れなどから軟調な展開となった。足元では欧州での合成樹脂の在庫調整の進展期待や原油価格の下げ止まりから、中国市況もやや持ち直し基調にある。下げが大きかった塩ビ樹脂もインド向けの需要の回復もあり反転基調にある。

 

 アジアの合成樹脂は原料の原油・ナフサ市況の影響から解放され、24年に向け、底打ちから緩やかな上昇に転じる兆しが見え始めている。

 

原料要因からの個別需給要因へのシフトが鍵

 アジア合成樹脂市況は11月中旬に一旦、下げ止まり感が出ていた。その後は、原油価格の下落から12月初めには直近の安値を付ける場面もあったが、足元では低密度ポリエチレン、ポリスチレン、塩ビ樹脂が持ち直し基調にある。この間、ポリプロピレンだけが強含みの展開となった。

 

 ポリプロピレンのアジア市況は他の樹脂に比べ戻りが緩慢であったこともあり、9月後半のトン895ドルを直近の高値に865ドルまで下落していた。12月に入りトン870ドルに上昇し、直近ではトン875ドルに上昇している。それでもコロナ前の2012年1月を100とした指数では97.22とポリオレフィンの中では低い水準にある。自動車向け需要が下支えとなっているが、コロナ下での一般化した在宅勤務の影響が残りOA機器での需要が低迷しており、FA機器関連の需要に不安が残る格好にある。24年の前半までは市況の力強い回復はし難いと予想する。

 

 低密度ポリエチレンは10月初めのトン1,000ドルの直近高値に下落基調にあったが、12月初めに下げ止まり、直近ではトン980ドルと10月初めの水準を取り戻した。低密度ポリエチレンの需要は食品、生活用品など包装用などの個人消費に密接な需要が下支えとなっており、総じて需要は堅調だ。コロナ前の2012年1月を100とした指数では116.67とポリオレフィンの中では最も堅調な市況を形成している。当面の市況も需給面から堅調な展開が予想される。

 

 ポリスチレン市況は10月後半まではトン1,235ドルの高値水準から軟調な展開となったが、12月中旬にはトン1,160の安値を付け、下げ止まりとなった。原料のベンゼン、スチレンモノマーの市況が12月中旬にかけ下落した影響が大きい。ポリスチレンの用途も食品包材、断熱材、自動車部品と幅広いことから原油価格が大幅に下落したことも影響してる。コロナ前の2012年1月を100とした指数では110.95と低密度ポリエチレンと並び堅調な市況にある。当面は原油市況に左右される相場展開が予想されるが、個別需給要因での市況押し上げの可能性もある。

 

 塩ビ樹脂の市況は9月第2週に直近の高値のトン895ドルを付けたのち、12月中旬まで軟調な展開にあったが、足元では底打ち感が出ている。合成樹脂の中では唯一、個別需給要因による市況変動が大きく、中国のスポット市況が国内不動産、インフラ投資の低迷から低調であることがネガティブ要因となり、インフラ需要の強いインド向け需要との綱引き状態にある。そのインド需要も買い先行による在庫の荷余り感から11月には輸入成約が減少し、アジアメーカーの輸出価格が下落した。足元では中国のスポット市況も下げ止まり基調にあり、インド向けの市況も12月には上昇に転じている。米国が金融緩和への政策転換の可能性が高まっていることは、住宅関連需要にプラスとなる。12月は北米が不需要期であり、北米メーカーの決算期末と相まってアジア市場への安値での流入のリスクも残るが、年明け後は市況上昇に転じる可能性があり、アジアの塩ビ市況にも追い風となる可能性がある。

 

国内合成樹脂市況はタイムラグもあり、年初は上昇へ

 国内の合成樹脂市況は国産ナフサ価格に連動したフォーミュラ制度をベースに、輸送コストなどの付帯的なコスト分を交渉で調整する価格算定方法を採っている。国産ナフサ価格は2ヵ月遅れの輸入ナフサ価格で決まるために、海外市況とタイムラグが生じ、円ドル相場の状況にも影響を受ける。国産ナフサ価格は23年7―9月が1キロリットル6万3,600円と前四半期比5.8%の下落となり、23年1月以降の国内樹脂価格は軟調な展開にあった。23年10―12月の国産ナフサ価格が円安もあり1キロリットル7万3,600円への上昇が見込まれ、24年1―3月の国産ナフサ価格も今後の円ドル相場にも影響されるが1キロリットル当たり7万円前後の高止まりの公算が高い。

 

 こうした中で国内の合成樹脂市況は、三井化学系のプライムポリマー、旭化成などの合成樹脂メーカーが10月以降のポリエチレン、ポリプロピレンでキロ15円以上の値上げを打ち出していたが、この値上げが浸透し始めている。また12月11日までに、国内ポリスチレン3社の24年1月からの値上げ(キロ15円~20円以上)が出揃った。

 

 これを受けてこれらの樹脂を使用するオレフィンフィルムメーカーが価格転嫁を表明し始めている。最大のポリオレフィンフィルムメーカーの東洋紡は11月17日、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステルをベースにした各種の包装用フィルムの1連300円から750円(500メートル)の値上げを表明している。グンゼはスライスチーズなど食品の包装に使われる包装用ナイロンフィルムで12月21日から約5%程度の値上げを打ち出している。また、食品容器・包材の最大手のエフピコは原料価格の上昇に対しては継続的に転嫁を進める方向にある。

 

 

(注) IRUではアジアの合成樹脂市況インデックスは、多様なグレード取引形態や地域で異なるため、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂の価格を2020年の年初の平均価格を100として指数化している。2020年12月までを毎月末近辺の市況を対象に指数化し、2021年以降は週間ベースの市況を対象に指数化している。新型コロナウイルスの蔓延の前と後での樹脂市況の違いを示すために基準時を2020年1月としている。

 

 今回のレポートから2020年1月からの短期のグラフと従来からの1998年4月末からを長期のグラフをとして掲載する。なお、直近値は2023年12月第4週(12月22日まで)の市況となる。

 

 

 (叶 一真)

 

 

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