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ヨコオ(6800) 24/.3Q2決算WEB取材メモ ニュートラルからややネガティブに変更

24/3期3.8%減収84.1%経常減益予想とQ1減額予想比増額も下期減額、来期も回復鈍い

株価1403円(12/25)   時価総額334億円    発行済株23850千株

PER(24/3期DO予43.6X)PBR(0.66X) 配当(24/3DO予)44円  配当利回り:3.1%

 

要約

・24/3Q2は12.5%減収94.3%営利減も車載、無線機器の収益増額でQ1減額予想比増額着地

・24/3期予想再見直し3.8%減収84.1%経常減予想とQ1減額予想比増額も下期では再減額

・収益低迷で中期目標25/3期売上高880億円、営利106億円を投資計画等24年5月見直し

 

24/3Q212.5%減収94.3%営利減も車載、無線機器の収益増額でQ1減額予想比増額着地

 

 24/3Q2は売上高186.16億円(8/7修正予想比17.94億円増額、12.5%減)、営業利益1.38億円(同5.80億円増額、94.3%減)、経常利益5.45億円(同17.01億円増額、84.3%減)、税引利益1.29億円(同11.07億円増額、94.0%減)と、車載通信、無線機器の収益増額で営業利益、為替円安で経常利益が上ぶれ着地した。

 

 但し24/3H1では売上高367.94億円(期初計画比7.94億円増額、8.5%減)と円安による嵩上げ効果などで売上増額ながら営業損失1.20億円(同6.20億円減額、同期比36.27億円減少し赤字転落)と厳しい。なお経常利益は円安効果分で為替差益18.95億円の計上もあり、計画を上回ったが、実態は厳しい環境が続いている。

 

 四半期セグメント別では車載通信機器(VCCS)が自動車減産の一巡し、売上高137.12億円(Q1修正予想比11.91億円増額、前年同期比16.2%増)、営利5.62億円(同3.17億円増額、同7.44億円増で黒字転換)となった。中心となるシャークフィンアンテナが6%程度の伸び、中継コードが在庫完了効果もあり38%増、GPSアンテナも30%増と自動車生産の回復とともに伸びが高まった。利益面では円安がマイナス効果も、このQ2は欧米向けが63.21億円(21.1%増)でドルードル取引で欧米向け等が好調だったため増収効果に加え為替デメリットも少なく、大幅黒字転換となった。なお今期からインキュベーション事業として車載情報システム事業を分離しており、この部分を含めて旧来比較で見ると、先行投資での赤字を補いQ2で営利4.05億円と22/3Q1の0.01百万円以来の黒字転換となった。

 

 回路検査コネクタ(CTC)も売上高27.73億円(同2.88億円増額、59.5%減)、営業損失3.30億円(同0.39億円赤字縮小、同26.92億円減少し赤字転落)とQ1計画比で増額着地となったが円安効果をフルに享受できる点を考慮すると、むしろ実質は減額修正の状況にある。セグメント別ではクアルコムを中心とする前工程向けで新モデル向け納入が少ない前提のままほぼ計画線で60%減、主力の後工程のテストソケットがインテルの不振から円安効果、台湾向けにもAMDやNVIDIA向けを手掛けるOSAT向けに多少需要があっても計画線の60%減。SAWフィルタなど高周波対抗電子部品向けのYPXもアップル向けに強いスカイワークス向けに売上が伸びず40%減に。利益面では円安効果がかなりあったとみられるが減収影響が大きく、設備増強による負担増など固定費が嵩み、生産では稼働率50%状況となっており一部で週休4日体制を組むも大幅赤字に。

 

 無線通信機器も売上高20.30億円(同3.03億円増額、20.2%減)、営利0.63億円(同2.04億円増額、82.7%減)と円安効果があるものの実態は厳しい環境が継続、高収益だったスプリングコネクタではPOS向けがユーザーでの在庫調整、中国勢の追い上げ等が影響、サムスンのスマホ販売減でワイヤレスイヤホン向けも低調で、全体では40%減と低調。但し医療用はコロナ影響が軽減され計画通りで25%増と本格拡大に。利益面では減収影響、中国勢の攻勢などがダメージとなり、医療用微細部品がほぼ収支均衡となったものの、大幅減益に。

 

 インキュベーション事業はほぼ大半が車載関連を占めるビジネスとなっているが、売上高2.07億円(同期比14.4%増)、営業損失3.37億円(32.1%赤字拡大)はほぼ計画線。

 

 全体を通じ、車載通信機器の黒字化、無線通信機器も赤字予想が若干の黒字を計上も、回路検査用の収益悪化が継続、営業外で為替差益が10.24億円(同期比8.97億円増)となり、経常増益率が高まった。

 

24/3期予想再見直し3.8%減収84.1%経常減予想とQ1減額予想比増額も下期では再減額

 

 Q2の業績推移を受け、会社側では24/3期業績を再度見直し、売上高750億円(期初計画比20億円減額、8/7予想比50億円増額、3.8%減)、営利2億円(同30億円減額、同変更なし、95.8%減)、経常利益14億円(同13.5億円減額、同5億円増額、75.3%減)、税引利益7.5億円(同12.5億円減額、同3億円増額、76.2%減)予想とQ1時点に対し増額修正した。但し上期が利益で8/7修正予想比増額となっており、逆算して下期は売上高382.06億円(期初計画比27.94億円減額、8/7予想比12.06億円増額、前年同期比1.2%増)、営業利益3.20億円(同23.80億円減額、同5.80億円減額、同74.0%減)、経常損失3.0億円(同30億円減額、同12.0億円減額、同5.63億円赤字縮小)、税引損失2.08億円(同21.73億円減額、同8.08億円減額、同8.24億円赤字縮小)予想となり、売上増額ながら利益は減額と下期も厳しい予想となっている。なお四半期予想の開示はないが、Q3は売上でQ2並み、Q4は多少増加、利益はQ3累計で営業赤字継続、Q4で黒字転換を見込む。

 

 事業別ではVCCSが売上高549億円(期初計画比52億円増額、8/7予想比37億円増額、18.0%増)、営業利益21億円(同10億円増額、同10億円増額、31.94億円増加し黒字転換)予想と再増額見通しに製品別では主力のシャーク品アンテナが自動車生産の回復、SUV車の拡大などで10%程度の伸び、在庫調整、価格是正などで中継コードが30%の伸び、GPSアンテナも20%弱の伸びを見込む。利益面でも為替差損が生じない地域向けが好調で、増収効果、値戻し効果も有り利益も増額見込みに。

 

 一方CTCは売上高120億円(同65億円減額、同10億円減額、46.4%減)、営業損失11億円(同33億円減額、同9.50億円減額、前期比72.69億円減額し赤字転落)を見込む。主力の後工程ではインテル向けの回復がなく期初計画比30%減、前年比ほぼ半減予想。インテル向けはインテルの生産不振に加え、数量減に伴い従来のソケットから安価なシート方式での検査に変更する動きもあり本格的な数量増がないと回復が期待できない状況に。またインテル以外でピン供給のみを行うAMDやエヌビディア向けOSATは多少あるものの比率が低くカバーできない状況に。前工程ではクアルコムの新モデルが不振で計画比半減以下、また新規ユーザー寄与がほとんど無く全体で60%弱の落ち込みを想定する。YPXもアップルの数量伸び悩みでスカイワークス向けが低調で計画比半減から能増効果が裏目に出て30%強の減見通し。Q3でも回復が見られず、設備増強が裏目に出てコスト増も加わり、円安効果があっても大幅赤字を余儀なくされる状況に。一応Q3ボトムにYPXは多少戻る見通しの他、クアルコム向けがQ4にかけ新モデル向けで多少動きがあるとしている。

 

 全体として主力のインテルHPC向けの比率が高い中で安価な検査方式の採用で需要が減少している面もあり、会社計画並みの収益に止まる見通し。

 

 FC・MDは売上高77億円(同8億円減額、同3億円増額、15.1%減)、営業損失1.0億円(同変更なし、同0.5億円減額、7.64億円悪化し赤字転落)予想。高採算だったスプリングコネクタが計画比18%減見通しで中国などの技術力アップからシェア、価格面でも苦しい状況が続いている。またスマホ不振でサムスンワイヤレスイヤフォン向けも大幅減でスプリングコネクタが30%超の減収予想に。幸い医用向けはアフタコロナで需要が拡大し期初計画を上回り前年比30%弱の伸びが見込まれ、四半期でも念願の黒字化しとなった。利益面では生産調整が下期も継続するため改めて減額、期初計画並みの赤字を見込む。

 

 新規に分離させたインキュベーションセンター部門は計画通り売上高4億円、営業損失7億円を見込む、このため従来の車載通信機器区分で見た場合は車載通信事業として売上高553億円(18.9%増)、営業利益14億円(前期比34.94億円改善、黒字転換)予想となる。

 

 現状、VCCSは自動車メーカーの生産が漸く改善、最大ユーザーであるトヨタ系の生産拡大が寄与し、増額計画通りの収益が見込める。CTCもインテル不振継続、クアルコム、スカイワークスの前期の反動減を会社側では織込み、こちらも修正計画並みに推移しよう。FC・MDも計画並みで、全体として会社修正予想並みの売上、営業利益が見込まれる。経常利益は為替1$=145円想定で従来比5円円安修正しており、現状の推移から営業外で大きな変動はない見通しで、経常利益、税引利益も会社想定並みに推移しよう。

 

収益低迷で中期目標25/3期売上高880億円、営利106億円を投資計画等24年5月見直し

 

 同社は期初に中期経営計画として26/3期に売上高900億円、営利81億円を目指す経営目標を公表した。中身はCTCを280億円まで拡大することが柱となっていた。VCCSは同社最大ユーザーのトヨタグループがSUV中心にシャークフィン装着率の高い車種の伸びが続く見通しで、24/3期の利益の黒字転換、26/3期に黒字拡大を見込む。CTCは後工程、YPXとも高周波対応デバイス需要の高まり、FC・MDは医療用が収益性で本格的に向上見通し、高収益のスプリングコネクタも物流投資拡大を見込んでいた。

 

 しかし、半導体生産の生産調整と主要相手先の不振、物流投資の一巡から成長を見込んでいたCTC部門、FC部門の収益見通しが大きく狂った。CTCは来期回復に向かうとみられるものの、インテルの不振は根が深く、同社後工程テストソケットは25/3期Q2以降の回復にずれ込もう。またインテル以外にAIチップなどは台湾OSAT経由で検査ピンの需要増にとどまり、利益の伸びは限定的な模様。クアルコム向け前工程では2024年モデルで再度需要拡大見通しも伸びは限定的で新規ユーザー採用も後ずれ見通しから本格拡大が25/3期以降にずれ込もう。YPXでは5Gスマホのミリ波対応が遅れ、需要の拡大が想定を下回るが、新規ユーザー向けが多少寄与、25/3期は伸びが期待される。これらを総合しCTC部門の25/3期は回復傾向ながら23/3期までの回帰は難しい。

 

 FC・MD部門は医療用が本格拡大期を迎え、25/3期には収益性も本格向上見通し。但しスプリングコネクタの回復は、世界的な消費伸び悩みで物流投資拡大が伸び悩むとみられ、中国勢などの新興メーカーの技術水準が追いつき、従来のような高収益事業には回帰できない状況で、25/3期は黒字転換見通しも利益率は低位に止まろう。全体を通じ25/3期は収益の本格拡大には至らず、24年5月の本決算発表時に中計見直しを表明しており、収益回復には時間を要すると見られる。

 

 株価は業績低迷を受け下落を続け10/31に1203円の年初来安値後、11/10に利益増額予想で多少戻った状況。現在、修正会社予想EPS32.17円に対しPER43.6倍は山一電機19.6倍、エンプラス26倍と比較し割高感がある。PBR0.66倍も収益性の悪化は事業構造の変化も有り改善が緩慢で利益伸び悩みを考慮し、ニュートラルからややネガティブに変更する。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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