山一電機(6941) 24/3Q2電話取材メモ 24/3期減額予想も材料織込みニュートラル継続
24/3期18.2%減収68.3%営利減予想で再開示、25/3期は主力2事業回復で収益急回復へ
株価1888円(12/25) 時価総額 412億円 発行済株21,831千株
PER(24/3期DO予19.4X)PBR(1.04X) 配当(24/3予)30円 配当利回り:1.6%
要約
・24/3Q2は30.0%減収71.7%営利減と半導体テストソリューション大幅縮小で収益低迷
・24/3期18.2%減収68.3%営利減予想と期初計画比大幅減額で再開示も上期底に回復へ
・25/3期サーバー需要でTS回復、CSもデータセンタ向けで収益回復、26/3期再度最高益へ
24/3Q2は売上高97.89億円(Q1時予想比3.06億円増額、前年同期比30.0%減)、営業利益9.72億円(同3.20億円増額、同71.7%減)、経常利益10.18億円(同3.85億円増額、同71.9%減)、税引利益8.52億円(同2.68億円増額、同67.9%減)と収益の低迷も、8/4Q1での予想比増額で着地した。またQ1比較では11.0%増収、63.0%営利増、56.9%経常増益とQ1ボトムに回復している。
事業別にテストソリューション事業(TS)は売上高45.02億円(期初計画比15億円減額、8/4時予想比2.8億円増額、44.7%減)、営利7.30億円(75.9%減)に。全体の5割弱を占めるテスト用ソケットがクアルコム向けの失速で大幅減額となり半減に。バーンインソケットも約40%減となったが、こちらは期初から40%強の減少を見ており、結果は多少上振れした。バーンインでは3割を占めるメモリ向けが6割弱の減少、特にNANDは7割減、DRAMも50%弱減少した。ロジック向けは全体で30%減となり、車載向けは14%減程度も金額は小さいモノのインテル向け等の落ち込みで非車載ロジックは半減に。利益面では好採算のテストソケットの急減、MIX良化も悪化し、営業利益率が20.9ポイント悪化し16.2%まで低下した。但しQ1比較では29.4%増収、営利6.1倍となっており、特にDRAM向けが7割増と本来需要先として扱いが少ないサムソンからの発注が増加(但しHBMではなくDDR-5向け、HBMはバーンインを行わないとのこと)、車載向けロジックも欧州向け中心に2割弱の伸びに。但し非車載ロジックだけはインテル不振で4%減に止まる。利益面では増収効果が大きく利益率が12.8ポイント改善した。
コネクタソリューション事業(CS)は売上高49.59億円(8/4時予想比1.0億円増額、8.0%減)営利2.89億円(同12.7%減)に。1/4を占める車載向けがテスラ向けなどで30%の伸び、全体の5割強を占めるFA関連がシーメンスを中心に設備投資減退の中で計画を上回り同期比5%減に止まる。一方、高収益の光コネクタはデータセンタの不振で半減した。利益面では高収益の光コネクタ減ながら円安効果もあり、利益率の低下は0.3ポイント下落の5.8%を確保した。
全体を通じ減収影響、MIX悪化も、想定よりも円安(1$=137.00円想定が141円、1€=149円想定が153.39円)に推移し、Q1での減額修正に対し、上振れで着地となっている。
24/3期18.2%減収68.3%営利減予想と期初計画比大幅減額で再開示も上期底に回復へ
Q1の不調を受け24/3期予想について一旦白紙撤回したが、Q2では改めて予想を再開示し、売上高384.40億円(期初計画比35.60億円減額、18.2%減)、営利29億円(同37億円減額、68.3%減)、経常利益28.5億円(同35.9億円減額、69.8%減)、税引利益20億円(同25億円減額、72.3%減)予想とした。
事業別でTS事業が売上高171億円(同34億円減額、29%減)、営利17億円(同33億円減額、76%減)予想。CS事業は売上高200億円(同2億円増額、5%減)ながら営利10.7億円(同4.3億円減額、34%減)予想。引き続き通信は在庫調整が長引く見通し。また下期はFAなども減速し、利益面では高採算の光コネクタの減からMIX悪化で利益の減額が避けられなくなっている模様。
現状、四半期推移ではQ3が90億円(同期比9%減)、Q4を108億円(同期比9%増)とQ4で同期比プラスを見込むが、要因としてはTS事業でDRAMと車載ロジックなどの増加が寄与する見通しのため。なお、最近話題となっているHBMはバーインテストを行わないためDRAMはDDR5向けの拡大が寄与するとみている。CSは引き続き高採算の通信向けの回復が見えず、利益の減額が避けられない。なお為替前提を下期(1$=147円、1€=156円)とみており、ほぼ再開示した会社予想並みの収益が見込まれる。
25/3期サーバー需要でTS回復、CSもデータセンタ向けで収益回復、26/3期再度最高益へ
25/3期はTS部門ではテストソケットではクアルコムの2024年スマホモデル向け先端半導体投資の再拡大、またテスト項目の拡大、多ピン化などで、先端半導体生産の回復から売上回復が見込める。バーンインではロジック向けで引き続き全数検査を必要とする車載向けの拡大、インテル向けもサーバー向け新デバイス量産投入が見込める。メモリ向けはデータセンタにDDR5向けの拡大が見込める他、グラフィック向けに新型メモリ投入が見込まれる予定があるとのこと。なおフラッシュの回復は半期程度遅れる見通しながら、積層数で次世代の登場が寄与しよう。利益面でもテストソケット、バーンインではロジック向け拡大でMIX良化から収益性が再度高まろう。
CSは高速伝送用光コネクタがデータセンタ向けに本格的な大容量光通信コネクタとして需要が見込める。同社はCFP8(高速通信用の光トランシーバ規格の一つ)コネクタなどで高い技術を有するが、ビヨンド5Gを見据え1コネクタあたり800Gbの大容量データを通す100Gbパーレーンの規格開発も進めている。車載関連はテスラ向けSIMカードコネクタなどの拡大が続く見通し。一方、FA向けは欧州中心で伸び悩もう。利益面では通信向けの拡大で収益性の回復が見込まれ、MIX良化で収益性が回復しよう。
全体としてTS、CSともにデータセンタ向け関連製品群の回復が牽引、23/3期までの回復は難しいも収益の回復が進み、26/3期には会社中計計画には再度最高益更新が見込める。
株価は8/4の減額修正を受けて大幅下落、8/7には24/3期予想開示を取下げた事もあり1708円と年初来安値1670円近くまで下落した。その後一旦持ち直したものの10/4には1700円を割り1668円と年初来安値を更新、但し11/7の決算発表で改めて24/3期予想が開示されたあとは狭いレンジで推移している。現状、24/3期修正会社予想EPS97.5円に対しPER19.4倍はプライム電機20.5倍並みであり、同業のヨコオ43.6倍、エンプラス26.3倍に対し割安感がある。また24/3期予想の開示で収益面の悪材料は織込んだと見られ、改めて来期に向けて先端半導体向け、データセンタ向け光コネクタなどが回復見通しで25/3期収益が急回復するとみられ判断をニュートラルからややポジティブに変更したい。
(H.Mirai)
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