バナジウム市場近況2024#2 低迷 五酸化7年半ぶり安値、鉄鋼向けも再び下落
2024年4月上旬までのバナジウム価格は低迷している。五酸化バナジウム、鉄鋼向けのフェロバナジウムはともに3月に下落し、五酸化バナジウムは2016年11月以来およそ7年5か月ぶりの安値水準にある。中国需要が振るわず、取引が薄い状態が続いている。
過去3か月間の五酸化バナジウム価格の推移(V205 fob China)($/lb Vo205)
五酸化バナジウムは3月末に仲値$5.005/lbと、月初の$5.58/lbから約1割下落した。バナジウムは生産・消費ともに中国の比重が多いが、その中国の景気の先行き不透明感が根強く、メーカーは在庫消費で舞い合わせて動きが出ていないという。が主で、その中国の景気の先行きに不透明感が根強いためだ。Ferroalloynetによると、取引先である化学メーカーなどが、相場に動きが出るのを待って見積もりを一時停止し、注文よりも問い合わせが多いという。
過去3か月間のフェロバナジウム価格の推移(V78%min US$/kg EU)($/kg)
鉄鋼向けのフェロバナジウムは3月末に仲値$27.05/kgを付けた。2月に一時半年ぶりの高値に上げたが長続きせず、2023年12月半ば以来の安値に戻している。中国で鉄筋価格の下落が続いている上、製鉄所のメンテナンスや生産停止も目立ち、需要増加の勢いが続かなかった。
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カナダのバナジウムメーカーであるラルゴ(Largo)が3月21日に発表した2023年12月期決算は、最終損益が3200万ドルの赤字と赤字額が前の期の200万ドルから大幅に拡大した。欧州と中国の鉄鋼向け需要の低迷によるフェロバナジウム価格の下落が影響を受けた。ただ、航空宇宙分野からの需要は強かったとしている。
同社は米ナスダックとカナダのトロントの株式市場に上場する。ブラジルのマラカス・メンチェン鉱山でバナジウムを採掘している。
(IR Universe Kure)
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