エンプラス(6961)24/3Q3WEB決算会メモ ややネガティブからニュートラル
24/3期光通信レンズ伸長も半導体不振で10.5%減収47.3%営利減と減額着地
株価8710円(4/30) 時価総額847億円 発行済株9732千株
PER(25/3DO予:14.1X)PBR(1.56X) 配当60.00円 配当利回り:0.7%
要約
・24/3期光通信レンズ伸長も半導体不振で10.5%減収47.3%営利減と減額着地
・25/3期は下期の半導体回復で8.5%収38.5%営利増予想もAI用途光レンズは過大評価
・26/3期データセンタ向け拡大が半導体、光通信デバイス需要押し上げ23/3期収益超え期待
24/3期光通信レンズ伸長も半導体不振で10.5%減収47.3%営利減と減額着地
24/3期決算が4/30に開示され、同日WEB説明会説明会が実施された。24/3期は売上高378.05億円(10/27減額修正予想比16.95億円未達、10.5%減)、営業利益46.45億円(同7.55億円未達、47.3%減)、経常利益52.63億円(同7.37億円未達、40.1%減)と減額着地に。
部門別では半導体事業が売上高166.77億円(同8.23億円未達、28.8%減)、総利益75.05億円(39.8%減)、営利17.43億円(73.2%減)とサーバー、モバイル用途が低迷、減収効果から大幅収益悪化に。
ライフサイエンスは売上高23.67億円(同4.33億円未達、23.4%減)、営業損失11.52億円(同5.14億円悪化し赤字拡大)と在庫調整が影響し売上減から損失も拡大。
エナジーセービング事業は売上高131.22億円(同1.22億円増額、9.9%増)、総利益ながら営利9.34億円(31.2%減)と自動車生産の回復で売上増も、共通費配賦ウエイトが拡大し販管費比率がアップし大幅減益となった。
一方、デジタルソリューション事業は売上高56.36億円(同5.64億円未達、49.1%増)、営利31.19億円(96.5%増)と修正予想比減額も、収益伸長に。部門別でLED用拡散レンズは13.76億円(同1.24億円未達、11.8%減)とLCDTV低迷継続で減少、これをAI用途用の等のハイエンド光通信用トランシーバ光学レンズ中心に光通信関連製品の売上42.60億円(同4.40億円未達、91.9%増)で補い、大幅に収益を伸ばした(但しQ3対比Q4の光関連は19.0%減とユーザーのサプライチェーンに対応遅れ減少)。
全体として経常利益では減収影響が大半の理由で、29.0億円の減益となったが、半導体機器の落ち込みによる減産影響が大きい。またQ2時点での減額修正予想に対し、営業利益が未達成だった背景には高付加価値の光学レンズの売上未達成が影響している模様。
なお、四半期推移では、24/3Q4は売上高98.51億円(同期比1.2%減、Q3比12.5%増)、営利10.91億円(同37.9%減、同16.3%増)とQ3がボトムとなった可能性がある。特に半導体事業において24/3Q4は売上高45.67億円(同14.4%減、同33.5%増)、総利益18.59億円(同35.9%減、同24.8%増)、営利4.02億円(72.1%減、同4.4倍)とQ4にAIサーバー向けが好調に推移したことが寄与している。一方で、デジタルコミュニケーションはQ4で光トランシーバサプライチェーンにおける部品不足の影響から売上が計画を下回り9.54億円(同39.7%増、同17.8%減)、結果として10/27の減額修正予想に対し、更に利益未達の要因となった。
25/3期は下期の半導体回復で8.5%収38.5%営利増予想もAI用途光レンズは過大評価
25/3期会社予想は売上高410億円(8.5%増)、営業利益62億円(33.5%減)、経常利益65億円(23.5%増)、税引利益45億円(30.7%増)予想とした。上期は1.6%増収、3.2%営利増、9.6%経常減に対し、下期15.6%増収、72.5%営利増、70.7%経常増予想と、半導体の下期本格回復を見込んだ予想となっている。
部門別には半導体事業を売上高190億円(14.0%増)予想、上期を88億円(同期比1.2%増)、下期102億円(同期比27.7%増)としている。サーバー、モバイル用途が下期に本格回復すると判断した。エナジーセービング事業は売上高136億円(同3.6%増)と自動車生産の回復、EV等で精密ギアなどのニーズから堅調な伸びを見込む。ライフサイエンスは売上高25億円(同5.6%増)と、デバイス供給に軸足を置く形で今期中に損益分岐点を引き下げ黒字化するとした。デジタルコミュニケーション事業は売上高59億円(4.7%増)予想。部門別でLED用拡散レンズは低迷続き、ほぼ光通信用デバイス増を見込むとのことで45.5億円(6.8%増)程度と推定される。AI用途は高付加価値でシェアも高く、特定ユーザー向けが大きく伸びているが、サプライチェーンの問題で伸びが緩やかに止まる見通し。
現状、為替前提が1$=145円としており、1円円安で売上高2億円、営利で1.5億円のプラス効果とのことで、この分の増額が見込まれる。一方ライフサイエンス部門を赤字解消予想としているが、説明会では期中のどこかで黒字化とのニュアンスから、通期では赤字継続と考える。
26/3期データセンタ向け拡大が半導体、光通信デバイス需要押し上げ23/3期収益超え期待
25/3期は半導体機器が主力のバーンインソケットでロジック向けの回復、車載向けの回復に神込まれる。またウエイトが低いもののテストソケットではAMD向けに生成AI向けGPUなどでテストソケット事業の拡大が期待され、半導体事業が同社収益の拡大を牽引しよう。なお同社はバーンインソケットでメモリ向けを手掛けておらずHBM特需は得られない。デジタルコミュニケーション事業は引き続き光通信用光学デバイスの拡大が続く見通しも、サプライチェーンの問題に加え、ライバル企業も加わり、堅調な伸びを続けるものの、期待ほどの高成長とはならないと見られる。エナジーセービング事業はEV向けエンプラギアの拡大が見込まれるが、事務機等の減少は止まらず、緩やかな伸びに止まろう。ライフサイエンスはソリューション事業を見直し営業黒字を目指すも、具体案が不明瞭で黒字転換は26/3期以降にずれ込もう。
全体として26/3期は半導体事業の本格回復、デジタルコミュニケーションの拡大から、収益の回復が期待され、23/3期収益超えが期待されるが、15/3期の営業利益107.8億円には届かないとみられる。
株価は生成AI向けに光通信デバイスの伸長を囃し、AMD向けもAIサーバー向けGPUの拡大が過大評価され、7/28のQ1決算発表後、生成AIの話題で5080円から株価が暴騰、1/22には15040円まで駆け上り、その後値を下げ4/5には6670円と半値まで売込まれ、その後多少戻していた。今回の減額着地、25/3期も下期回復に止まる見通しから5/1株価は改めて500円強安となっている。現状、会社25/3期予想EPS509.71円に対しPER16.1倍はプライム電機平均PER23.7倍比で割安、同業の山一電機コンセンサス17倍と同レベル、ヨコオコンセンサス11.0倍と比較しては割安感がある。業績的には本格拡大が26/3期になるとみられ、株価大幅下落で悪材料を織込んだと判断、ややネガティブからニュートラルに戻したい。
(H.Mirai)
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