ローツェ(6323)24/2決算メモ 株価急騰でややポジティブからニュートラルに変更
24/2期1.3%減収8.6%営利減と増額着地し25/2期29.5%増収31.0%営利増で最高益予想
株価円(5/1)28430円 時価総額4015億円 発行済株17640千株
PER(DO25/2予:19.7X)PBR(5.4X) 配当(25/2予)18円 配当利回り:0.6%
要約
・24/2期1.3%減収8.6%営利減と増額着地、受注4.7%減も受注残12.5%増に
・25/2期生成AI向け、HBM投資大幅増等で29.5%増収31.0%営利増予想と最高収益更新
・高採算の半導体関連装置が牽引、25/2期売上高1000億円視野に再度営利最高益更新期待
24/2期1.3%減収8.6%営利減と増額着地、受注4.7%減も受注残12.5%増に
4/11に24/2期決算が開示され、4/12にWEB説明会が実施された。24/2期は売上高932.47億円(期初会社予想比52.21億円増額、1.3%減)、営業利益241.38億円(同25.19億円増額、8.6%減)、経常利益270.76億円(同55.23億円増額、10.8%減)、税引利益195.76億円(同38.58億円増額、8.5%減)、受注893.10億円(4.3%減)、受注残639.71億円(12.5%増)と減収減益ながら大幅利益増額の着地となった。
セグメント別では半導体・FPD関連事業が売上高920.27億円(計画比53.43億円増額、1.4%減)、営利246.08億円(8.3%減)、受注883.45億円(4.1%減)、受注残638.44億円(12.9%増)となった。内訳は半導製造装置関連が売高789.46億円(計画比69.60億円増額、2.3%減)、受注794.77億円(10.7%減)、受注残563.99億円(1.0%増)となった。Q1で急ブレーキがかかったものの、その後回復、Q4では23/2Q3の223億円を抜いて236.32億円と過去最高売上となった。主力ユーザーのAMAT向けが218.48億円(29.2%増)と伸長、TSMCは68.14億円(31.8%減)と一服、この他では中国向けがQ4に大きく伸長した。分析装置はグループ入りしたイアス社分が全てで全自動気層分解(VPD)装置中心に売上高31.12億円(計画比2.97億円増額)、受注21.78億円、受注残37.54億円に。FPD関連装置は売上高37.13億円(同8.65億円未達、41.4%減)、受注66.97億円(2.16倍)、受注残36.9億円(5.2倍)に。
ライフサイエンスは売上高12.20億円(計画比1.22億円未達、2.9%増)営業利益1.26億円(41.6%増)、受注9.56億円(19.0%減)に。
地域別では米国向けが276.37億円(20.9%増)とAMAT向け等が伸長、中国は263.04億円(6.1%減)もQ1低迷から急速に回復基調にある。韓国も73.93億円(21.0%増)、一方で台湾は139.99億円(18.3%減)とTSMC向けに加えOSAT向け等も不振で減少した。
全体の利益面では半導体関連装置の部材不足などの影響が緩和、売上高総利益率が1.0ポイント改善し37.8%となり総利益では35.257億円(1.3%増)と増益を確保した。一方、経費増、R&D費増、M&Aに伴う暖簾償却2.57億円増等で販管費の伸びが32.5%増となり、営業利益では減益に。
四半期推移では24/2Q4が売上高228.64億円(同期比1.2%減)、総利益114.98億円(同4.7%増)、営利83.75億円(3.5%減)、受注292.25億円(86.3%増)、受注残639.71億円(同12.5%増)と受注が大幅増に。これは半導体関連装置向けで主に中国向けが大きく伸長したため。
25/2期生成AI向け、HBM投資大幅増等で29.5%増収31.0%営利増予想と最高収益更新
25/2期会社予想は、売上高1207.84億円(29.5%増)、営業利益316.17億円(31.0%増)、経常利益315.18億円(16.4%増)、税引利益229.16億円(17.1%増)予想と、半導体設備投資拡大を受けて最高収益更新予想とした。
同社の半導体関連装置の主力ユーザーは半導体向けでAMAT、TSMC、マイクロン、FPDでサムソンなど。また24/2期は中国ローカルが会社設立ラッシュで中国向けが急拡大した。現在、先端デバイス向け設備投資でAI半導体など設備増強の動きがあり、25/2期は本格拡大が見込まれる。メモリ向けはAIサーバー向けにHBMの不足が深刻で、HBM向けの新規受注が相次ぐ。アドバンスドパッケージ用装置では、シリコンウエハ上でパッケージングする中工程が発生、複数のウエハを3Dに積層するが、高性能化のためにはウエハを薄くしてTSV(竪穴形成)技術を介して積層数を如何に増やすかがポイントで、中工程搬送システムの需要が高まる。また異種デバイスの積層化や3DNAND以外で2.5D構造など、先端デバイスの多様化も進んでいる。このため、先端デバイス向けの新たな需要拡大が見込める。既に24/2Q4で四半期最高売上を達成、24/2Q4受注も急拡大、この動きは新年度に入っても持続している。このため、半導体関連装置は売上で1023.99億円(29.7%増)を見込み、受注も過去最高額更新、MIX良化で収益最高更新が期待される。
またM&Aで子会社化したイアス社の製品群も成長が見込める。中心となる全自動VPD装置(自動気相分解装置)はSiウエハ中の金属不純物をICP-MS(誘導プラズマ質量分析法:溶液に含まれる元素濃度を高感度、多元素同時に分析できる装置)で自動分析するための前処理装置として開発された。半導体製造は金属汚染管理が重要で集積度の高まりから従来方法の全反射蛍光X線法(TRXF)では管理濃度が薄くなり検出限界に達した。このために前処理濃縮法としての気相分解装置を使って検出限界を2ケタ改善したうえでICP-MS分析する手法が主流になりつつある。またローツェの装置と併用し、異物混入防止のシナジー効果も期待できる。このため、今後も先端半導体の拡大で順調な売上拡大が期待される。
この他、FPDではサムスンがQD-OLED投資を行う見通しとなっている他、ライフサイエンス事業でも新製品の投入が期待されるなど、半導体、分析装置以外でも収益拡大が見込まれ、全体として最高益更新が続くとみられる。
株価は23/2期発表以降、期を追う毎に24/2期会社予想に対する進捗率が高まり、それとともに株価が上昇、HBM等の急拡大などを受け一本調子で上場来新値更新を続け、4/11の24/2期決算発表で25/2期に最高益更新予想が出たことも有り、週明けの4/15には30400円と3万円大台超えを演じた。上場来高値更新中で、現在、25/2期会社予想EPS1300.7円に対しPER19.1倍はプライム機械平均PER21.5倍に対し割安感が薄れた感がある。AMAT、TSMC、中国新興ローカルなどから受注拡大継続が見込まれ、最高益更新が続く見通しに有り、また9/1に1:10の株式分割を実施することを表明、当面、好材料を織込んだと判断、同社高値平均PER17.8倍に対しても上回っており、ややポジティブからニュートラルに変更したい。
9/1に1:10の株式分割(EPS、配当は分割後ベース)
(H.Mirai)
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