EVバッテリーリサイクル、「割の合う仕事」になるか 技術と供給網がカギ
2024/05/02 13:41
米ブルームバーグ通信は4月25日、電気自動車(EV)のバッテリーリサイクルが損益分岐点に達しつつあるとの分析を伝えた。米金属リサイクル大手のレッドウッド・マテリアルズ(Redwood Materials)などによる技術ならば、二酸化炭素(CO2)排出量を従来のEVバッテリーの生産過程に比べ最大80%削減することができるとしている。
ブルームバーグNEFの推計によると、米国の場合、EVが損益分岐点に達するには約4万5000キロメートルの走行が必要となる。これはリチウムやニッケル、コバルトなどの新品の材料を使った場合で、生産過程を含めると、EVの初期の排出量はガソリン車を上回る計算になる。廃車後にこれらの鉱物材料を廃棄するとなれば、さらに割高な製品と言える。
ただ、バッテリー材料の鉱物リサイクルが進めば、EV自体も割高な製品とは言えなくなってくるとブルームバーグは指摘した。カギはリサイクルの技術革新と併せて、サプライチェーン(供給網)をローカルに保つことなどが挙げられる。スタンフォード大学のレポートによると、バッテリーのリサイクルは従来の精製と比較して、エネルギー使用量を79%削減し、CO2排出量を55%削減したという。
例に挙がったレッドウッドの場合、使用済み電池から95%以上の金属を回収できるとしている。レッドウッドは電池材料を生産し、電池製造のパートナーに負極用の銅箔と正極用の活物質を供給している。2022年にはパナソニックエナジーとEV向け電池材料の供給契約を結んだ。
関連記事:パナソニック エナジー、車載用リチウムイオン電池部材 米社と調達契約――現地調達比率引き上げ | MIRU (iru-miru.com)
(IR Universe Kure)
関連記事
- 2025/06/16 動き出す「金属盗対策法」――指定金属切断工具の隠匿携帯には罰則
- 2025/06/16 豪Livium社 レアアースリサイクル推進へ 複数の抽出技術開発企業と協議中
- 2025/06/16 政府系科学機関CSIRO 黒鉛研究開発助成金プログラムへの応募開始 豪州の黒鉛を世界へ
- 2025/06/16 環境大臣政務官が、自動車リサイクルの最前線リバー川島・ELV川島事業所を視察
- 2025/06/16 産業用電子機器輸出入レポート#71パソコン輸入 台数17か月連続増加するも平均単価急落
- 2025/06/15 週刊バッテリートピックス「アイシンがファスナー式太陽電池」「FDKが高出力電池量産」など
- 2025/06/13 日本が中国製ソーラーパネル調査開始
- 2025/06/13 よう素輸出Report#6 2025年ノルウェー向け輸出伸び悩み 中国とインド向け輸出増加
- 2025/06/13 アンチモン輸入Report#15塊粉 輸入平均単価急騰続く ただ中国からの単価上昇一服
- 2025/06/13 アンチモン輸入Report#14酸化物 中国代替えタイとベルギーからの輸入増加続く