環境展2024〜資源循環のイマを捉えた光る企業
5月22日〜24日の日程で行われた、日報ビジネス社主催の環境展2024。昨年も同展には訪れたが、まだコロナの余韻があったのか、出展企業はなんとなく少ない印象だったが、今年はどうして、相当数のブースが出ていた。ここでは、現在の資源循環や廃棄物処理、再エネなどの光る企業をいくつか紹介したい。
■中部エコバイオ〜廃食用油フィーバー!地産地消でサステナブル
いま全国で、いや世界中で引っ張りだことなっている「廃食用油」。同社は、の2003年から廃食用油の再燃料化に取り組んできた。
現在の廃食用油の獲得合戦は、脱炭素に貢献する燃料「SAF」の引き合いが航空機の燃料代替を中心に過熱しているからで(石油由来でなく(バイオ)、従来廃棄されていたものを利用するためサステナブル)、再生事業者も自治体においても、いわゆる使用済み天ぷら油の回収に力を入れるようになっている。
ただ、同社が当初行なっていた廃食用油の再利用はバイオディーゼル燃料(BDF)を製造するビジネスモデルであり、自動車の噴霧装置の転換や、やはり品質要求を満たせられず、軌道には乗らなかった。
しかし、ここへきての脱炭素の流れから、もともとバイオ重油化などの技術を保有していたため、また潤滑油の製造などにも成功していたため、この廃食用油の再燃料及び潤滑油化に大きな商機を得るに至った。
同社は、地域の飲食店から排出される廃食用油を回収、再燃料化し、BDF、潤滑油(主にチェーンソウ用)として、主として地産地消をテーマに回収及び販売している。同社では廃食用油を現在1ℓ=5円で買い取っているというが、価格はこの3年ほどで、3倍に跳ね上がっているという。
■物井工機〜廃棄リチウムイオン電池の火災を未然に防ぐ!
同社は、東京日野に本社工場を置く、プラ圧縮減容器、PETボトル減容機、風力選別機などを製造する、環境関連機器のプラントライン設計〜据付までを行う企業で、創設は1968年にまで遡る、老舗企業だ。
そんな同社が今回の環境展で展示したのが『リチウムイオンバスターX』だ。周知のことかと思うが、現在、ごみ清掃工場などで、リチウムイオン電池が原因と見られる火災が頻発している。清掃工場の火災は、その復旧に膨大な費用(税金)がかかることも多く、またストップさせることができないごみ処理に大きな影響を与えもする。もちろん人命にも関わる。こうしたことから、自治体は、選別ラインにおいてかなり入念に「手選別」により、取り除いているが、しかし100%なわけではない。
今回展示されたリチウムイオンバスターXは、X線を使用して物体の密度を計測し検知するため、リチウムイオン電池等の特定を高い確度で検出が可能なのだという。それは、画像の形状認識機能も搭載しているからで、これにより今まで難しかった不燃ごみ処理施設での使用も可能となっている。
■CFP CORPORATION〜廃プラをケミカルで油化!CO2排出は焼却の半分
同社は、独自開発の廃プラの油化技術ケミカルリサイクルを紹介。サーキュラーエコノミーの推進に貢献していくとアピールしていた。
同社では、元々はプラスチック材料の売買及び廃プラのマテリアルリサイクルから出発しており、現在でも同リサイクルも行なっており、ケミカルと合わせてハイブリッドリサイクルと呼んでいる。
化学メーカーや包装材メーカーの工場から製造工程で生じたPE、PP、PSといった固形状の廃プラを買い取り400度まで加熱して分解、蒸留工程を経て、灯油や軽油、ナフサを生成する。これらは、三井化学(ナフサクラッカーに投入)、旭化成アドバンス(原料利用)に販売、利用されているという。
同社は、当初廃プラを油化する装置の販売をメインにしていたが、自社でもケミカルリサイクルプラント(笠間市)を持ち、生産を始めた。
同社によれば、ケミカルリサイクルは、焼却に比べ、CO2の排出は約半分に抑えられるといい、廃プラをリサイクルした油及びガス類を脱炭素アイテムとして、多くの企業に広く活用してほしいとアピールする。
(IR universe Kaneshige)
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