タツモ(6266) 24/12H1決算説明会メモ ポジティブ継続
24/12H1は55.6%増収、営利5.3倍も24/12期27.8%増収25.9%営利増変更なく増額期待
株価3350円(8/27) 時価総額497億円 発行済株14842千株
PER(DO予:11.9X)PBR(2.21X) 配当(DO予)40円 配当利回り:1.2%
要約
・24/12H1は55.6%増収、営利5.3倍と上振れ着地、受注も21.1%増と拡大
・24/12期27.8%増収25.9%営利増予想に変更なくHBM向け等拡大で増額期待
・25/12期に売上高406億円、経常利益50億円の中計目標は利益大幅上振れ期待
24/12H1は55.6%増収、営利5.3倍と上振れ着地、受注も21.1%増と拡大
塗布技術を生かした半導体装置、液晶製造装置を軸に事業展開、最近はパワー半導体、HBM向けに収益伸ばす。8/9に24/12H1を発表、決算説明資会が8/19に開催された。
24/12H1は売上高162.39億円(期初計画比6.26億円未達、55.6%増)、営業利益28.36億円(同7.26億円増額、5.3倍)、経常利益29.81億円(同48.91億円増額、4.2倍)、税引利益20.67億円(同6.12億円増額、15.1倍)と利益で大幅上振れとなった。受注も112.22億円(21.1%増)、受注残は検収が進み349.66億円(5.9%減)に。
半期セグメント別では主力のプロセス機器が売上138.78億円(計画比8.30億円未達、76.6%増)、営利27.45億円(同5.98億円増額、3.1倍)、受注93.43億円(23.2%増)、受注残268.07億円(8.5%減)に。収益性の高い半導体装置部門が売上高62.60億円(3.6倍)、受注50.46億円(42.2%増)、受注残高162.01億円(33.6%増)と上伸した。売上高はパワー半導体向けで仮貼合装置、支持体剥離装置、剥離層塗布装置(TB/DB装置群)など一部検収遅れがあるものの拡大が続いている。受注ではアドバンスドパッケージ向け装置がまとまった受注を獲得、全体の70~80%がアドバンスドパッケージ向けで占められる。パワー系はEV不振などもあり引き合いは多いものの一服状況に。搬送機器は売上高36.43億円(8.1%減)、受注35.48億円(17.2%増)、受注残42.68億円(16.0%減)と、売上面では半導体設備投資の鈍化影響で売上が減少、受注は中国メーカーからの引き合いが堅調。洗浄装置は売上高22.90億円(39.6%増)、受注4.85億円(24.9%減)、受注残高44.29億円(42.1%減)と売上は装置の検収遅れが一部あるもののウエハメーカー向け納入が寄与、一方で受注は大型受注の反動減から大幅減に。コーターは売上高16.83億円(3.2倍)、受注高2.63億円(15.7%減)、受注残高19.07億円(57.2%減)と、売上は遅延していた検収が進み増収、受注はFPD全般に停滞続く。全体を通じ利益面で収益性の高い半導体装置部門の寄与が大きく、増益幅も拡大した。
表面処理用機器は売上高20.56億円(計画比7.40億円増額、13.8%増)、営業利益1.77億円(同2.37億円増額、黒字転換)、受注15.87億円(50.9%増)、受注残高80.17億円(5.4%増)に。売上面では検収が順調に推移、受注はメッキ処理の設備投資先送りなどであるも小口案件でカバー。
全体を通じ、収益性の高い半導体装置の増収効果が大きく大幅な利益増に。
24/12期27.8%増収25.9%営利増予想に変更なくHBM向け等拡大で増額期待
24/12期会社予想に変更なく、売上高360億円(27.8%増)、営業利益46億円(25.9%増)、経常利益45億円(15.7%増)、税引利益30.60億円(29.8%増)予想を据え置いた。このため、24/12H2は売上増額、利益減額予想となる。
24/12H2では部門別にプロセス機器が8.30億円減額の138.93億円予想(同期比4.7%減、24/12H1比0.1%増)となる。サブセグメントで半導体装置が52.40億円(同期比3.9%増、24/12H1比16.3%減)となり、HBM,AI半導体向けの受注増からパワー半導体向けが一服も、これを補って増額が見込まれ、同事業での大幅増額が見込まれる。HBMではDRAMダイを積層する際にTSV接続が必要で、この加工はTB/DB工程で行われ、HBMの進化から積層数の増加でニーズも加速する方向にある。具体的に2022年のHBM3からDRAMダイ積層数が1.5倍の12層となり、2025年に投入が1年早まる予定のHBM4では16層が予定されている。またエヌビディアのAI用GPUではA100で6HBMが搭載されているが、次世代B200では次世代HBMが8個搭載されるとみられ、TB/DB工程数が加速する見通しにある。現状ユーザーはAIチップに組み入れるファンダリ向けが多いとのことであるが、今後組み合わせによりOSAT向けにも拡大が見込め、受注上振れが続こう。なお高シェアのパワー半導体向けはシリコン系一服もSiC向けが拡大するとみられ、24/12期115億円(70%増)予想はさらに上振れが見込まれる。搬送機器は売上高44.57億円(同期比12.2%増、H1比22.3%増)と受注拡大に伴いH2はH1比増収が見込まれ、会社想定並みの24/12期81億円(2.1%増)達成が見込まれる。洗浄装置向けは25.10億円(同期比5.9%増、H1比53.3%増)とウエハメーカーへの検収遅れがH2には売上に立つとみられ、24/12期予想58.0億円(17.1%増)は会社計画通りが見込まれる。コーターは6.87億円(同期比69.5%減、H1比59.2%減)予想とH1で検収遅れ分が計上もH2はFPD低迷影響から受注残も少なく、24/12期会社想23.7億円(14.6%減)は想定並みの厳しさが想定される。
表面処理機の24/12H2は売上高44.74億円(期初計画比7.40億円減額、同期比14.2%減)、営利4.21億円(同0.41億円増額、同期比10.8%増)予想となるが、24/12H1が大幅上振れし、受注も50.8%増となっており、国内外で引き合いも多く受注残も高水準のため、24/12H2で上振れが見込まれ24/12期65.30億円(53.0%増)、営利3.20億円(3.42億円改善し黒字転換)予想も増額が見込まれる。
全体を通じ、プロセス機器では半導体装置の増額、表面処理でも増額が見込まれ、加えて為替の円安効果も加わり、会社計画を上回る収益が期待される。
25/12期に売上高406億円、経常利益50億円の中計目標は利益大幅上振れ期待
会社側は「TAZMO Vision2025」で25/12期に売上高406億円、経常利益50億円達成を目指す。内訳は半導体装置で25/12期127億円、特に中心はTB/DBで、22/12期26億円に対し25/12期75億円を目指す。当初はシリコンパワー半導体でオン抵抗を下げる必要性から縦型構造の抵抗値をさげるためにウエハ薄化が求められ、工程数が増え需要が拡大、さらにSiC中心に化合物パワー半導体向けも高硬度で割れやすく、割れ防止や研削時間の長時間化などでTB/DBの必要性が高まるとみていた。但しここにきてパワー半導体全般はEVの伸び悩みなどで受注が一服し再拡大は25/12期になるとみている。一方でHBM向けは想定を上回る拡大で。現状、HBM市場はDRAM全体の10%程度から、26年には20%を超える見通しもある。このため、同社のTB/DBはHBM向けの寄与、パワー半導体向けの再度拡大が見込まれ、25/12期の125億円予想を大きく上回ってこよう。また搬送システムでは2024年後半から見込まれる先端プロセスの設備投資の回復から、中心となるEFEMの真空搬送ロボットも急拡大が見込まれる。さらにコーター分野では56億円(23/12期比94%増)を見込むが、これはFPD向けではなく、FPDで培った塗布技術を半導体製造に応用し拡大することが寄与する見通し。現在AI半導体ではFOWLP(Fan out wafer level package)でチップ一括製造による量産が進んでいる。この考え方をパネルレベルでの製造に応用する動きがあり、大面積化するAI半導体アドバンスドパッケージ向けにPLP装置(Panel level package)として拡大が見込まれる。既に開発テーマとして納入が進んでいる模様で、25/12期には受注獲得が期待される。
さらに同社は今回、新技術としてMEMSデバイスの封止技術に際し、新たにレーザーによる接合を開発、レーザー接合装置(LAB:Laser Assisted Bonder)を2025年に初投入し1億円規模、2026年に量産投入し5億円、2030年に周辺装置含め25億円を目指すことをアナウンスした。
全体として24/12期の増額で受注の急回復が見込まれ、25/12期は中計予想を上回る売上が見込まれ、利益では大きく上振れ達成が期待される。また25/12期以降も半導体装置を中心に、コーター分野も含め先端半導体分野向けの拡大、全自動ナノインプリント量産装置や新分野のレーザー接合装置なども加わり、収益の拡大が続こう。
株価は2/13の決算発表を受けて24/12期予想を好感、HBM関連としても注目を浴び、24/17には4490円の高値更新となった後で下落したが、5/14の24/12Q1好決算発表を予測し5/14には4470円まで戻した中、Q1決算進捗率が悪かったことから急落、市場の波乱もあり8/5には2226円と高値の半値水準まで売られ、その後、8/9の24/12H1決算が利益上振れたことで急反発、8/22には3585円まで戻し、この水準近くをキープしている。現在、24/12期会社予想EPS209.48円に対しPER16.0倍はプライム機械平均PER17.8倍に近い水準であり、HBM関連と言われるTOWA19.1倍、東京エレクトロン25.3倍、アドバンテスト43.0倍、ディスココンセンサス34.2倍に対し割安感があり、さらに上振れで割安感が強まろう。今後、24/12期増額修正が見込まれ、HBM,パワー半導体関連銘柄として最高益更新が続くとみられることから、ポジティブ継続としたい。
(H.Mirai)
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