接近する米豪 豪重要鉱物に米助成金? 豪リチウムやレアアース企業に米銀が融資
米国とオーストラリアが鉱業分野で接近している。米ニューヨークで9月23日まで開かれた国連総会に伴い、各国首脳陣の国連外交が繰り広げられた。米豪はその傍らで、重要鉱物を巡る話し合いを持った模様だ。時を同じくして豪金属企業に米銀が投資するとの話題もあり、蜜月ぶりが注目される。
■年末までに2国間の協定か
(出所:ウィキペディア)
鉱業専門メディアの mining weeklyは9月23日、アルバニージー豪首相が9月20日、訪問先のフィラデルフィアでバイデン米大統領との会談後に記者の質問に答え、「年末までに重要鉱物に関する米国との合意をまとめる予定だ」と話したと伝えた。アルバニージー氏は、「バイデン氏と重要鉱物の開発にどのように協力できるかを協議した。またカナダのような他の国や志を同じくする国々と、私たちの目標を達成するためのさらなる取り組みを行う可能性もある」と述べたという。
米豪の関係をめぐり、一部ではアルバーニージー氏はバイデン氏に対し、豪州の重要鉱物事業を米国の助成金の対象にすることも持ち掛けたとも伝わる。
■米輸出入銀、豪州のリチウムやレアアース企業に融資
個別のレベルでは、米豪の重要鉱物分野での融合は既に進展している。豪資源大手のアメリカン・レアアースは9月25日、「米輸出入銀行(EXIM)から4億5600万ドルの融資を受けることが決まった」と発表した。
EXIMを巡っては、リチウム生産を手掛ける豪アンソン・リソーシズの米工場に3億3000万ドルを融資したとも伝わった。EXIMは1月にも豪企業のレアアースプロジェクトを支援している。
■西側サプライチェーンの資源国としてアピール
重要鉱物に関するさらに広範な動きもある。米国国務省とSAFE重要鉱物戦略センターとの間の官民パートナーシップであるMinerals Investment Network for Vital Energy Security and Transition(MINVEST)は9月23日、同盟国との鉱物安全保障金融ネットワークの設立を発表した。
加盟国は米国のほか、豪州、カナダ、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、韓国、ノルウェー、スウェーデン、英国、欧州連合(欧州委員会が代表)だ。「重要鉱物の多様で安全で持続可能なサプライチェーンを前進させる」ことを目的とするが、いうまでもなく、重要鉱物分野での西側諸国の脱中国依存ネットワークの確立を目指したものだ。
このサプライチェーン(供給網)の中で、豪州はカナダと並ぶ資源国で、米国としては協力を惜しむ理由はない。他方、豪州の鉱業は金属価格の低迷で業績悪化に苦しむ。両社の思惑が一致し、距離はますます近づきそうだ。
(IR Universe Kure)
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