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アドテックプラズマテクノロジー(6668)24/8期WEB決算メモ ポジティブ継続

24/8期9.6%減収33.9%営利減とメモリ向け不振で収益低迷、25/8期収益回復限定的

株価(10/18)1348円     時価総額115億円   発行済株8,586千株

PER(DO25/8期予:8.0X) PBR(0.95X)配当予22円 配当利回り1.6%

 

要約

・24/8期9.6%減収33.9%営利減とメモリ向け不振で収益低迷受注、受注4.6%減と回復せず

・25/8期8.0%増収27.2%営利増予想と半導体製造装置向け受注回復緩慢で収益回復限定的

・26/8期は半導体事業で新製品効果が本格寄与、収益本格回復期待

 

 

24/8期9.6%減収33.9%営利減とメモリ向け不振で収益低迷受注、受注4.6%減と回復せず

 

 24/8期決算が10/11に発表され、10/17にWEB説明会が開催された。24/8期は売上高112.98億円(7/12修正予想比3.02億円未達、9.6%減)、営業利益14.85億円(同0.15億円未達、33.9%減)、経常利益16.12億円(同1.88億円未達、29.7%減)、税引利益12.13億円(同0.13億円増額、27.7%減)とIDX部門の期ずれ影響、円安一巡影響で、経常利益で未達幅が大きかった。受注高も94.24億円(4.6%減)と回復が遅れ、受注残高が58.18億円(24.4%減)となった。

 

 半導体・液晶関連事業が売上高105.39億円(8.3%減)、営業利益14.65億円(33.3%減)、受注高86.88億円(1.4%増)、受注残高48.45億円(27.6%減)、生産高55.95億円(9.8%減)に。顧客所在地別売上ではAMATが中心の米国向けがAMAT11.70億円(前期は非開示)と増加し16.60億円(12.6%増)、中国は22.73億円(32.2%増)と、もともとシェアが低かった市場で大幅に伸びた。その他アジアも20.56億円(84.9%増)と、韓国がアッシング装置向けなどHBM関連で伸長し10.67億円(2.44倍)、台湾も7.35億円(17.4%増)と堅調な推移となり全体で上伸した。一方、国内が28.21億円 (46.5%減)とエッチング装置向けが大幅減、一部ユーザーで高周波電源を使わないユーザーも出て大幅減、最大手ユーザーのASM向け(シンガポール)も13.71億円(10.8%減)からシンガポール向けが13.77億円(10.8%減)に止まり全体で減少となった。利益面では資材高、受注対応のため確保していた部材コスト高が響き、特に韓国向けなどでコスト高が影響、MIX悪化で総利益率が悪化し営利大幅減に。受注はQ1ボトムにQ3まで順調に回復もQ4で改めて伸び悩み微増にとどまる。

 

 IDX部門は売上高7.58億円(24.3%減)、営業損失0.52億円(0.56億円悪化し赤字転落)、受注7.36億円(43.7%減)、受注残9.73億円(2.2%減)と、一部研究所向け納期期ずれ発生4億円程度あり、計画未達から営業赤字転落。受注も研究所向けなどの低迷、一部新製品向け受注あるも全体では低迷、但し期ずれから受注残は2.2%減にとどまった。

 

 四半期半導体・液晶関連事業推移ではQ4が売上高30.49億円(同期比3.0%減、Q3比0.8%増)、営利4.49億円(同28.0%減、Q3比30.4%減)、受注24.36億円(同40.0%増、Q3比8.8%減)、となっている。売上面では回復基調も利益面ではQ4に韓国向けで高原価の出荷が多くなり、低迷継続となった。受注面ではQ1ボトムにQ3まで順調に回復してきたが、Q4では国内などで受注が伸び悩む。

 

25/8期8.0%増収27.2%営利増予想と半導体製造装置向け受注回復緩慢で収益回復限定的

 

 25/8期会社予想は売上高122億円(8.0%増)、営利18.9億円(27.2%増)、経常利益18.0億円(11.6%増)、税引利益13.0億円(7.1%増)予想と、半導体製造装置向け受注回復が遅れ、緩やかな収益回復を見込む。

 

 半導体製造装置向け受注推移は、スタートした9月が堅調も10月は若干下回る推移で、Q1はQ4比横ばい推移となる模様。地域別では悪かった日本がボトムを打った状況、一方で韓国はHBM投資が一息つく状況。中国についてはレガシーロジック半導体向けの好調が一服見通しで、25/8期は減少見通しとしている。光学系についてはアップル向けにiPhone17で蒸着装置向けに受注を獲得も、納入は26/8期になるとのことで、スパッタ装置向けに上期期待できるものの、蒸着装置向けは在庫調整が長引き全体として受注の急回復は見込めず、売上も伸び悩むとした。全体として先端半導体製造装置向けMark5の新規投入効果を期待するものの、本格的な売上寄与は26/8期になるとみられる。但し、利益面では部材価格高騰影響を受けた受注残高の減少、新規受注については短納期で収められることもあり、値上げ効果も出てくる見通しで、利益率の改善が進むとしている。

 

 IDXについては売上面で期ずれ分の計上が見込まれるものの、受注が大幅減となっており、受注面でバイポーラ電源などの新製品獲得が見込まれるが売上寄与は来期以降とみられ、利益では黒字転換するとみられるが売上は伸び悩もう。

 

 現状メモリ向けについて報道とは異なり投資活動の先延ばしが発生しており、同社決算期が8月で受注回復は下期にずれ込む見通しから、上期は会社想定に対し未達成、下期は会社想定と異なり、受注が大幅に回復するとみられ、売上も上期の未達分を埋めて25/8期は会社想定並みの売上、営業利益確保が可能とみられる。また経常利益は前回の反省から円高を見込んでいるが、円安継続で経常利益は上振れが見込まれる。受注は下期本格回復で通期では30%弱の伸びを確保しよう。

 

26/8期は半導体事業で新製品効果が本格寄与、収益本格回復期待

 

 26/8期はアドテックプラズマ単体として、半導体事業は最大手ユーザーであるALD最大手のASM向けの拡大に加え、ロジックではTSMCの熊本工場などの設備投資本格化もあり、ロジック向けの急回復が見込まれる。また遅延しているメモリ向け投資もマイクロンが北広島を含め国内で5000億円投資を実施、2026年先端メモリ量産予定で日本政府も最大1920億円の補助を行うことを決めるなど、25/8期下期からの受注回復、26/8期は大幅回復見通しにある。具体的には東京エレクトロン向けやアプライドマテリアルズ向けにエッチング用RF電源の新機種向け受注獲得を目指してきたが、24/8期までは需要先の要求台数である月産1000台の要求を満たせないなど受注獲得できなかったが、ベトナム工場拡張で対応が可能となっており、26/8期には新機種向けの大型受注獲得が視野に入ってこよう。

 

 同社は今後の取組として既存技術・製品での新市場開拓、新技術・新製品による現市場・新市場投入を図り、持続的な成長を目指すとしているが、現状、収益予想には織り込んでいないとしている。しかし、既にユーザーからの評価認定を終え、出荷が始まろうとしている新製品も多い。

 

 具体的には既存技術・製品での新市場開拓面で、IDXが民生用に直流バイポーラ電源の品揃えを強化、30KW製品が25/8期に光学系に採用され、26/8期には本格量産で売上拡大が見込まれる他、光学系以外でも採用の動きもある。また一度断念していたクリーニングなどで利用されるリモートプラズマ電源について、リモートプラズマ電源大手と協業して参入を図る。同社はRFで一般的に採用されている13.56MHzではなく、2.45GHzのマイクロ波を使う。RFと比較し、高プラズマ密度で加工性が高く、電子温度が低く、ウエハへのダメージが小さいという利点があり、半導体の微細加工、加工ダメージの低減、スループットの向上などの市場要求にこたえるものとして期待が高まっている。具体的には2024年12月にリモートプラズマ用マイクロ波システム開発が完成、マイクロ波電源はIDXの領域であるが、評価機を同社ベトナム工場で生産、26/8期後半に量産開始、27/8期には本格拡大を目指す。リモートプラズマソースとしての電源市場として2023年に3.6億ドルが2029年には13.25億ドルへ急拡大するとの予測(QYリサーチ)でもあり、米MKS Instruments、米Advanced Energy、韓国NewPowerPlasmanの大手3社の中の1社との協業とみられ、同社にとってかなりのインパクトがあると期待される。さらに同社はマイクロ波を利用したオートチューナーについて韓国メーカーへ出荷を始める。半導体製造におけるオートチューナーとは製造装置やプロセスの最適化を自動で行うシステム。同社はマイクロ波電源を利用した装置の状態やプロセス条件に応じて最適なマイクロ波パラメータをリアルタイムで調整し、均一で高品質な処理を実現するもの。オートチューナーメーカーとしてはスイスのCoMET、MKS Instruments、Advanced Energyなど市場規模が小さいこともあり世界でも数社しか手掛けていないとみられるが、既に同社は評価機を韓国メーカーに納入、量産納入待ちの状況にある。また帯域フィルタ、ARコーティング等のシフトレス光学フィルタを安定生産するためのイオンビームアシスト蒸着装置向けに光学系イオンソース用DC電源についてもメーカー評価が進行中で26/8期には量産が始まる可能性がある。

 

 新技術・新製品の投入については、まず世界最速RF制御電源のMarkVの投入に期待が高まる。従来機に比べ電力制御が1000倍以上高速化、ユーザーオリジナルパターン波形も高精細に制御可能で、連続出力、微細化などに求められるパルス出力、周波数のチューニング、チャンバー内の部材を破壊するアーク放電の抑制などをフルデジタル高速制御により複雑かつ多彩な出力が可能となっている。現在、ラインナップを拡充、先端プロセスに使用される次世代半導体製造装置向けの採用に向け期待が高まる。マイクロ波電源については従来のマグネトロンタイプに加え、発振周波数・発振波形、出力電力の安定性に優れた省エネタイプのマイクロ波ソリッドタイプ電源(電界効果トランジスタを利用)を半導体後工程製造装置メーカーと共同開発中。現在500W開発が終わり、1kW開発が進行中で、来期以降の実用化が待たれる。このほかにも電子マッチングユニット、電源メーカーとしてRF電力・インピーダンス計測器なども開発中で、その製品化にも期待がかかる。

 

 全体を通じ、先端半導体製造装置向けの拡大に加え、次世代光学薄膜製造装置向け、さらにはIDXのマイクロ波技術の応用拡大などで、26/8期には収益上伸が期待され、27/8期には再度最高益更新の期待がある。

 

 株価はQ2で大幅減額修正し4/23に1252円の年初来安値となった後、7/12のQ2発表時の増額修正を受け、さらに半導体製造装置の需要拡大期待などが高まり大きく上昇、9/30には2022年12月高値2066円を抜いて2184円の高値を付けていた。しかし10/11の本決算で7/12修正予想に対し未達成、しかも25/8期予想が期待外れとなったことで10/10の終値1918円から急落、10/17の説明会でも先行き不透明との説明があり、10/18には安値1339円まで下落し、年初来安値に近づきつつある。現在、25/8期会社予想EPS152.01円に対しPER8.9倍は東証スタンダード電機平均PER13.2倍に対し割安感がある。また高周波電源国内最大手のダイヘンの13.2倍、京三製作所8.01倍と似通った水準で、いずれも半導体製造装置の足元の受注状況の悪さで低いPER水準にある。現状、受注は底這いも利益は増益に転ずる見通しで、26/8期は最高益更新は27/8期にずれるとみられるものの大幅上伸するとみられる。このためこれまでは過剰な期待で株価上昇していた分が剥落しただけで、今期増配見通しを立てているなども評価、悪材料を織り込んだと判断、今年の高値2184円でPER14.4倍水準であり引き続きポジティブ継続としたい。

 

 

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

 

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