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マルマエ(6264) 24/8期決算メモ ネガティブ継続

24/8期は半導体不振で30.9%減収81.8%営利減、25/8期大幅収益拡大予想は減額懸念

株価1505円(10/28) 時価総額196億円  発行済株13053千株 

PER(25/8期DO予22.4X)PBR(2.66X)配当(25/8期会予)30円  配当利回り3.3%

 

要約

・24/8期は半導体不振、FPD低迷継続で30.9%減収81.8%営利減、0.6%受注増と失速継続

・25/8期半導体向け既存顧客に加え新規売上寄与で60%増収、営利16億円予想は達成懸念

・中計大幅減額見直しし26/8期売上高120億円、営利36億円目標に修正も達成努力必要

 

24/8期は半導体不振、FPD低迷継続で30.9%減収81.8%営利減、0.6%受注増と失速継続

 

 半導体製造装置の真空部品や各種高精度部品を中心に事業展開。マルマエの企業名の由来は「丸く角が立たないように前に事業を進めていくこと」を大切にしていきたいという意味で創業者が命名。主力ユーザーは東京エレクトロン、日本発条など。

 

 24/8期決算は売上高47.49億円(期初計画比22.51億円未達、3/28減額修正予想比0.65億円増額、30.9%減)、営業利益1.56億円(同5.24億円未達、同0.79億円増額、81.8%減)とQ2時点での大幅減額修正予想並みの収益となった。なお受注51.97億円(0.6%増)、受注残高16.88億円(53.3%増)とボトムは確認した本格拡大には至っていない。

 

 セグメント別では半導体分野が売上高35.58億円(期初計画比3.51億円未達、3/28修正予想比1.57億円増額、21.5%減)、受注高37.94億円(13.4%増)、受注残8.95億円(35.7%増)となった。売上で日本発条向けが13.66億円(35.1%減)、東京エレクトロン宮城7.68億円(36.1%減)、東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ6.81億円(43.3%減)など、半導体製造装置の不振、生産調整の影響を大きく受けて大幅減収に。半導体製造用、同消耗品売上別では消耗品売上が18.93億円(32.9%減)、製造用16.65億円(2.9%減)と、半導体製造の低迷、とりわけエッチング装置が多用されるメモリ不況の影響をもろに受けた形で消耗品の低迷が響いているとみられる。

 

 四半期でも厳しさは続いているが、23/8Q3の受注5.81億円をボトムに回復、新規顧客向けの受注拡大もあり、24/8Q3から10億円大台を回復している。BBレシオでも24/8Q2より1を超えている。既存企業向けも在庫調整の緩和、メモリ生産も漸く回復している。

 

 FPD分野は売上高10.09億円(期初計画比0.86億円増額、3/28予想比0.73億円増額、30.2%増)、受注13.15億円(72.6%増)、受注残7.40億円(70.6%増)に。LCD向けが停滞もG8のOLED向けでEBW(電子ビーム溶接)関連による受注獲得から大幅に受注・売上が拡大した。売上で消耗品部材は1.34億円(11.8%減)、製造部品で8.75億円(40.4%増)となっている。PV他では売上高1.81億円(期初計画比21.67億円未達、3/28予想比2.09億円未達、88.4%減)、受注は0.88億円(91.7%減)とコアテクノロジー向けPV製造装置部品の反動減、新たな引合いも受注成約遅れが影響した。

 

 利益面では減収影響で労務費12.97億円(12.1%減)、人件費3.60億円(4.6%減)、設備投資抑制も減価償却費8.12億円(12.5%減)等を補えず、外注加工5.09億円(40.4%減)、材料費高騰一巡7.88億円(30.9%減)などの効果はあったものの、売上総利益率が5.5ポイント低下し17.5%となり、販管費比率も3.7ポイント高まり、大幅営業減益に。

 

25/8期半導体向け既存顧客に加え新規売上寄与で60%増収、営利16億円予想は達成懸念

 

 25/8期会社予想は売上高76億円(60.0%増)、営利16億円(10.3倍)予想。半導体分野で新規顧客向け売上を13.9億円見込み、既存ユーザーで47.7億円(34%増)、半導体分野全体で61.58億円(73.1%増)を見込む。同社は新規ユーザ(直近3年以内に獲得したユーザー)のPOR(決められた仕様で部品を繰り返し製造するための一連の定義済みステップ)拡大を推進しているが、新規ユーザー向けは上期から寄与する見通し。なお新規顧客を念頭に、半導体向け製造能力を24/8期月産8.1億円に対し25/8期は9.5億円まで引上げる計画。FPDは12.24億円(21.4%増)予想と、引き続きOLED向けの拡大を見込む。PVその他については中国PV市場の不透明感から2.18億円(19.1%増)と慎重な見方をとっている。

 

 利益面ではコスト要因として製造原価での償却費8.7億円(7.4%増)、労務費16.08億円(24.0%増)を見込むが、増収効果による稼働率アップ、半導体向けの拡大によるMIX良化などから大幅増益を見込む。

 

 現状、半導体製造装置においてはAIに関連してAIロジック、HBM関連など、限られた分野での拡大はあるものの、全体としては多少回復が遅れている模様。同社収益についても上期の収益について未達懸念があり、25/8期については減額修正のリスクがあると見られる。

 

中計大幅減額見直しし26/8期売上高120億円、営利36億円目標に修正も達成努力必要


 同社は昨年6/3に中期事業計画「イノベーション2025」を策定、25/8期に売上高140億円、営業利益42億円を目標値とした。しかし23/8期収益低迷、24/8期も収益低迷計継続となり、中計目標を26/8期に売上高120億円、営利36億円目標に修正した。事業別では半導体事業の拡大を柱とし半導体で26/8期に102億円(既存60億円、新規42億円)、FPD他で18億円とした。

 

 計画の柱は先端半導体向けで新規顧客の取り込みにある。同社は新規ユーザーの開示を控えているが、同社の位置する九州地区はTSMCの熊本新工場JASMの他、九州シリコンアイランドといわれるがごとく数多くの半導体製造企業が立地、この中に新規ユーザーが含まれているとみられる。

 

 また九州における半導体関連設備投資はJASMだけで第1、第2工場合計で200億ドルとされている。その他でも、公表されているだけでも1.5兆円近くにのぼるとみられる。このため、同社の半導体事業はいよいよ回復から本格拡大に向かうとみられる。但し足元では既存ユーザーの回復が期待ほどではないとみられ、中計達成にはかなりの努力が必要とみられる。

 

 

 株価は3/28の大幅減額修正を受けて下落を続け、市場暴落時の8/5には1280円まで下落、その後多少戻ったもののもさえない動きで終始している。10/11に25/8期大幅回復見通しを開示したものの、一時的上昇に止まり、現在は1500円前後で推移している。現状、25/8期会社予想EPS84.16円に対しPER17.9倍はプライム機械平均PER16.1倍に対し若干割高で、東京エレクトロンのPER23倍予想に対しては割安も半導体製造装置メジャー企業とは言えず、25/8期も上期に減額修正リスクがあるとみられ、当面ネガティブ継続としたい。

 

*東京エレクトロンとの株価比較

 

 

(H.Mirai)

 

 

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