銀、24年は1億8000万トロイオンスの供給不足か Silver institute予測
米シンクタンクのシルバー協会(Silver institute)は11月12日、ホームページ上で、2024年の銀需給について最新見通しを発表した。産業需要が大幅に回復する中、4年連続で供給不足が続くと予測した。
■リサイクル活発も太陽光電向け需要が旺盛
プレスリリース:Global Industrial Demand on Track for a New Record High in 2024 |
報告によると、2024年のリサイクルを含めた銀の総供給量は前年比1.7%増の10億2600万トロイオンス。一方、産業向けを含めた総需要量は0.8%増の12億800万トロイオンスで、差し引き1億8400万トロイオンスの需要超過・供給不足となる。
まず供給は、主要生産国であるメキシコ、チリ、米国での生産が堅調で、特にメキシコがインフラ向上や米金属大手の生産再開などで生産量を伸ばす見通しだ。また、欧米での銀器スクラップの増加などを受け、リサイクルも5%ほど増加するとみられる。
一方の需要は産業向けが7%増とけん引する。主力の太陽光発電(PV)向けのほか、充電ステーションを含めた電気自動車(EV)関連の需要も大きい。装飾品向けは前年までに引き続きインドの需要が大きく、米国向けも堅調だ。
2024年まで10年間の銀需給の推移
(出所:silver institute)
■価格は国内37%高
供給不足の長期化と金に対する出遅れ感から、銀価格は2024年は上げ足を速めてきた。NY銀価格は11月13日に$30.64/tozと年初比で26%高い水準にある。10月下旬には$35を超える場面もあった。2011年に付けた過去最高値($48)には遠いとはいえ、およそ12年ぶりの高値圏にある。
国内銀価格(山元建値)は円安・ドル高も価格の押し上げ要因となり、11月13日にJPY15万5260円と、過去最高値圏に上昇。年初からの上昇率も37%に達した。
過去1年間の国内外の銀価格の推移($/toz)(JPY/Kg)
供給不足の規模は2022年の2億6000万トロイオンスをピークに、その後は小幅ながらも縮小してはいる。Silver instituteも報告で「不足額の規模は横ばい」とした上で、需給がともに増加していることから「供給不足は当然続きそうだ」とした。
(IR Universe Kure)
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