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PILLAR(6490) 25/3H1WEB決算メモ ポジティブ継続

25/3期変更なく5.8%増収8.5%営利減予想は増額期待、26/3期再度最高益へ

株価4545円(11/18) 時価総額 1138億円   発行済株25042千株 

PER(25/3DO予:10.8X)PBR(1.49X) 配当(25/3DO予)140円 配当性向3.1%

 

要約

・25/3H1は1.6%増収ながら15.5%営利減と部材高、スポット費用等嵩み2桁減益

・25/3期変更なく5.8%増収8.5%営利減予想は半導体向け受注増などで増額期待

・新中計として26/3期に売上高660億円、営業利益170億円目標は上振れ期待

 

25/3H1は1.6%増収ながら15.5%営利減と部材高、スポット費用等嵩み2桁減益


 流体制御関連の総合シールメーカー。11/11に25/3H1決算が開示され、11/13にWEB説明会が実施された。25/3H1は売上高25.34億円(1.6%増)、営業利益58.25億円(15.5%減)、経常利益57.54億円(22.9%減)、税引利益38.87億円(24.8%減)、受注268.85億円(8.6%増)、受注残134.61億円(32.0%減)となった。受注が回復、豊富受注残の消化が進み半導体向けは売上堅調維持、タンケンシールセーコウ(以下TS)のM&A効果もあり売上は半期で過去最高を記録した。一方、利益は部材高、設備増強による償却負担増、社名変更などスポット費用増などが嵩み2ケタ営利減に。

 

 セグメント別では電子機器関連が売上高195.16億円(1.3%減)、営利47.59億円(15.9%減)、受注173.49億円(5.9%増)、受注残高87.99億円(48.9%減)に。半導体製造装置向けフッ素樹脂製品群の受注が半導体設備投資一服で急減も、豊富な受注残の消化が進み売上微減にどどまった。減収の要因は免振装置2.0億円、一般産業用フッ素樹脂が0.5億円あり、半導体向けはほぼ横ばいを確保している。なお受注残高は漸く標準的な水準となったとのこと。利益面では値上げ効果があるものの材料費アップ影響、福知山工場の償却負担増、稼働率低下などで営業利益率が28.6%から4.2ポイント低下し24.4%となり2ケタ減益に。

 

 産業機器関連は売上高89.96億円(8.8%増)、営利10.50億円(14.3%減)、受注95.46億円(14.1%増)、受注残46.61億円(3.2%減)。売上面では半導体製造CMP向けロータリージョイントが客先の在庫調整から低迷、メカニカルシール等も一服も、タンケンシールセーコウ買収効果で6億円寄与し国内76.18億円(5.7%増)が寄与、売上は過去最高を更新した。利益面では三田工場の償却負担増などが影響、MIX悪化もあり減益に。

 

 市場別売上(単独ベース)では、半導体・液晶向けが169.29億円(0.7%減)と中国市場向けが堅調も、CMP向けメカニカルシール等の不振で微減収に。化学分野は20.40億円(11.1%減)と継手、チューブが低調、海外向けプラントなども減少した。石油・鉄鋼・輸送向けは22.26億円(20.4%増)と国内外のメンテナンス需要、安全化対策案件機器の受注が寄与した。土木・建築向けは13.71億円(10.6%減)と半導体・医療施設向け免震装置の反動減が影響した。電力・エネルギーも7.99億円(14.5%減)で国内定修需要が低調に推移した。

 

 利益の増減要因では、値上げを含む増収効果で2.7億円、為替の円安効果で4.5億円の増益要因に対し、原材料高3億円の他、MIX悪化などのコスト増が5.5億円、製造経費増7億円(内減価償却費増5億円)、販売管理費もR&D費2億円、社名変更等の一時費用が2.5億円、人件費増などで5.1億円増加し、利益を圧迫した。

 

25/3期変更なく5.8%増収8.5%営利減予想は半導体向け受注増などで増額期待

 

 25/3期予想に変更はなく、売上高620億円(5.8%増)、営利130億円(8.5%減)、経常利益130億円(13.9%減)、税引利益90億円(16.5%減)予想を据え置いた。

 

 

 セグメント別でも変更なく、電子機器関連が売上高437億円(8.0%増)、営利105億円(6.7%減)。半導体関連の拡大が続く見通しで増収も、免震装置が反動減7億円などを見込み、利益は償却負担増影響で減益見通し。産業機器関連は売上高183億円(1.1%増)、営利25億円(14.6%減)予想と、精密メカニカルシールの回復が在庫調整の影響で下期以降になる見通しの他、プラント向けが落ち着き、利益面では償却負担増やMIX悪化で営利2ケタ減予想としている。

 

 利益の増減要因では一部変更があり、値上げ効果を含む販売増を22億円(期初計画比6億円減、内値上げ影響を10億円)、為替影響4.5億円(同4.5億円増額)の増益要因に対し、材料費、外注加工費、製品MIX変化による影響10億円(同1億円悪化下期も原材料高あり通期で4億円強)、製造経費増18億円(同1億円改善、大きいのは償却費増10億円、その他人件費増1億円など)、販売管理費増10億円(同2億円削減、人件費3億円、社名変更1000周年記念費など3.5億円)、その他0.5億円減との見通し。

 

 現状、半導体製造装置業界では洗浄装置が堅調、同社最大ユーザーのスクリーンの収益拡大が続く見通しの中で25/3H1でも増額修正を行い25/3期はSPE売上4730億円(期初計画比130億円増額、7/26予想比100億円増額、前期比13.3%増)予想としている他、荏原製作所も24/12期予想でCMP受注が1690億円(43%増)、売上1540億円(6.4%増)と生成AI向け半導体の需要の拡大でCMP工程の大幅増から受注が急拡大している。その他中国向けにCMP以外の半導体製造装置向けが見込めるため、半導体製造装置向け受注の本格回復が見込める。さらに国内での半導体、半導体関連材料メーカーの大型設備投資が相次ぎ、フッ素樹脂製品群の拡大が続こう。既に受注面ではボトムを脱した状況にあり、下期は需要先の需要拡大に伴い売上増額が見込める。

 

 利益面では材料高、大型設備実行での償却負担増も有り、営業減益を見込むが、実質は減価償却費増、R&D増が主因で、下期は新工場の生産効率向上も見込まれ、利益率の改善も進むとみられ、売上増額で利益も1ケタ減益に転じよう。産業機器関連はタンケンシールセーコウが想定以上の収益で2期連続最高収益更新見通しとのことで、CMP向けロータリージョイントの回復も加わり産業関連機器もMIX良化で収益増額、営業利益も微減益に転じるとみられる。

 

 全体を通じ、恵まれたユーザー向けの拡大に支えられ増額修正が見込まれ、結果として4期連続売上最高更新、営業利益では1ケタ減益に止まるものの、EBITDAでは175億円(3.8%増)で最高更新が期待される。

 

新中計として26/3期に売上高660億円、営業利益170億円目標は上振れ達成期待

 

 同社は新中期経営計画を策定、26/3期に売上高660億円、営業利益170億円を目標として掲げている。事業別で電子機器事業が売上高480億円、営利145億円、産業機器事業が売上高180億円、営利25億円を目指し、既に24/3期が計画比増額修正、25/3期も会社計画を上回る見通し。

 

 現状、24年7月に出された半導体製造装置販売予測(SEAJ予想)では、25年度にロジック・ファウンドリー、メモリー全体で堅調な投資から4兆6,774億円(10%増)予想、26年度もAI関連半導体の需要押上げ効果が顕在化し5兆1,452億円(10%増)と予測している。この中で需要先としてAI サーバー向けGPUが極めて需要旺盛からHBM需要が急増、同社が関わる洗浄工程やCMPによる薄化、平坦化工程の重要度が増す動きから、同社製品は市場の伸びを上回る成長が期待される。さらに25/3期後半から国内半導体工場新設も製造装置の設置ラッシュとなる見通し。このため製造装置向けに加え、半導体工場向け、半導体部材のインフラ投資でも需要増が見込める。さらに車載関連では自動運転などに向けADAS向けフッ素樹脂基板なども次世代ミリ波対応で再拡大が期待され、中計の上振れ達成が期待される。

 

 株価は期初に25/3期会社予想を減益予想としたため6700円から急落、全体相場が下落した8/5には3905円まで下落、その後もさえない動きで9/9には3865円まで売り込まれた後、現在は多少戻した状況にある。現在25/3期会社予想EPS386.17円に対しPER11.8倍はプライム市場機械平均PER16.6倍に対し割安感がある。なお類似事業を行うニチアス13.2倍、バルカー11.4倍、イーグル工業12.8倍とほぼ同じ水準にある。同業界の代表企業であり、主力ユーザーに増額修正が続くスクリーン、またこれからAI半導体向けで急拡大が見込めるCMPの荏原などがあり、25/3期も増額修正が期待され、26/3期中計の上振れ達成も見込めるだけにポジティブ継続としたい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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