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紙・古紙市場近況 12月:冷え込む古紙輸出と停滞気味の国内市場

 12月の紙、板紙需給、および古紙市場の動向を、国内における需要と海外事情の両面から見ていく事にする。

国内の紙・古紙の市場以上に欧米の古紙市場の下げ止まりが止まらず、さらに国内では業態転換を強いられるという強い逆風が吹いている。

 

 

 「紙・板紙需給」12月

 

 

 紙・板紙の国内出荷は前年同月比1.8%減、2ヶ月ぶりのマイナス。グラフィック用紙は3.7%減、2ヶ月ぶりのマイナス。パッケージング用紙は1.3%減、2ヶ月ぶりのマイナス。主要品種は非塗工紙、包装用紙、衛生用紙、白板紙はプラスも、新聞用紙、塗工紙、情報用紙、段ボール原紙はマイナス。

 

  紙・板紙の輸出は前年同月比18.0%減、2ヶ月連続のマイナス。グラフィック用紙は10.7%減、8ヶ月ぶりのマイナス。パッケージング用紙は21.6%減、2ヶ月連続のマイナス。グラフィック用紙では、塗工紙が東アジア、東南アジア向けで減少。パッケージング用紙では、段ボール原紙が東アジア向けを中心に減少。

 

 (紙板紙需給統計)

https://www.jpa.gr.jp/file/summary/20241219020934-1.pdf

 

 

 「古紙需給」

 

  古紙の需給状況について、公益財団法人古紙再生促進センターの資料によれば昨年10月から今年10月までの古紙回収量は古紙1,216万8,014tとなり前年同期比で1.9%減少。消費は1,222万6,756tで前年同期比1.4%減少。輸出量は今年1月から11月時点で185万2,550トンと同比9.2%の減少となっている。

 

 古紙の同期比については回収量・消費量はどちらもより一層例年通りの量に近づく一方で、輸出量は金額こそ前年比9%増しだが、輸出量は輪をかけて大きく減少傾向となっている。これまで需要があると見られていた東南アジア諸国向けの輸出量が軒並み低下している事から、今後の市場開拓が必要な時期に差し掛かったと見て良いだろう。

 

 (古紙需給)

 (古紙輸出量)

 

(出典:古紙再生促進センター資料)

 

  古紙の需給は、入荷は1,315千トンで前年比5.5%増、3ヶ月ぶりの増加。うち新聞古紙は151千トンで前年比8.3%減、39ヶ月連続の減少。段ボール古紙は826千トンで前年比8.9%増、4ヶ月連続の増加となった。消費は1,299千トンで前年比2.8%増、2ヶ月ぶりの増加となった。在庫は513千トン、前月比では3.2%増、前年比では9.7%減となった。輸出は127千トンで前年比32.0%減、4ヶ月連続の減少となった。ベトナム、台湾が主な輸出先である。

 

 今回雑誌古紙の在庫の伸びが著しいが、新聞古紙が全体的に捌ける結果となった。輸出においてはどれも低調気味となっており、今後もまだ調子が戻らない見込みだろう。


 

「各国の古紙輸出価格と動向」

 

  米国OCCはやや反発している。米OCC(#11)の輸出価格は、前月は160〜165ドルだったが、5ドル上昇して165〜170ドルとなっている。また米OCC(#12)も上昇しており、マレーシア向けは180~185ドル、ベトナム向けは175〜185ドルとなっており、こちらは5~10ドル上昇した。ただ古紙価格の値上げに反発も大きく、ベトナムはまだ直近価格と安い価格が混在する形になっている。

 

 米国の国内需要がやや低調であることや、正月と旧正月の停滞もあり、輸出価格の上昇は限定的という見方が強い。今年1年の米国古紙価格の動向を振り返ると、今年5~6月が価格の山で、米OCC(#11)は230ドル、米OCC(#12)は240ドル、米DLKは265ドルだった。しかしその後は米国・欧州・中国が揃って経済不況に陥ったことで、段原紙価格・段ボール古紙価格の両方が下落。米OCC(#11)は170ドル、米OCC(#12)は180ドルまで下落した。日本と同様に、6~8月及び11~12月にはフレート(海上運賃)の急上昇とコンテナ不足の中で、ドル価の下落が続いた。

 

 米国のOCC以外の古紙では、ONPとOMG、MIXは7月にピーク、SOPは9月にピークを迎えた。ONPは210ドル、OMGは7月と9月に240ドル、SOPは9月に280ドル、MIXは7月に145ドルとなり、7~9月にピークが重なった。米国古紙は、OCC・DLKはピーク比55~65ドルの下落で、それ以外は20~45ドルの下落となっている。

 

欧州における古紙輸出価格動向

 

 欧州も米国とほとんど同様の価格推移となっている。OCC・選別OCCともに今年5月がピークとなり、185ドル・190ドルとなった。しかしその後は7ヵ月連続で下落が続き、現在は130ドルで、ピーク比で55ドルの下落となった。欧州の選別OCCも同様で、5月ピークの190ドルから、現在は135ドルとなり、こちらも55ドルの下落となっている。またONPのピークは8~10月の210ドルで、現在は35ドル下落して175ドルとなっている。

 

日本の古紙輸出価格動向

 

 日本OCC輸出価格は160~165ドルで推移している。円価では14~15円のオファー(成約ではない)もあるというが、そこまでの投げ売りは行われていない。ただ年末に近づくほどコンテナが取れなくなり、条件的にも不利になるので、関東を中心に売り急ぐ状況が依然として続いている。

 

 表中では日ONPの輸出価格は11月の270ドルから275ドルに上昇しているが、実際の動きとしては270→285→275ドルという推移となっている。また日OMGは11月の190ドルから12月は200ドルとなり、10ドルの上昇となった。国内の白板紙需要が上がっており、雑誌は内外で取り合いとなっている。

 

中国の価格動向

 

 中国の段原紙価格と国内古紙価格は今年10月からようやく反発して上昇している。国内OCC価格は、今年は1年を通じて低調だったこともあり、今年12月がピークの価格となり、広東B級では236ドル、江蘇B級は233ドルとなった。どちらもボトムが212ドル・210ドルなので、今年はほとんど価格変動がなく、低調な価格帯が続いていたことが分かる。

 

 しかしOCC以外の古紙は反騰しておらず、ONP・OMG・SOPともに今年1月がピークの価格となっている。ONPは368ドル、OMGは255ドル、SOPは231ドルがピークの価格だった。

 

 また段原紙価格だが、こちらも今年1月がピークの価格となっている。しかし10月以降は上昇しており、下がり過ぎた反動からもう少し上昇しても不思議ではない。今年1月は広東ライナーが524ドルだったが、今年9月には449ドルまで下落した。実に75ドルの下落である。10月から反騰しているものの、下落幅が大きかったので、まだ元値に戻っていない。広東の中芯も今年1月の474ドルがピークで、8月には408ドルまで下落した。こちらも66ドルの下落であり、300ドル台目前で反騰し、現在は456ドルとなっている。だがどちらも急激に需要が上がった訳ではなく、下がり過ぎた反動だと言えるだろう。

 

(国内の上質紙価格と雑誌古紙価格の推移 市中実勢 JPY/kg )

 

「国内における古紙価格事情」

 

 12月の国内古紙市況は、品種によっては高値を是正する局面となっている。①板紙が10〜12月の需要期のヤマ場を越えたこと、②フレート上昇などを受け、段ボール古紙を中心に輸出価格が下落したことが主な要因だ。段ボール古紙の輸出価格が20円台を割ってきたことで、国内スポットの高値は消滅。レギュラー価格の是正も慎重ながら、0.5~1円下げた。国内向けの段ボール古紙の中心価格は20〜22円となっている。

 一方、新聞や雑誌の国内価格は底堅い。新聞が32~38円、雑誌が18~22円で取引数量の多寡などによってバラつきも大きい。

 雑誌は白板紙向けの一部では、段ボールを上回るケースも出てきた。ただし、段原紙向けでは、雑誌の高止まりから配合減にも繋がっている。家庭紙向けの雑誌は、価格差の広がりで上昇圧力にもなっているようだ。

 新聞は30円台半ばから後半が中心値であるが、生産量が落ちゆく新聞用紙の採算性を確保すべく、パルプ配合増を検討するメーカーもいるなど、高値をけん制する動きが出始めている。

 製紙メーカー各社の第2四半期の決算発表によると、営業利益の変動要因として、古紙はいずれも減益要因となった。上期(4月~9月)に想定以上に古紙調達価格が上がったためだ。この期間、古紙によって王子HDは▲37億円、レンゴーは▲17億円、日本製紙は▲26億円、大王製紙は▲17億円の減益要因になった。これを半年分の古紙消費量で割ると、全品種の平均値であるが概算の上昇幅がわかる。王子HDは2円、レンゴーは1.4円、日本製紙は2.5円、大王製紙は1.7円となっており、日本製紙の上昇幅がもっとも大きかった。

 

(IRuniverse Ryuji Ichimura)

 

 

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