週刊バッテリートピックス 「中国が電池生産技術を輸出規制か」「マツダ山口に新工場」など
2024年12月23日~2025年1月5日は、年明け早々から中国の輸出規制ニュースが世界を駆け巡った。同国は米28社への輸出を禁止。さらに、電池の生産技術の輸出規制を検討しているとされた。国内では、マツダの電池工場建設観測が明るい話題。電気自動車(EV)はステランティスの不調に象徴される通りさえないが、企業の意欲は今年も強い。
<国内>
●マツダ、山口県にEV電池工場を新設へ
マツダがEV用電池の工場を山口県岩国市内に新設する。NHK山口が1月2日に伝えた。
建材メーカーの旭化成建材(本社:東京)の岩国工場跡地を活用することで、既に旭化成建材側と売買契約を結んだと伝わった。工場の敷地面積は約19万平方メートルで、数百人規模の工場になる見通し。パナソニックホールディングス傘下のパナソニックエナジーから調達した電池部品を組み立てる。2027年度の稼働を目指す。
●積水化学、ペロブスカイト太陽電池を量産化
積水化学工業は12月26日、自社ホームページ上で、「ペロブスカイト太陽電池の量産化を開始する」と発表した。シャープから取得した堺工場の施設を利用し、日本政策投資銀行の出資を受けた新会社を設立する。
関連記事:積水化学、ペロブスカイト太陽電池を量産へ シャープの酒井工場を一部取得、新会社設立 | MIRU
●大阪万博会場のバスターミナルに大型ペロブスカイト太陽電池
2025年は万博イヤー
大阪・関西万博の開催に向け、会場近くの交通ターミナルに「ペロブスカイト太陽電池」が設置された。万博を主催する日本国際博覧会協会が12月24日に現場を報道陣に公開し、日本経済新聞などが同日伝えた。
積水化学工業が設置を担った。長さ1キロの屋根のうち、4分の1の250メートルに、長さ2メートル幅1メートルのペロブスカイト太陽電池を257枚並べた。発電した電気は屋根の天井側にあるLED照明に使う。雨天などで発電できない時にも電気を賄えるよう、蓄電池と組み合わせて運用する。発電効率は10数%を見込む。
<海外>
●欧ステランティス、24年のイタリアでの生産台数は37%減 増産難航か
イタリアの労働組合である金属機械労働者聯盟(FIM-CISM)は1月3日、ホームページ上で、「欧州自動車大手ステランティスの2024年の自動車生産台数は47万5090台で、2023年(75万1384台)から37%減った」と発表した。このうち乗用車は46%減、商用車が17%減。乗用車の生産台数は1956年以来の低水準だった。
ステランティスは12月18日にイタリアでの増産計画を発表していた。ただ、ロイター通信によれば、イタリアでの増産は早くても2026年からという。
関連記事:欧州からの風:December 2024「ステランティス、イタリアにおけるハイブリッド・EVへの投資拡大を発表」 | MIRU
●中国、電池生産技術を輸出規制か 米企業28社を禁輸対象に
中国商務省は電池部品の製造や重要鉱物であるリチウムとガリウムの加工に使用される技術の輸出規制を提案した。時事通信などの複数メディアが1月2日に発表された文書の内容として同日伝えた。
また、同省は1月2日には、米国企業28社について軍民両用に活用できる物資などの輸出先として禁止すると発表した。このうち10社には台湾への武器売却に関わったとして、調達などを含む中国での商業活動および貿易を禁じた。
プレスリリース:商务部公告2025年第1号 公布将28家美国实体列入出口管制管控名单
プレスリリース:不可靠实体清单工作机制关于对洛克希德·马丁导弹与火控公司等10家美国企业采取不可靠实体清单措施的公告
●CATL、安全性向上のEV車台を発表
車載電池世界最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は12月24日、自社ホームページ上で、電池を内部搭載したEV車台の新製品を発表した。「CTC(セル・ツー・シャシー)」と呼ぶ技術を活用したスケートボード型のプラットホーム(車台)「磐石底盤」を備え、時速120キロメートルで衝突しても電池が発火しないとした。
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プレスリリース:CATL Launches the Bedrock Chassis That Withstands 120 km/h Impact Without Catching Fire or Exploding
●miru、2024年の電池関連重大ニュースをチョイス
【年末企画 電池業界2024年重大ニュース その1】EV、LIBの失速と日本のLIBリサイクルの明日 | MIRU
【年末企画 電池業界2024年重大ニュース その2】韓国でのLIB工場火災、中国EVの脅威とAD関税連発、欧州の苦悩 | MIRU
【年末企画 電池業界2024年重大ニュース その3】インド系企業の躍進、トランプ関税の電池企業への影響、BM市場 | MIRU
(IR Universe Kure)
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