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週刊バッテリートピックス 「CATL通期減収」「ノースボルトやAPB経営危機」など

 2025年3月10日~3月16日のバッテリー業界では、電池企業の経営の苦しさが浮き彫りになった。車載電池世界最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)が初の通期減収になり、同業の北欧ノースボルトが経営破綻した。日本では樹脂電池のAPBの混乱が深刻化。ウラン蓄電池など技術開発は進むが、採算との兼ね合いが大きな課題となっている。

 

<国内>

●JAEA、ウラン蓄電池を開発 世界初

 日本原子力研究開発機構(JAEA)は3月13日、ホームページ上で、「ウランを利用した蓄電池を世界で初めて開発した」と発表した。原発での発電に使えない劣化ウランを利用して大容量化し、原発や太陽光・風力発電の余剰電力をためることを目指す。

 

ウラン蓄電池の実験

(出所:JAEAホームページ)

 

プレスリリース:世界初! ウランを用いた蓄電池を開発 ―劣化ウランの資源化で再生可能エネルギーとの相乗効果を最大限に発揮―|日本原子力研究開発機構:プレス発表

 

●エレコム、ナトリウムイオン電池のモバイルバッテリーを発売へ 世界初

 パソコン周辺機器のエレコム(本社:大阪市)は3月13日、自社ホームページ上で、「ナトリウムイオン電池を使用したモバイルバッテリーを3月中旬に発売する」と発表した。ナトリウムイオン電池のモバイルバッテリーは世界初。

 商品名は「DE-C55L-9000シリーズ」で、直販価格は9980円。一般的なリチウムイオンバッテリーに比べ長寿命で安全性が高い。

 

プレスリリース:世界初のモバイルバッテリー!長寿命・高耐久で極寒や猛暑でも使える、安全で環境に優しい「ナトリウムイオンモバイルバッテリー」を新発売 | エレコム株式会社 ELECOM

 

●NITE、全固体電池の品質査定センターを本格起動

 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE、ナイト、所在地:大阪市)は3月13日、ホームページ上で、「蓄電池評価センター先端技術評価実験棟で、全固体電池に関する挙動確認のための企業との共同試験を初めて実施した」と発表した。

 この実験棟は2024年3月に大阪事業所内に新設したもの。全固体電池に関する様々な試験を実施することで、全固体電池特有の試験手順、安全対策等の知見を深め、民間試験所では対応できない試験需要に確実に対応する。

 

全固体電池の実験棟

(出所:NITEホームページ)

 

プレスリリース:全固体電池の試験を企業と共同で初めて実施 | 国際評価技術 | 製品評価技術基盤機構

 

●NIMSと成蹊大、リチウム空気電池の高出力化に成功

  国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)は3月13日、ホームページ上で、「成蹊大学と共同研究し、リチウム空気電池の高出力化に成功した」と発表した。カーボンナノチューブからなる高空隙な電極開発により、出力電流が既存の10倍に向上した。

 

プレスリリース: 電極の空隙制御でリチウム空気電池の出力電流が10倍に | NIMS

 

●APBが大規模リストラ 中国への技術流出懸念も

 

 

 次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」を製造する電池スタートアップのAPB(本社福井県越前市)の経営危機が深刻化している。福井新聞が3月12日、「同社が全従業員41人に退職勧奨を行っていることが3月11日分かった」と伝えた。

 同社の技術は次世代潜水艦などへの搭載が検討されるなど期待が大きかった。しかし、機微技術が中国企業に漏洩した恐れがあり、2月下旬には安全保障の観点から国会でも取り上げられた。これまで蓄積してきた開発データも失われる恐れがあるとも伝わる。経営面でも資金繰りが厳しく、2024年末に株主が破産申請した後取り下げるなど混乱が続いていた。

 

関連記事:全固体型に近づくか?世界初全樹脂LiB電池APB武生量産工場完成! | MIRU

 

●名古屋大、ペロブスカイト太陽電池向け新材料を作成

 名古屋大学は3月11日、ホームページ上で、「同大大学院工学研究科および未来社会創造機構マテリアルイノベーション研究所の研究グループ、株式会社デンソーは、ペロブスカイト太陽電池向けの新たな材料の作成に成功した」と発表した。

 作成したのは単層カーボンナノチューブ薄膜透明電極(CNT電極)を用いた100 cm²サイズのペロブスカイト太陽電池向けモジュール。ペロブスカイト太陽電池の耐久性向上に寄与するという。

 

プレスリリース: 単層カーボンナノチューブ電極を用いたペロブスカイト太陽電池 ~名大で実証実験へ~ - 名古屋大学研究成果情報

 

●東洋エンジ、車載電池向け電解質工場の建設を受注 日本触媒から

 東洋エンジニアリングは3月11日、自社ホームページ上で、「車載電池の電解質工場の建設を日本触媒から受注した」と発表した。同社が電解質工場を受注するのは初めて。受注額は250億円前後の見通しだ。

 

プレスリリース:株式会社日本触媒よりリチウムイオン電池用電解質製造プラント建設プロジェクトを受注 | 東洋エンジニアリング株式会社のプレスリリース

 

<海外>

●中国CATL、24年通期は減収減益 研究開発費は過去最大

 

 

 車載電池世界最大手の中国の寧徳時代新能源科技(CATL)が3月15日に上場先の深圳証券取引所で発表した2024年12月期決算は、売上高が前の期比10%減の3620億元(約7兆4300億円)、純利益が15%増の507億元と減収増益だった。

 通期での減収は業績の開示を始めた2014年以来で初めて。価格競争の激化による製品価格の値下げが減収につながったが、コスト抑制などで増益を確保した。研究開発費は186億元と過去最大になった。

 

CATL2024年12月期決算概要

(出所:深圳証券取引所でのCATLの開示資料)

 

●独BASF、中国2社と全固体電池向けバッテリーパックを共同開発へ

 ドイツ電池メーカーのBASF(本社:独ルートヴィッヒスハーフェン)の日本支社は3月14日、「同社本社と長江デルタ物理研究センター(IOPLY)、ウェリオン・ニューエナジー・テクノロジー( Welion New Energy Technology、本社:中国北京市)の中国2社の計3社が、次世代全固体電池向けのバッテリーパックを共同開発することで合意した」と発表した。

 

関連記事:BASF、IOPLY、ウェリオン 次世代全固体電池バッテリーパック開発で協力協定締結 | MIRU

 

●北欧ノースボルトが経営破綻 スウェーデンでも破産申請

 スウェーデン新興電池のノースボルトは3月12日、自社ホームページ上で、「本拠地であるスウェーデンで破産申請した」と発表した。同社は2024年11月に米国で破産を申請。欧米両地での破産申請で、完全な経営破綻となった。

 

関連記事:北欧ノースボルトが経営破綻 スウェーデンでも破産申請、中国勢に勝てず消滅へ | MIRU

 

●米24Mテクノロジーズ、独自技術の電解質を開発 シリコンとグラファイト使用

 次世代電池の技術開発企業である米24Mテクノロジーズ(本社:米マサチューセッツ)は、3月11日、PR Timesを通じ、「シリコンおよびグラファイト負極を用いた電池向けのエターナライト(Eternalyte)を開発した」と発表した。

 エタ―ナライトは同社が独自開発したリチウムイオン電池向け電解液。電池の充電速度と低温環境での性能を大幅に改善する。同社は2月にエタ―ナライトを発表し、3月5日には製品拡大を発表していた。24Mテクノロジーズは日本人の太田直樹氏がトップを務める半固体電池の研究・開発企業で、伊藤忠商事が出資するほか、京セラなども協業する。

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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