工作機械工業会2月受注確報 2月3.5%増1182億円と5カ月連続同月比増も伸び小さい
2月工作機械受注は1182億円(3.5%増)と5カ月連続同月比増加も前月比は1.8%増
3/19の15時に日本工作機械工業会の2025年2月工作機械受注確報が開示された。2月受注は1181.98億円(同月比3.5%増、前月比1.8%増)と5カ月連続同月比増加となった。前月比では1.8%増となったが、2カ月連続1200億円割れと緩やかな回復に止まる。
外需3.4%増844.3億円と5カ月連続同月比増も前月比0.3%増で2ヶ月連続850億円割れ
外需は844.3億円(同月比3.4%増、前月比0.3%増)と5カ月連続同月比増も、前月比0.3%増に止まり2カ月連続で850億円割れ。主要4業種では一般機械のみ同月比減。一般機械は236.0億円(同月比11.2%減、前月比4.6%減)と2カ月連続250億円割れ。自動車は191.1億円(同月比13.9%増、前月比6.5%増)と2ヶ月連続200億円割れも欧州除き同月比、前月比増加。電気・精密は121.9億円(同月比10.3%増、前月比18.6%減)とインドの大型受注剥落で5ヶ月ぶりに130億円割れ。航空・造船・輸送機械は96.0億円(同月比23.7%増、前月比45.2%増)と主要3極で何れも同月比、前月比増加に。
主要3極別ではアジアが411.1億円(同月比12.9%増、前月比8.2%減)と、11カ月連続同月比増も、2カ月連続前月比減。東アジアは314.1億円(20.8%増)で、このうち中国が266.8億円(同月比16.9%増、前月比3.3%減)と11カ月連続同月比増も2ヶ月連続前月比減。中国の主要4業種全てで同月比増。一般機械90.2億円(22.7%増)、自動車88.3億円(27.3%増)、電気・精密60.3億円(4.8%増)に。中国の工作機械NC化向上促進への補助金が継続、一部対象を広げており回復が継続している。自動車は継続的にBYDがEV向け投資で発注を続けている。その他アジアではインド53.9億円(同月比4.4%増、前月比35.8%減)と前月の反動減が響く。北米は257.4億円(同期比0.4%増、前月比6.6%増)。このうちアメリカは230.3億円(同月比2.0%増、前月比10.9%増)と航空機の大型受注が寄与。米国の主要4業種では一般機械57.1億円(38.2%減)、航空・造船・輸送用機械37.4億円(20.5%減)、一方、自動車35.5億円(2.1倍)で持ち直し、電気・精密は17.8億円(53.3%増)と伸びは高いが3ヶ月連続20億円割れ。欧州は154.2億円(同月比10.0%減)と14ヶ月連続同月比減。ドイツ37.9億円(同月比8.5%減)と15ヶ月連続減、イタリア16.4億円(同月比3.0%減)と17カ月連続減少。主要業種4業種では航空・造船・輸送用機械のみ同月比増で30.3億円(21.3%増)、電気・精密13.2億円(10.0%減)で4ヶ月連続20億円割れ。自動車は13.4億円(50.1%減)と3カ月連続20億円割れでEV不振の影響が大きい模様。
外需全体ではアジアが押し上げ、EU不振継続で、米国はまだら模様で全体ではさえない動きが続いている。トランプ政権の関税問題、EVの設備投資削減などからから外需は健闘しているものの先行き不透明要素が多い。
内需は337.7億円(同月比3.8%増、前月比5.5%増)と2ヶ月連続350億円割れ
内需は337.7億円(同月比3.8%増、前月比5.5%増)と4ヶ月連続前年同月比増となったものの2ヶ月連続で350億円割れに。主要4業種は同月比で自動車、航空・造船・輸送用機械が増加。一般機械は125.4億円(同月比10.0%減、前月比5.8%増)と2ヶ月連続同月比減に。航空・造船・輸送用機械は41.9億円(同月比2.3倍、前月比2.0%倍)と大型受注で9年1ヶ月ぶりに40億円超え。電気・精密は32.4億円(同月比16.3%減、前月比17.0%で)で半導体製造向けなど勢いが今一つ。自動車は69.9億円(同月比4.9%増、前月比30.9%減)と8ヶ月ぶりに同月比増加も低調に推移。
全体として内外ともにリスク要因、不透明感が強く、特に自動車はEVの不透明、自動車関税などの動きもあり一段の投資先送り懸念され、受注の本格回復は後ずれの恐れがある。
2月販売11.2%増1309億円、受注残は3.2%減の7599億円と6カ月連続8000億円割れ
2月販売は1309億円(同月比11.2%増)と3カ月連続同月比増。受注残高は7599億円(同期比3.2%減)と21ヶ月連続同月比減、6カ月連続で8000億円大台割れ。
(工作機械工業会資料より添付、もしくはIRユニバースで加工)
工業会4~6月見通しアンケート調査結果は受注回復先送り見通しの可能性を示唆
工作機械工業会が3月上旬に実施した2025 年4~6月受注動向見通しアンケート調査
では、25年第2四半期は受注見通しとして減少幅の改善が見られるとしたが、依然として力強さに欠け、第3四半期からの回復に期待するとしている。内需の弱さが継続、外需も欧州の低迷の長期化、トランプ政権の米国外への関税強化、EV停滞なども影響が出ているものとみられ、半導体関連も現状は力強さに欠ける展開のため、様子見が続く状況と言えよう。
工作機械4社受注動向 受注速報2月35.9%増と9カ月連続同月比増で工業会比上振れ
3/12の日刊工業新聞に2025年2月の工作機械4社の受注速報が開示された。2月受注は341.54億円(同月比35.9%増)と9カ月連続同月比増となり、日本工作機械工業会受注の伸び3.5%増を大幅に上回って推移している。
4社全てが輸出で同月比増加を記録した。牧野フライスが82.50億円(18.2%増)と7カ月連続同月比増。輸出が61.37億円(26.6%増)と、中国のNEV関連向けが堅調に推移、米国も伸びる。国内は21.13億円(0.9%減)と低調。ツガミは80.90億円(60.9%増)と6カ月連続で2ケタ増。中国中心の輸出が75.06億円(68.6%増)と6カ月連続拡大。市場全体は当面同様な傾向が続くとしている。オークマは15389億円(30.0%増)で、輸出が101.94億円(38.1%増)と5カ月連続同月比増加、中国向けでEV向け大型受注などが伸びた。芝浦機械は24.25億円(80.7%増)で、国内は9.08億円(5.1%増)に止まるも、海外が15.17億円(3.2倍)と中国向けで車載用カメラレンズ向けに大型受注を獲得。全体としては地域、業種、企業規模で設備投資に強弱があるが、大手が健闘、専用機メーカーなどの苦戦が続いている。なおニデックの牧野に対するTOB表明で、業界として批判的な意見が出るなど、波乱が続いている。
(H.Mirai)
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