TRE 廃トラック架装のアルミクローズドループ構築へ
株式会社みずほ銀行(頭取:加藤 勝彦)、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社(取締役社長:吉原 昌利)、みずほリース株式会社(代表取締役社長:中村 昭)、日本軽金属ホールディングス株式会社(代表取締役社長:岡本 一郎)、TREホールディングス株式会社(代表取締役社長:阿部 光男)は、4月21日、アルミニウムのサーキュラーエコノミー実現に向けた取り組みとして、商業用廃トラック架装に含まれるアルミニウムのクローズドループ構築に向けた実証を行うと発表した。
1. 背景
世界的に資源不足・制約が顕在化しつつある中、気候変動対応や自然資本の保全への対応も含め、CE社会への転換はグローバルで重要性が高まっている。アルミニウムは、ボーキサイトから製錬する新地金とスクラップ材をリサイクルしてつくるリサイクルアルミに分類され、新地金の製錬には大量の電力を要するという特徴がある。その一方で、リサイクルアルミの製造は新地金の製錬と比較して、約1/30までGHG(Greenhouse Gas)排出量を低減できるといった利点がある。
また、日本では新地金の需要はすべて海外からの輸入で賄っている一方で、自動車を中心としたアルミニウムを含む中古製品や廃材の多くが海外に流出してしまっているという現状がある。グローバルなGHG排出量の削減、資源の海外依存度を下げるという観点から、アルミニウム分野における国内でのCEの必要性は日に日に高まっている。
こうした状況を踏まえ、サステナブルビジネス分野の知見を持つ〈みずほグループ〉とアルミニウムに関する知見を持つ〈日本軽金属グループ〉、スクラップ材の選別技術及びネットワークを持つ〈TREグループ〉は、アルミニウムのCE実現に向けた第一歩として、日本で初めての取り組みである廃トラック架装のクローズドループ(※2)の量産技術の実現を共同で目指す。
※2 使用済みの製品を回収し、当該製品の生産者が、同じ用途の製品に循環させる仕組み
2. 今回の実施事項
先般、日本軽金属グループ内で利用したトラック架装の廃車をTREグループのリバー株式会社にて解体・選別し、得られたリサイクル材を日本軽金属グループにて溶解・成分分析、トラック架装製造に用いる押出素材の製造まで実証し、クローズドループの構築に向けた可能性の確認ができた。
この実証結果を踏まえて、今後はリサイクル材を用いたトラック架装の製造やその商業運用に向けて検討を進めるとともに、更なる選別技術の向上を目指すことで、各種クローズドループ構築に挑戦していく。
【クローズドループイメージ図】
3. 各社の役割
〈みずほグループ〉は、CEをサステナブルビジネスにおける注力領域の一つに据えており、CE産業を創り出す“オーガナイザー”となることを目指し、〈みずほ〉の強みであるリースやリサーチ・コンサルティング等の幅広い機能を活用したつなぐ力を発揮し、動脈と静脈をつなげる資源循環型のサプライチェーン構築に貢献する取り組みを進めている。同実証事業では、みずほ銀行が実証の取りまとめ、みずほリサーチ&テクノロジーズが実証事業の支援・事業化に向けた助言、みずほリースが資源の確保を目的としたリースレンタル機能の提供を検討している。
〈日本軽金属グループ〉は、2050年度のカーボンニュートラル目標達成に向けて、スコープ3におけるグリーンアルミ、輸入リサイクル材、スクラップといった低炭素材料の調達力を強化し、循環利用推進のためのリサイクル技術確立(アップグレードリサイクル技術の開発)やクローズドループサプライチェーンの構築を目指している。同実証事業では、グループ内で使用されたトラック架装の提供、選別されたスクラップ材の溶解および成分分析、素材の製造を行い、リサイクル架装の実現に向けた検討を進めていく。
〈TREグループ〉は、これまで資源化の難しかった廃棄物・使用済製品等について、技術的・採算的な課題の克服に挑戦する「WX(Waste Transformation)」を掲げ、限りある資源を循環資源やエネルギーに変革することで、高度循環型社会および脱炭素社会の実現を目指している。同実証事業では、TREグループにて自動車解体を実施するリバー株式会社ELV川島事業所において廃トラック架装からアルミ筐体部分の取り外しと解体を実施し、アルミの高度選別を行う同社那須事業所において破砕・選別を行った。
(IR universe rr)
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