4月の世界経済は様子見ムードが強まりそうだ。トランプ米大統領は4月1日のイランとの紛争を巡る演説で勝利を宣言した一方、「攻撃は2-3週間続ける」とも述べた。野村証券金融経済研究所経済調査部コモディティ調査の高島雄貴エコノミストは「まずはこの2-3週間を終えるまでは不透明感が強い」と話す。
■原油111ドル、紛争前から6割高
高島氏は中東での紛争について「長引くのかどうかわからず、現時点では見極めにくい要素が多い」と指摘した。ホルムズ海峡の実質封鎖についても事態は流動的で、日本船籍の船の通行が許可されたとの報道がある一方、新たな料金制度の設定計画も伝わる。高島氏は「トランプ氏の演説前には紛争の早期終結期待が一部であったが、攻撃継続も示されただけに、世界的に紛争の行方に慎重な見方が増えている」とも話した。
紛争継続に伴い、原油価格は高止まりしている。4月3日の米ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の原油先物相場は$111.54/barrel。紛争開始直前の2月27日($67.02)に比べ66%高い水準にある。
過去3か月間の原油先物相場の推移(WTI)($/barrel)

■最も「キケン」はやっぱりアルミ、天然ガスへの影響に注意
イランによる湾岸諸国への攻撃やホルムズ海峡の実質閉鎖で、原油以外の製品も価格押し上げ圧力が強まっている。高島氏によれば、金属で最も上昇観測が強いのは「やっぱりアルミ。精錬所への攻撃のほか、エネルギー価格が上がれば精錬に使う電力コストが押し上げられる」という。ロンドン金属取引所(LME)のアルミ価格は、約4年ぶりの高値水準にある。
過去3か月間のLMEアルミ価格の推移($/ton)

硫黄などの化学材料も物流の停滞が値上がり誘因になる。さらに、最近は「攻撃により天然ガスの生産がかなり圧迫されている」(高島氏)といい、天然ガスも先行きの価格動向に注意する必要が出てきた。
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■金銀弱含み、全体のインフレ傾向は継続へ
一方、相対的に弱含んでいるのが紛争発生前まで破竹の勢いだった金と銅だ。高島氏によれば、「エネルギーに投機的資金が流入している分、相対的に値下がりしている」といい、投機資金の移動のあおりを食っている。
その意味では、金も銅もこれまでの値上がりは投機対象としての上昇だった面があるわけで、金は「紛争にもかかわらず安全資産として買われることは少なくなっている」(高島氏)。高島氏はまた、銅に関して、「中国経済との関連や、『ドクター・カッパー』と呼ばれた景気の先行指標的な面は薄らいだ」とも指摘した。
過去3か月間のNY金と銅価格の推移($/toz)($/lb)

ただ、金や銅は例外で、物価全体を眺めれば世界的にインフレ傾向は続きそうだ。高島氏は「物価上昇が反転する要素は見当たらない」と指摘する。野村證券が4月3日のレポートで予測した足元のドル円相場の予測レンジは1ドル=157-162円。「有事のドル買い」は健在で、相対して円は下落継続が予想される。
過去3か月間のドル円相場の推移($/JPY)

(IR Universe Kure)