バージンの品薄から価格が高騰するタングステンだが、数少ない入手経路であるスクラップを巡っても取り合いが起きているようだ。金融関連の国際データベースのトレーダーズ・ユニオン(traders union)は6月2日、「中国企業が米国でタングステンスクラップの買いを強化している」と伝えた。入札で高値を突き付けて落札する手法で、米国内では輸出規制の要望も出ているという。
報道によると、米国のノースカロライナ州やテキサス州のタングステンスクラップの入札現場で、「中国の買い手がスクラップヤードに現れ、従来の価格をはるかに上回る価格を提示する」事案が相次いだ。中国の買い手は材料を中国に送る前に、米国、カナダ、ドバイの第三者への高値での納品手配も試みているようだという。
■中国のタングステン、輸出34%減も輸入倍増
タングステンスクラップは通常、摩耗したドリルビットや採掘機器などの工業用工具(老廃スクラップ・市中クズ)や、製品の製造工程で発生する端材や削りカス(新スクラップ・工程内クズ)から得られる。日本でタングステンスクラップを扱う中堅商社のトップは2025年秋のIR Universeの取材に対し、「世界的に製造業の景気が悪いためこうしたスクラップも発生しにくく、少ないパイの取り合いになっている」と指摘。一方で、取り合いによる価格高騰は「中国勢がけん引している」とも話していた。
中国はタングステンの輸入を増やしている。中国専門調査機関のmollychinaの1-3月期レポートによると、2026年1-2月の中国のタングステン輸出量は前年同期比34%減の2390トンだったが、輸入量は5347トンと101.74%増えた(中国税関は2月以降は輸入のデータを公表していない)。
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中国はタングステンの中間加工国だが、中国自身もタングステン鉱石は数年前から産出物の品質低下が言われ、原料が枯渇している。タングステンの国際価格の高騰は中国による輸出規制がきっかけだが、中国企業は自国内の原料不足からスクラップを含めて加工向け材料を海外で買いあさっているのが現状だ。
過去6か月間の純タングステンスクラップ価格と中国鉱石価格の推移($/kg)(RMB/mt)

そのタングステンスクラップ価格は足元で値下がりしている。中国の鉱石価格やAPT価格が3月をピークに下落しているのに追随した動きだ。タングステンの枯渇という基礎的条件は変わらないため価格の先行きは読みにくいが、中国勢の動きがヒントになりそうだ。