性急過ぎる米国のLiBリサイクル企業、集荷量の壁を乗り越えられるか
米国のLiBリサイクルを牽引するRed Wood Materialsのネバダ州Carson工場の写真が初めてThe New York Times(NYT)紙12月24-25日に掲載された。ベルトコンベヤー上のバッテリーな殆どがPCなど電子機器で使用されているバッテリーパックの様に見受けられる。
元テスラ創業者の一人のJ.B. Straubel率いるRedwood Materialsは、投資家から既に10億ドル以上(1,320億円、@132\/$)の投資を受けており、フォードモーター、トヨタ自動車、フォルクワーゲン、ボルボなどとパートナーシップ契約を締結している。その他にネバダではパナソニック、テスラなどバッテリー製造工場とも工程のスクラップの供給を受けている。Redwood社はカリフォルニア州南部でも$35億(4,620億円、@132\/$)の投資を計画し、LiBリサイクルとEV車生産拠点を目論んでいる。
一方のカナダ企業のLi-Cycle社も元技術コンサルタントのAjay KochharとTim Johnstonが2016年創業したLiBリサイクル企業で、米国アラバマ州、アリゾナ州、ニューヨーク州とカナダオンタリオ州に5拠点の収集拠点を有し、処理工場をニューヨーク州ロチェスターに建設中で、破砕前に溶液に浸漬してリサイクル処理が予定されている。
Li-Cycleは100社以上と収集契約を締結し、その中にはGMとLG Energy SolutionのJVバッテリーUltiumバッテリーセルの収集も含まれている。
LiBリサイクルは米国以外に欧州や中国で既に盛んに実施されており、米国は世界レベルではこれからの新規事業となっている。しかしEV車では先行する中国でもバッテリーリサイクル企業は非常に多くが活動しているが、原料の廃バッテリーが不足して、リサイクルプラントの能力を満たしていないとNYT紙は指摘する。
米国のLiBリサイクル投資額は世界的にも大規模の投資計画が公表されているが、最大の課題はLiBリサイクル工場の原料である廃バッテリーが集まるのかである。テスラ社がEV車の販売を開始した2008年から2017年までにテスラ社が米国で販売したEV車は僅か10万台のみである。
EV車の寿命はバッテリー寿命であり、日本でも先行していハイブリッド車のバッテリー寿命は6-7-8年のレベルである。仮に爆発的に米国でEV車が販売された場合でも、今後8年後にそのリサイクル原料が収集可能となる。それは少なくても2030年以降となる。それまでにLiB投資資金が消費されてしまうのはないかとNYT紙は懸念している。
(IRUNIVERSE Katagiri)
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