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三宅伸吾氏 参議院内閣委員会でバッテリー産業提起

 3月17日、自由民主党所属の参議院議員、三宅伸吾氏が参議院内閣委員会において、高市経済安全保障担当大臣をはじめ政府に対し「日米欧のバッテリーに関する規制や助成ルール」について質問を行った。
 日本にも影響の及ぶIRA法や、欧州の動向、国内のバッテリー産業に対する国の取り組みといった多くの内容に切り込む形となった。
 本記事は同氏事務所から寄せられた資料と動画を元に、その質問の内容を掻い摘んで書き起こした物となる。


IRA法に対する質問
 

Q1:昨年8月に米国で成立したインフレ抑制法の概要と、我が国バッテリー産業への影響は如何に。

【返答:経済産業省 審議官(商務情報政策局・政策調整担当) 門松 貴氏】
A1:昨年8月にIRA法が成立したのは把握している。米国・カナダ・メキシコで生産が行われる事を前提に、バッテリー材料の一定以上の割合が米国内、もしくは米国との自由貿易協定国等で調達されている事等を条件に、最大7500ドルの税額控除が受けられるというシステムだ。
 自由貿易協定国の定義はIRA法では明確に示されておらず、昨年12月に米国財務省の発表した文章の中に、今後その特定を行う為の幾つかの基準を制定するとの事だ。
 ただし一定の除外規定も存在し、懸念される外国事業体に対しては重要鉱物の抽出・加工を行う場合に税額控除の対象とはならない。
 日本の蓄電池産業においては、北米での生産体制に大きく影響が出ると懸念している。


(出展:参議院議員 三宅慎吾事務所作成 令和5年3月17日 配付資料)

 

バッテリー規制案等を巡る欧州への意識に対する質問

Q2:資源分野を含め、懸念国への依存度を下げるという狙いは分かるが、北米などでの雇用を拡大させるという産業政策が明確に見える。
 また、半導体に続き、韓国勢との関係では、我が国が税制優遇措置の条件となるFTA締約国とは明示されておらず、日本企業は対韓国において大変不利な内容だ。
 次に、欧州ではバッテリー規則案が公表されている。欧州域内、域外の関連産業の経営戦略にどのような影響を与えるか?原発・再生可能エネルギー比率の高い欧州の企業に有利であり、海外勢の域内生産シフト効果があると考えるが如何に?

【返答:経済産業省 審議官(商務情報政策局・政策調整担当) 門松 貴氏】
A2:EUの新バッテリー規制案においては、ライフサイクル全体で一定上のCO2の排出する蓄電池の欧州市場での取引の禁止・サプライチェーン上での人権環境リストの特定評価情報開示の義務化、リサイクル材の使用義務化といった規制が提案されているものである。
 CO2排出量の多い製品や人権環境リスクの高い製品、リサイクル率の低い製品は排除されるものであると見ている。

 欧州の内外に対しては、原子力や再生可能エネルギー比率の高い蓄電池製造に一定のメリットは出るものと考えている。
 しかし現時点での具体的なルールは明らかにされていない。また蓄電池の生産場所において差異があるとは認識していない。
 経済産業省としては、欧州市場においても日本の蓄電池産業の競争力維持を図るために、蓄電池のライフサイクルにおけるCO2排出量の算出ルールの確立と検討、人権環境デューディリジェンス(※1)の実施方法と確立に向けた検討、グリーンイノベーション基金等による蓄電池のリサイクル技術の開発支援を行う。
欧州の動向を注視し、脱炭素化に対するルール作りを取り組んでいく。
 (デューディリジェンス:証券会社等で用いる「適正評価手続き」。金融企業や投資先の価値やリスクに対する調査を指し、この用法では人権に対するリスクや適切な運用が行われているかの精査を指す)

 

日本国内の蓄電池産業に対する後押しについての質問

Q3:脱炭素電源で蓄電池を製造できない企業やリサイクル技術の低い企業は、欧州市場から締め出される可能性がある。
 欧米は巨大な市場を背景に、税制優遇措置や環境を旗標にした規制により持続可能な蓄電池サプライチェーンの域内構築を図っている。
 我が国でも経済安全保障推進法により、政府はバッテリーを「特定重要物資」に指定した。
 バッテリーの製造事業者が「供給確保計画」の認定を受ければ、今年度第二次補正予算で手当てした経済安保基金約3300億円から、国内での生産基盤の整備や、技術開発で支援を受けられる。国内生産基盤を確保する観点からは妥当な政策だ。

 政府に本日、聞きたいのは国産バッテリーの調達だ。
 電気、ガス、水道、通信、金融など社会インフラについて、政府は推進法に基づき、近く「特定社会基盤役務基本指針」を閣議決定する予定である。指針案についてパブリックコメントは終わっている。
 その中で特定重要物資の「供給確保計画」との関係性が見受けられない。特定重要設備の製造場所については、単に場所だけでなく、それが「特定重要物資の供給確保計画に基づいて生産された」のか、そうでないのかを含め、記載させるべきではないのか。
 というのも、特定重要物資の供給確保計画に基づいて生産されたバッテリーであれば、基幹インフラへのサイバー攻撃等の妨害行為を防ぐという観点からより安心できるのではないだろうかと考えるからである。

【返答:内閣府特命担当大臣 高市 早苗氏】
A3:特定重要物資の安定的な確保、特定社会基盤役務の安定的な提供は国民の安全を経済面から確保していく重要性を持つ。
 蓄電池等の物資を指定し、供給確保計画に基づいて国内生産基盤を強化し事業者への支援を行うつもりでいる。
 しかし支援を行う対象に対しては、サイバーセキュリティ対策などの信頼性の確保が必須である。
 特定社会基盤役務の安定的な確保という点から、検討を進めている基本指針案に記載しているが我が国に対する外部からの攻撃が行われない様に政府に対する届け出を求めて審査を行うというハードルを設ける。
 この取組を進めて経済行動の「自律性」を確保する事が大事であると考えている。
 

(出展:参議院議員 三宅慎吾事務所作成 令和5年3月17日 配付資料)

 

三宅氏:経済安全保障推進法の制定は高く評価します。だからこそ絵に描いた餅になってはならない。
 政府は胆力をもって指針作りに取り組む事が必要。
 急成長するバッテリー市場を日本勢がしっかり取り込めるようすることが経済安全保障につながる。
 是非とも「魂」を入れてほしい。

 

 以上が参議院内閣委員会の質疑内容の抜粋である。

 



(IRuniverse Ryuji Ichimura)

 

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