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欧州からの風March23 「EU電池規則最新情報②:バッテリーパスポート」

現在官報の発行を待つEU電池規則の最新合意内容についてシリーズで報告しているが、二回目は業界の注目度が非常に高いバッテリーパスポートの要件をレポートする。EUは、今後多数の製品を対象にデジタルプロダクトパスポート(DPP)の導入を検討しているが、その皮切りとなるのがバッテリーパスポートだ。要件では、今後導入されるDPPとの共通運用性も強調されている。

 

2026年から施行予定のバッテリーパスポートの狙いの一つは、リサイクルを容易にすることである。法案の開発過程において、リサイクラーは現在電池リサイクルに必要な情報をほとんど提供されていないことが議論され、リサイクラーからも改善を望む声が上がっていた。リサイクル業者によると、中に何が入っているか(特に有価原料を含む活物質など)、どのOEMによって製造されたかなどの情報もないという。そのため、リサイクルに必要な電池情報の開示を義務付けるということになり、そのツールとして、グローバル電池同盟(GBA)が提唱している「バッテリーパスポートのようなもの」が提案されたという経緯がある。同時に、サプライチェーンにおける透明化を促進するデューデリジェンスやカーボンフットプリント情報開示とその後の排出クラスや閾値の設置に伴い、これらの情報のデジタル化におけるツールとしてもバッテリパスポートが用いられることになった。

 

それでは、どのような情報やデータが電池パスポートへ搭載が義務付けられるのか?電池技術に関する情報の開示については、IP情報に関わるのではないかという電池メーカーからの懸念の声が高い。法案では、搭載情報については、以下の4段階に分けられ、情報の内容によりアクセスが制限される仕組みとなっているが、安全性を技術的にどう確保していくのかはバッテリーパスポートの完成を待つ必要がある。

 

①公共アクセスが可能な電池モデルに関する情報:

●製造年月日・化学物質・重量・電池の性能・仕様・カーボンフットプリントなどに関する一般的な情報

②欧州委員会および利害関係者のみがアクセスできる電池のモデルに関する情報:

●正極材・不極剤・電解質に使用される原料の詳細な構成情報

●取り替え用部品やパーツの番号および販売元の詳細

●解体情報(電池セルの場所を示す電池システム・パックの分解図、解体手順、セルの数やレイアウトなど)

●安全に関する対策

③欧州委員会および告知を受けた組織・市場監視組織のみがアクセスできる情報:

●規則要件への遵法を証明するテスト結果の報告

 

④利害関係者のみアクセス可能な個々の電池に関する情報・データ

●電池が市場に出された時点とそのステータスが変更される時点における電池の性能および耐久性パラメーター値および電池の健康状態における情報

●オリジナル、再目的化(repurposed)、リユース、リマニュファクチャリング、廃棄物に定義される電池のステータス情報

●電池の使用結果として起こる充電・放電サイクルの数、事故などの出来事、また機能上定期的に記録される情報・データ

 

現在進行中のバッテリーパスポートプラットフォームの開発は、ブロックチェーン技術を提供するIT企業とともに関連業界のステークホルダーが集結、コンソーシアムを形成して行っており、情報の安全性を含めた既存の技術的な問題に取り組んでいる。

 

 

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SCHANZ, Yukari

 オーストリア、ウィーン在住フリーライター。現在、ウィーンとパリを拠点に、欧州におけるフランス語、英語圏の文化、経済、産業、政治、環境リサイクル分野での執筆活動および政策調査に携わっている。専門は国際政治、軍事、語学。

 趣味は、書道、絵画、旅行、フランスワインの飲酒、カラオケ、犬の飼育。

*ヨーロッパに御用がある際はぜひご連絡ください→ MIRUの「お問い合わせ」フォーム又はお電話でお問い合わせください。

 

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