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ダイセキ環境ソリューション(1712) 23/2期WEB決算説明会メモ 新中計大幅減額

23/2期大型工事案件等不振で3.9%減収34.6%営利減、大型案件不透明で新中計大幅減額

株価847円(4/10) 時価総額142億円  発行済株16,827千株

PER(24/2期DO14.9X)PBR(0.96X)配当(24/2予)10円  配当利回り:1.2%

 

要約

・23/2期は大型インフラ整備工事案件等の不振とコスト高で3.9%減収34.6%営利減

・24/2期は土壌処理横ばいで廃石膏ボードリサイクル堅調から3.5%増収15.8%営利増予想

・中計目標として環境悪化の中で26/2期に売上高201億円、営利18.8億円と大幅減額修正

 

23/2期は大型インフラ整備工事案件等の不振とコスト高で3.9%減収34.6%営利減

 

 汚染土壌調査から浄化処理まで一貫事業展開するダイセキグループの一員。4/6に23/2期WEB決算説明会が実施された。23/2期は売上高170.82億円(10/3再減額修正予想比16.11億円増額、3.9%減)、営業利益13.73億円(同3.73億円増額、34.6%減)となった。6/30に続き10/2の再減額修正予想に対し増額となったのは中京エリアで処理量が確保されたため。

 

 事業別では主力の土壌汚染調査・処理事業が売上高132.91億円(同15.93億円増額、5.7%減)、営利13.85億円(61.8%増)となった。売上高が増額となったのは中京エリアの埋設混合廃棄物処理がQ3  以降に寄与、関西エリアの都市再開発整備案件が好調維持したため。利益面では土壌処理量が98万トン(3.0%減)と多少減少に止まったが、付加価値の高い浄化処理数量が29万トン(28%減)となった事が影響した。特に岐阜においてDME(ドライマグネティックエクストラアクション:重金属除去)が大幅減、稼働率の大幅低下が影響、また全体的にコストアップ要因が影響し、大幅減益に。 

 

 廃石膏ボードリサイクル事業は売上高23.10億円(同0.15億円増額、6.4%増)、営利6.53億円(5.7%増)と、グリーンアローズ中部がフル生産状況で0.5%増、同九州は20%増となり、原価高騰影響あるも、ほぼ計画線で推移し、同事業として最高収益更新となった。その他事業は売上高8.07億円(同1.34億円増額、1.5%減)、営利0.79億円(10.2%減)と、PCB事業では新規取引先の拡大で数量増、バイオディーゼル燃料事業もタンク増設効果などで増収も、コンサル営業が不振で利益は低調。

 

 全体を通じ、主力事業で大型インフラ整備工事案件の不振の中でコスト高などが影響、廃石膏ボードリサイクル事業の好調で補えず、収益低迷に。

 

24/2期は土壌処理横ばいで廃石膏ボードリサイクル堅調から3.5%増収15.8%営利増予想

 

 24/2期会社予想は売上高170億円(3.5%増)、営利15.91億円(15.8%増)、経常利益16.00億円(13.2%増)、税引利益8.91億円(22.9%増)予想とした。事業別売上で主力の土壌汚染調査・処理事業が売上高133.76億円(0.6%増)予想と横ばい見込む。基本的に東京では大型案件に動きがなく横ばい、名古屋は上期に案件が偏るも通期で横ばい、全体でも横ばいを見込む。土壌処数量前提も96万トン(2%減)、この内浄化処理が25万トン(14%減)と、今年も付加価値の高い浄化処理数量の低迷が続く見通しとしている。なおこの前提は大型工事を見込まないということで、最低限の数字のイメージとのこと。廃石膏ボードでは売上高24.50億円(6.1%増)を見込む。1月に九州工場の能増工事が完成、14.6%増収を見込み、中部は5.0%増収見通しも、利益構造見直しで収益改善を見込む。全体では引き続き増収増益を見込む。その他事業は11.07億円(36.8%増予想)と、PCB事業が新規契約分の寄与が通年で寄与し7.12億円(49%増)、BDFも能増効果で3.84億円(43%増)予想も、コンサル影響は不振継続前提で、利益寄与はまだ少ない。

 

 全体として売上高総利益率横ばいの中で、販管費でのコスト削減を行い、営利増を確保する計画に。全体的に土壌処理で非常に慎重な見通しを立てており、会社計画の達成(杉本商事の子会社化を含まず)は可能とみられる。

 

中計目標として環境悪化の中で26/2期に売上高201億円、営利18.8億円と大幅減額修正

 

 同社は中期計画を毎年スクロールしているが、今回、25/2期に売上高187.36億円、営利17.45億円、26/2期に売上高201.13億円、営利18.81億円を目標として掲げた。昨年の見通しでは25/2期に売上高227億円、営利34.9億円としており、売上は40億円引下げ、営業利益も17.45億円下回る、前回予想比で半減計画となっている。

 

 なお同社は当面、首都圏での大型案件受注が見込めないとして、新中計の策定と合わせて株式上場について、このままでは現在の「プライム市場」の一部の上場維持基準を充たすことができず経過措置期間終了時後に上場廃止となるリスクがあるとして、「スタンダード市場」に市場変更する事を選択した。但し既存事業に加えM&Aや新規事業開発、新工場建設推進などで5年後を目処に「プライム市場」への変更上場を狙うとしている

 

 売上見通しの減額は、主事業である土壌汚染調査・処理事業。まずリニア新幹線が静岡県の反対などもあり静岡地区の着工の目処が立っていない。また首都圏においては調布市での大深度トンネル工事における陥没・空洞事故発生で工事が大幅に遅延、リニアでは大深度地シールド2工区で試掘工事再開となったが、北品川などでは調査掘進再開は6月以降となるなど、本掘削の見通しは立っていない(計画では首都圏で33.3km、中部圏で17km、合計50.3km)。

 

 このためJR東海は名古屋開通2027年計画が2029年以降にずれ込む事を3月に正式に認めている。関西圏についても2025年開催の万博が期待外れとの見方があり、大型工事案件の進捗が不透明となっている。利益面では売上減額から工場の稼働率が向上せず、本来目指していたMIX良化に対し、稼働率維持のための売上確保などが見込まれるため、利益も大幅減額となる。一方、廃石膏ボード事業は九州の能力増強に加え、中部もフル生産の状況で、新工場用地での工場建設を目指す(完成は2025年以降)など、需要増に合わせ増収増益が続く見通し。その他事業ではPCBでは商圏拡大と塗膜事業取込み、BDFは脱炭素化の高まりの中で調達・生産拡大と体制強化を図る。さらに新規事業として廃プラスチック事業などの立上げも目論み、25/2期に24億円、26/2期に26億円規模を見込む。なお、同新中計には3/31に公表された滋賀県に勢力を有する株式会社杉本商事の買収は含まれていない。杉本商事グループ(杉本商事、杉本紙業)の取込みでこれまで同社グループになかった、一般廃棄物及び産業廃棄物の運搬・処理、古紙の回収・リサイクルという新たな事業ソリューションが加わり、ソリューションの幅が広がる。またそれぞれが得意とする領域が異なっており、シナジー効果で再生エネルギー等の新規事業の立ち上げが可能なるなどが期待される。実際には24/2期より半期分連結されると見られ、売上高で7億円程度、営業利益で1億円程度計画に上乗せされるとみられ、さらに25/2期には通期寄与、またシナジー効果も加わるとみられる事から中計予想を上回る収益が見込まれる。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

 

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