出光 有機廃棄物を原料とする堆肥製造事業の検討開始
~カナダのスタートアップ企業と協働し、日本国内において2020年代後半の初期プラント建設を目指す~
出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:木藤俊一)と当社100%子会社である出光アメリカズホールディングス(本社:米国カリフォルニア州サンノゼ、社長兼CEO:鈴木基弘、以下 IAH)は、カナダのスタートアップ企業であるAnaconda Systems社(CEO:Russell Zishiri、以下 Anaconda社)と協働し、有機廃棄物を原料とした堆肥製造の事業化検討を本年6月に開始した。
当該事業では、有機廃棄物を10日以内の短期間で堆肥化する技術を用い、大規模かつコスト競争力に優れた廃棄物処理・堆肥製造を目指す。
低炭素社会の実現に向けた食品・農業分野の取り組みとして、食品残渣・汚泥からの肥料化成分の回収・堆肥化や、バイオマスを原料としたバイオ炭の製造と散布による二酸化炭素貯留などさまざまな資源循環策が展開・検討されている。
また、製造・輸送時に多量の温室効果ガスを排出する化学肥料※1に代わり有機肥料※2を導入する「有機農業」の拡大も低炭素化に向けた取り組みの一つとして期待されている。特に、化学肥料原料の多くを輸入に頼らざるを得ない日本においては、化学肥料の原料コスト高騰が食糧生産に及ぼす影響は大きく、低炭素社会の実現と食糧生産の安定性の両面において国産有機肥料の増産が求められている。
出光興産、IAH、Anaconda社が検討を開始した堆肥製造事業は、日本国内で排出される生ごみなどの食品廃棄物、動物・植物性残渣、動物のふん尿などの有機廃棄物を短期間で安定した品質の堆肥に変換するもの。Anaconda社が有する好気性発酵※3技術を用いることで、自然発酵に最適な環境を維持し、温度調整等に必要な電力等のエネルギー消費を極力抑えた上での堆肥化が可能だ。
同社とIAHは今後、各自治体、設備運営・保守等を担うパートナー企業等の協力を得ながら堆肥化事業の実用化検討を進め、約200~300トン/日の有機廃棄物を処理して堆肥を製造する初期プラントを2020年代後半に建設することを目指す。
※1
鉱物などの無機物を原料として、化学的方法により製造された肥料
※2
植物性または動物性の有機物を原料にした肥料
※3
有機廃棄物へ酸素を送るとともに、一定程度の温度に保つことで廃棄物自体が有する微生物の作用を活発化。発酵・分解を通じて土壌の栄養素となる堆肥を製造する技術。
【検討する事業の特長】
1. 高効率製造により、大規模な国産堆肥製造が可能
Anaconda社のもつ好気性発酵技術は、特に廃棄物中の微生物の働きを最適化する特長を有しており、原料となる有機廃棄物を短期間(10日以内)で安定した堆肥に転換できる製造方法を実現している。日本国内において同技術を適用することで、極めて高効率なプラントオペレーションを実現し、国産堆肥の大規模製造をめざす。
2. 廃棄物の最適処理、資源循環により、エネルギー利用の効率性を追求
現在、国内の廃棄物処理は各自治体での焼却が主流。しかしながら、食品や汚泥、動物のふん尿などの有機廃棄物は水分含有量が多く、焼却には多量のエネルギーを必要とする。これらを焼却に代わり堆肥化することで資源として循環し、廃棄物処理におけるエネルギー利用の効率性向上とコスト削減を実現する。
3. 地域に根差した低炭素化社会の実現
当該事業を国内各地で展開することで、地産地消型の廃棄物処理と堆肥製造モデルを確立し、地域創生への貢献を目指す。また、農林水産省が掲げる化学肥料の使用低減と有機農業の拡大に寄与し、低炭素化社会の実現に貢献する。
<IAH President and CEO鈴木基弘コメント>
Anaconda社との協業を通じて、日本における脱炭素や安定した食糧生産、地域創生への貢献を目指すとともに、中長期的にはアジア地域への展開拡大も視野に社会課題の解決を目指していきます。
<Anaconda社CEO Russell Zishiri氏コメント>
出光とAnacondaの協業は、将来にわたって地域社会を支えていくものとなると考えています。低炭素社会の実現に向け、私たちの協力関係は日本のみならず、アジアのさまざまな地域、市場へ発展していくことを期待しています。 Anacondaは、高い処理能力を特長とする有機廃棄物処理技術を独自に開発しました。この技術を活用した処理設備は、廃棄物の発生源に近い都市部においても展開することができ、有機廃棄物の資源循環の構築を目指す日本やその他の地域・市場にとって、理にかなったものです。
(IR universe rr)
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