中国、LFPリサイクル市場が急拡大 EV向け新品の普及が回収も促す
中国でリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーのリサイクル市場が拡大している。既にパイプラインベースで60万トン(ブラックマス・インフィールド)以上の回収能力があり、これまでの15万トン程度から急激に規模を拡大しているという。
英国のリチウムイオンバッテリーのコンサルティング会社であるサーキュラー・エネルギー・ストレージ(CES)の創設者ハンス・エリック・メリン氏が6月28日にリンクトインに投稿したところによれば、中国では主にLFPカソードの生産技術が進み、リサイクル市場の成熟をもたらしている。メリン氏は「中国のこの分野の拡大ペースは西側に比べ段違いに早く、市場規模も大きい」と指摘。ただ、「制度の問題で多かれ少なかれ海外とは隔離されている」とし、西側には「多くの鉄ベースのカソード投資企業と協調余地があり、LEPリサイクルに積極的なスタートアップも多いだけに、残念だ」と述べた。
LFPはニッケルやコバルトを使用しない新型バッテリーで、発火の危険性が低く安全性が高いことがメリット。従来のLFP電池はエネルギー密度が低く、EV(電気自動車)の車載バッテリーに求められるレベルの航続距離と短充電に達していなかったが、技術開発が進み特に中国では既に新たに販売される電気自動車(EV)搭載分の約6割がLFPとなっている。
中国の車載電池の材料別利用状況(2023年1-3月)
(出所: 電池同盟)
もともと、中国は過去数年間にわたり使用済み車載バッテリーの回収に力を入れてきた。この流れの上でLFPが普及し、LFPの回収や再利用の動き強まっていると言えそうだ。
中国の車載向けリチウム電池回収業の市場規模の伸び
(出所:中国能源報前胆研究院)
日本でも6月初旬、日産自動車がLFPバッテリーの開発に本格着手すると伝わった。一説によると、主に気候の問題から欧米ではLFP電池の普及や回収が進まず、中国を含むアジアに後れを取っている面があるようだ。メリン氏は中国のLFPバッテリーのリサイクル市場の発展について「西側のリサイクル企業も一見する価値がある」と指摘した。
(IR Universe Kure)
関連記事
- 2024/05/18 SDGs花盛りの時代に・・改めてのリサイクル「考」&「喝」
- 2024/05/17 大阪ガス(Daigas)アジア地域のe-メタン利用拡大目指し、韓国SK E&S社と共同検討開始
- 2024/05/17 欧州からの風2024年5月#1 米国による対中国EVへの課税引き上げ、EUはどう動くのか?
- 2024/05/16 サニックス 持株会社体制へ移行、M&Aなど、事業拡大を視野に
- 2024/05/16 住友金属鉱山:23年度決算経営戦略進捗状況説明会(後半:21中計主要戦略・施策の進捗状況)
- 2024/05/16 Honda:2024 ビジネスアップデート 説明概要
- 2024/05/16 東京ガスと王子製紙 苫小牧工場における純国産e-メタン製造の共同検討を開始
- 2024/05/16 宇部マクセル リチウムイオン電池用セパレータ設備増強
- 2024/05/16 住友金属鉱山:23年度決算経営戦略進捗状況説明会を開催(前半:金属需給見通しなど)
- 2024/05/16 ニューカレドニアに非常事態宣言 世界4位のニッケル生産国、独立派デモに中国の影か