新着情報

2024/05/04   MARKET TA...
2024/05/03   バナジウム市場近況...
2024/05/03   新旧民間航空機の受...
2024/05/03   民間航空機受注納入...
2024/05/03   日本製鉄:USスチ...
2024/05/03   アングロ買収、グレ...
2024/05/03   MARKET TA...
2024/05/02   中国の三元系、LF...
2024/05/02   6月19日‐20日...
2024/05/02   東京製鐵:省エネ法...
2024/05/02   住友商事:アンバト...
2024/05/02   加パンアメリカンシ...
2024/05/02   6月19日‐20日...
2024/05/02   チタン:貿易統計と...
2024/05/02   EVバッテリーリサ...
2024/05/02   原油価格の動向(5/1)
2024/05/02   カザフスタン、金属...
2024/05/02   ゲルマニウム価格は...
2024/05/02   中国政府 再生資源...
2024/05/02   中国 自動車業界で...

Arata AbeのELV RECYCLE Report vol.75最近の中古車輸出のデータから(5)主要仕向地の数量と単価

 前々回(Arata AbeのELV RECYCLE Report vol.73最近の中古車輸出のデータから(3) 貿易統計上の単価の上昇)は、貿易統計から中古車輸出台数の単価を示し、全体的に単価が上昇している中で、20万円以下の数量の割合が小さくなっていることを示した。また、前回は、品目別に中古車輸出台数と単価の推移を見て、ハイブリッド車のシェアが拡大していること、それぞれの単価が2022年に大きく上昇していること、20万円以下の数量に排気量の大きい車が含まれなくなったことなどを示した。

 

 一方、仕向地別に見ると何か動きはあるだろうか。まず、2022年の主要仕向地を確認する。図1は仕向地上位20か国の数量を示したものである。テレビや一般紙でも報じられたように、2022年のロシア向けの中古車輸出は停止することはなく、むしろ増大した。対前年比を見ると、ロシアは132%と高い。他の仕向地で前年を上回ったのは、アラブ首長国連邦(113%)、タンザニア(115%)、マレーシア(179%)、タイ(128%)などである(カッコ内は対前年比)。これに対して、前年を下回ったのは、ニュージーランド(80%)、ケニア(84%)、チリ(64%)、モンゴル(73%)などである。

 

  

図 1 主要仕向地別中古車輸出台数(単位:台)

出典:財務省貿易統計より作成

注:バス、乗用車、貨物車の合計。主要仕向地は2022年の上位20か国

 

 図2では、2022年の仕向地上位7か国について、月別の「金額/台数」から算出された単価の推移を示している。これを見ると、まずロシアの不自然な動きが目立つ。同国向けの2021年前半は50万円台だったが、同年後半に70万台まで上昇し、2022年初めに若干減少したものの、4月の71万円から8月には143万円と急激に上昇している。その後、11月の152万円をピークに減少し、直近の5月は104万円にまで下がっている。

 

 また、ケニア向けも2022年から2023年にかけて不自然な上昇を示している。同国は2021年11月から12月にかけて75万円から92万円に上昇し、その後90万円前半で横ばいだったが、2022年11月に105万円と急上昇し、その後、2023年1月の133万円をピークに減少傾向に転じ、直近の5月は98万円となっている。

 

 これら以外は概ね緩やかに増加した後に横ばいまたは減少傾向になっている。ただし、その動きは同時期ではない。ニュージーランドは2022年4月がピークであり、その後下降している。タンザニア、チリ、アラブ首長国連邦は2022年末から2023年初めにかけて下降傾向に転じている。世界全体では2022年8月の103万円がピークであり、直近の2023年5月は84万円である。いずれにしろ、貿易統計上の単価は2022年まで上昇傾向にあったが、2023年になって下降傾向に転じている様子が窺える。その中で、ロシア、ケニアの動きが気になるところである。

 

  

図 2 仕向地別中古車輸出の単価(単位:千円)

出典:財務省貿易統計より作成

注:バス、乗用車、貨物車の合計。主要仕向地は2022年の上位7か国

 

 

-----

阿部新(Arata Abe)

山口大学 国際総合科学部・教授

2006年一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。

同大学研究補助員を経て、2008年より山口大学教育学部・准教授

2020年より同大学国際総合科学部・教授

                                                                     

関連記事

関連記事をもっと見る