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コバルト価格、「本当の底」は6ドル程度か 商社幹部の見方、需給弱く

 コバルト価格が相変わらずさえない。世界景気の減速に伴う需要鈍化の一方で新鉱山の稼働などで供給は拡大傾向にあり、需給の弱さが続く。日本の大手商社の幹部は7月14日、IR Universeの取材に対し、「コバルトは2024年にかなり供給過剰になってくる」とした上で、「大手生産者の生産コストは金属LGコバルト(99.3%)で1ポンド=6~9ドル程度で、底の底はここ。ただ、ここまで落ちる前に生産者や商社などが動きを見せそうだ」と話した。

 

■需給の弱さ続く

過去3年間のHGコバルトとLGコバルトの価格推移($/LB)

 

 LGコバルトの7月18日仲値は1ポンド=17.375ドル。この商社幹部によると、「2023年の底値は13ドル前後とみられ、このあたりで反発の機運が見られる」とのこと。世界コバルト会議(CDI)の予想では、2023年のスタンダードグレードのコバルト価格は年平均で18ドルだが、この幹部は「もう少し下がりそうだ」というのが体感といい、「需給だけ見れば13ドルを割り込んでもおかしくない」と話した。

 押し下げ要因としてはアフリカのテンケ・フングルーメ鉱山の稼働再開などで供給が増えていること。一方で、安値とみた大口の買いも散発的に入り、下値が支えられているという。この幹部は、「欧州の自動車受託生産(OEM)企業が数千トン単位でのコバルト買いを入れたといううわさがある」とも話した。

 高品質の99.9%コバルトであるアロイグレードは米航空機向けスーパーアロイ向け需要で増加傾向にあり、一部は軍需向け需要も入っているようだという。

 

過去3年間のLMEコバルト価格の推移($/ton)

 

 この幹部は「(2024年に価格が10ドルを割り込む)底の底の水準に至るまでには、世界的な資源商社などが『この価格では取引しない』として生産停止を迫ってくる局面があるだろうし、そうなれば他の商社も動きを見せてくるのではないか」とも話した。

 

■中国は備蓄当局が大口の入札か

 中国の動きも見逃せない。この商社幹部によると、中国では、「国家備蓄局(SRB)が最近、5300トンのコバルト備蓄で入札をかけた」といい、価格の下支え要因になっているもようだ。中国の金属コバルトの生産は一定程度抑えられてもおり、価格は国際価格に比べ底堅さが目立つという。

6月上旬からのSMM硫酸コバルト価格指数の推移

 

(出典 : SMMホームページ)

 

 この幹部は「中国の生産者は金属が強ければ金属を、自動車向け需要があれば自動車向けをと使い分けて生産している面もある」と話し、「中国の生産者は国際価格ではなく上海有色網(SMM)」の表示価格を指標として動いてもいる」と指摘した。SMMの水準は国際価格を上回っているが、それは需要に応じて生産の使い分けをしている中国の生産者の姿勢も下支え要因になっているようだ。

 

 価格分析会社のFastmarketの予想では、コバルト需給のバランスが整うのは2027年になるもよう。しかし、それまでにニッケルコバルト混合物(MHP)の供給増など、価格下押し要因はなお多い。コバルト相場は当面、上値の重い展開が続くことになりそうだ。

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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