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第8回Battery Summit Summer session at TOKYO を拝聴して 熊本大学 外川健一・李宗星

2023年8月2日、いつもの(?)学士会館を舞台にIRユニバース主催の第8回Battery Summit 2023 Summer sessionが開催された。以下、各報告の概要と感想を記す。基本的に外川の私見だが、一緒に勉強している李さんからのコメントも一部掲載している。

 

(関連記事)

8月2日開催 第8回Battery Summit 2023 Summer session

8月2日 開催 第8回Battery Summit ①

8月2日 開催 第8回Battery Summit ②

8月2日 開催 第8回Battery Summit ③

 

10:10~10:45  Li-Cycle Corp. Dawei Li氏(英語講演)

         「An introduction to Li-Cycle」

同社のプレゼンはバッテリーに関するほかのイベント(例えばスイスのICM AGが主催するICBRなどで)、しばしば耳にする。もともとカナダの亜鉛製錬の湿式精錬技術者が興したベンチャー企業であるが、その企業姿勢から多くのESG投資を受けたり、地元カナダはもとより欧州でも積極的に投資を受け成長している。同社はブラックマスを主として生産するスポークと、これらを原料としてニッケルやコバルト、さらには炭酸リチウムを生産するハブと呼ばれる2種類の工場をシステマテックに立地させている。特にスポーク工場は電池工場や自動車メーカー周辺に立地させ、いわゆる工場破砕くずを原材料としてブラックマスを生産しているという。

気になるハブだが、実際に質疑応答でお話を聞くとまだ本格的な生産はこれからのようである。やはりLIBのリサイクルは中国以外のベンチャーはまだモノが足りない状態なのだろう。


10:45~11:20  Suzhou Botree Cycling Sci & Tech Co., Ltd. 劉剛鋒(リュウ ゴウホウ)氏(英語講演)「Sustainable Battery Materials Based on Advanced Full Recycling Solution」

この会社も、中国のみならず、欧州で積極的に事業展開している模様であった。スライドでみせていただいたブラックマスの生産プロセスや湿式精錬の動画などは、あまりにもきれいな工場で「見せるプラント」のように感じた。実際「儲けるプラント」は別にあるのではないかと思ったくらいである。またLFPのリサイクルやダイレクトリサイクルの技術革新も進めており、特に後者はカーボンフットプリントを考慮するうえで、最も技術革新と普及が期待されるとコメントしていた。

         

11:20~11:55 京セラ株式会社 三島 洋光氏

         「クレイ型リチウムイオン電池の開発状況と今後の展望について」

 かつて半固体電池という用語があったそうだが、同社のクレイ型リチウムイオン電池は、分類には全固体電池ではなく、液体電池であり、従来のシート型や塗布型と異なる電極製法が特徴である。この電池も構造上、ダイレクトリサイクルが期待できるというお話が興味深かった。 回収されるリサイクル材は銅やアルミ、樹脂が考えられるようだ。

なお、ダイレクトリサイクルについて、LFPとしてのクレイ型電池には、正極材のリン酸鉄と負極材の黒鉛をリサイクルことができると思われる。また、クレイ電池は従来の蓄電池と比べて、アルミ箔と銅箔の6割、セパレータの8割を削減することができるらしい。これについて、アルミや銅、樹脂のリサイクルに大きな影響を与える可能性がある。

 

 

13:00~13:35  一般社団法人サステナブル経営推進機構 山岸 健氏

         「リチウムイオンバッテリーの製品カーボンフットプリント(CFP)」

LCAとカーボンフットプリント(CFP)の違いを力説されていたのが印象的であった。また、環境負荷に関して、温室効果ガスだけが問題ではないことは、EUをはじめ国際的には認知されているが、まずはこの問題の定量化に関する議論が先行しているのは否めない。その点、欧州ではカーボンフットプリント以外に、15の環境フットプリントが議論されていることの紹介が興味深かった。それらは、オゾン層破壊/ヒト毒性―発がん影響/ヒト毒性―発がん影響以外/粒子状物質・呼吸性無機物/電離放射線―人体健康影響/光化学オゾン生成/酸性化/富栄養化―陸域/富栄養化―淡水域/富栄養化―海水域/淡水生態毒性/土地改変/資源枯渇―水/資源枯渇―鉱物/資源枯渇―化石、の15種類だそうだ。ところで、資源枯渇に関して、鉱物が一体となって取り扱われていたり、ヒト毒性も発がん性を重視し、ほかはそれ以外となっているのも何か理由があるのだろうか?


13:35~14:10  岩谷産業株式会社 福政輝氏 &浙江華友コバルト業股份有限公司 李仲寧氏   

         「安心安全なバッテリーサプライチェーン構築に向けた取組み」

正直言って、米中経済摩擦の中、多くの日本企業が中国でのビジネスから撤退・縮小している中で、岩谷産業が華友コバルト社と提携しながらビジネス展開をさらに進めていることは興味深かった。また世界のコバルト製錬のうち、70%が中国で行われていることなど、改めて電池リサイクルにおける中国の優位性を感じた。


14:10~14:45  エラメット・インターナショナル Chen Wystan 

         「エラメットのバッテリービジネス」

同社のビジネスの中心は鉱山開発で、その点はスイスのグレンコアに似ている。今回のトップバッターであるライサイクル社は、グレンコアと提携しているが、エラメット社も多くの地域で連携しながらグローバル展開している。興味深かったのは、リチウムイオン電池リサイクル事業(フランス)で、静脈メジャーのSUEZと連携し、湿式法による電池用金属の生産を進めているという。また、インドネシアのSONIC BAYにて、ニッケル・コバルトHPALプロジェクトをBASFと連携しながら、唯一の欧州企業としてHPAL(高温加圧酸浸出)と呼ばれる湿式法でMHP(中間体)を生産する計画があるという。


14:45~15:20  日本ガイシ株式会社 玉越 富夫 氏

         「CN社会に貢献するNAS電池」

 NAS電池は太陽光発電とセットで、日本各地で普及していることを改めて認識できた。とくに地震時の停電では、停電になっても昼間に太陽が照っていたら太陽光発電で電力を補い、余った電力はNAS電池に蓄電すれば、かなりのセーフティネットになることが分かった。 

 

15:40~16:00  参議院議員 三宅 伸吾氏(動画)

  経済安全保障の観点からも、欧米で行っている産業政策的要素が強いバッテリー産業の育成に関して、日本政府も独自の観点で半導体産業同様、積極的に支援したいというメッセージが届けられた。

 

16:00~16:20  IRuniverse株式会社 阿部 治樹

      「バッテリーから見たインフレ抑制法 Inflation Reduction Act on Batteries」

中国企業がアメリカと商取引をするうえで、どのようなリスクがあり、どの点で北朝鮮やロシアと同じような扱いを受ける可能性があるかを最新情報をもとに解説してくださった。しかし、香港という隘路は依然として残っている気がしたのだが、その点はどうだろうか?


16:20~16:55  名古屋大学客員教授 野辺 継男

      「ガラパゴス化が進む日本の電池産業~ガラケーがスマホになれなかった道を辿る?」

野辺先生のご講演は大変スライドもわかりやすくストーリー性に富むものであった。タイトルからして聴衆を引き付けている。今回のキーワードはSDV:Software Defined Vehicleである。すなわち、半導体とソフトウエアの発展とDeepLearningが、自動車をSDV化し、より安全でエネルギー効率の良いクルマを作る未来がすぐそこまで来ている。日本の製造業はそれを認識して新しいモビリティ社会を創るべきである。

 

16:55~17:25  パネルディスカッション 

 元ニッケル協会の江崎氏が、独自の経験から来る視点で、ニッケルはステンレス鋼などの需要が顕著である一方で急速にEVシフトすることの懸念を示されていたのが印象的であった。また、外川がLFPの経済性のある環境調和型のリサイクルはできているのか?あるいは将来的に可能なのか?ということを改めて問いかけたが、炭酸リチウムの回収でペイできるようになるはずだという回答や、ダイレクトリサイクルがやはりキーとなる技術だとうかがった。

 今回も内外の様々な業者、研究者から、興味深いお話をうかがえた。来春のバッテリーサミットが今から楽しみである。(もちろん9月の第1回半導体サミットも含めて。)

 

→ 【今後のイベント予定】9.1は半導体サミット 10.30はCEシンポジウム開催予定

 

(熊本大学 外川健一 李宗星)

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