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第8回ISLC in シェムリアップ 現地からの報告その2 IRUNIVERSE登壇で注目集める

 

 前回からの続き(第8回ISLC in シェムリアップ 現地からの報告その1 リサイクル鉛の時代

 

 カンボジアのシェムリアップにて開催されている国際二次鉛国際会議のISLC2日目にはIRUNIVERSE代表の棚町が午前の第2番目のスピーカーとして登壇した。やや緊張した面持ちながら、日本の鉛バッテリーリサイクルの変遷と現状について25分間語った。当初に予定していた講演原稿から大幅に変わったこともあったためか、会場にいた約200人の参加者は熱心に聞き入っていたようだった。ちなみにスピーチは全て英語。

 

 

 

 

(サンクト中村氏撮影)

 

 

 講演の要旨は、1990年代のLME鉛相場の低位安定と為替の円高、それに伴う海外からの輸入バッテリーの増加、再生鉛の市場が国内のみに限定されていた市場環境で、再生鉛価格もバッテリースクラップ価格も長らく冬の時代が続き、94年にはバッテリースクラップの不法投棄が社会問題化したこと、2000年以降に徐々に増え始めたバッテリースクラップの輸出が皮肉にも閉鎖的な市場を国際価格へと導いていった経緯、さらには2010年以降における韓国向け鉛バッテリースクラップ大輸出時代、そして2018年のバーゼル法改正により鉛バッテリースクラップの輸出は完全に途絶えたことを語った。

 

(MSP吉田氏撮影)

 

 そしてそれ以降、2019年以降はバッテリースクラップの輸出からブリオンの輸出へと形が変わり、さらには2022年以降は主として中国系リサイクラーによる違法解体、巣鉛の違法輸出(多くはマレーシア、カンボジア、ラオス)といった別の問題が顕現化し、今年に入ってはさらに中国系の勢力拡大で国内の鉛精錬メーカーは完全に原料不足、それもきわめて深刻な不足に見舞われている現状までを語った。

 

 

 この事実に参加者からは様々な反応があった。

 例えばタイの鉛精錬メーカーIPP社によると、実はタイでも日本同様に鉛バッテリースクラップの輸出入は禁止となっており、中国系の回収、解体業者は増えているとのこと。また、タイの鉛バッテリースクラップ価格はLMEの50%ということだった。

 

 大手日系商社のマレーシア現地社員からは、マレーシアでは鉛二次精錬の操業ライセンスをもった正規の企業は5社あるが、ライセンスをもっていない大多数の企業はかなりな割合で違法操業を行っているという。また、マレーシアで生産されたブリオンはフィリピンの鉛電池メーカーに供給されているとのことだった。付け加えると、そのフィリピンの電池メーカーは違法操業で作った鉛地金であってもノーチェックで使っているのが実態だという。

 マレーシアもタイ同様に鉛バッテリースクラップの輸入は禁止されているが、これをOKにするように同商社は政府にかけあっているという。

 また、パキスタンの鉛電池メーカーは日本の電池の科学者を探してるので協力してほしい、といった依頼まで様々なレスポンスがあった。 英国の調査会社も興味を示しており、2018年以降の日本の鉛フローの変化がよく理解できた、と感心されていた。

 またバッテリーリサイクル設備大手のEngitec社は、ぜひ日本でセミナーを開きたいので協力してほしい、との要請があった。

 

(engitecのWilly氏と MSP吉田氏撮影)

 

関連記事:蓄電池・鉛電池の国際会議 ABC、ISLCがようやく対面開催へ! 2023年9月カンボジアにて

 

 

(iruniverse tanamachi&YH)

 

 

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