レアアース市場近況2023#12 堅調、春の水準に戻す 軽希土類はさえない
2023年9月半ば~下旬のレアアース市場全体は堅調。中国のレアアース相場が7月半ばに底を打ち堅調に推移していることから、世界のレアアース取引にも安心感が広がっている。
■中国のレアアース指数、220台で推移
中国のレアアース業界団体である中国稀土協会が日次で発表しているレアアース指数は9月初旬から220台で推移している。今年初めの300台への回復はまだ遠いが、7月に180台で底を打ったことが確認され、堅調な値動きとなっている。
中国レアアース指数の推移
(出所: 中国稀土協会)
■ネオジムやジスプロシウムは春の水準に戻す
中国のレアアース市況の底堅さが安心感を誘い、世界でも多くの鉱種が堅調に推移している。中でもネオジムやジスプロジウム、テルビウムなどは夏の下落分を消化して春の水準に戻している。
金属ネオジムの価格推移(99% FOB China)($/Kg)
磁石向けの代表格である金属ネオジムは9月27日時点で仲値1Kg=89.5ドルと4月半ば以来の水準に戻している。9月は90ドルを試した場面もあったが、その局面では上値の重さが目立った。
金属ジスプロシウムの価格推移(99.5% FOB China)($/Kg)
金属ジスプロシウムは9月21日に仲値で1kg=455ドルに上げ、その後も2月以来の水準で推移している。
金属テルビウムの価格推移(99% FOB China)($/Kg)
金属テルビウムは仲値1Kg=1835ドルで推移。9月所人には1485ドルに乗せたが、その水準は保てなかった。5月以来の高値水準にある。
■ランタン、セリウムは18年ぶり安値圏
一方で、軽希土類の一部はさえなさが続く。金属ランタンと金属セリウムはそれぞれ2005年以来およそ18年ぶりの安値圏にある。ただ、足元ではいずれも低値横ばいで、一段と下落するまでは至っていない。
金属ランタンの価格推移(99% FOB China)(S/Kg)
金属ランタンは9月初旬から仲値1Kg=3.65ドルで推移。
金属セリウムの価格推移(99% FOB China)($/Kg))
金属セリウムも9月は仲値1Kg=3.9ドルで推移。
<Topic>
9月26日
中国、2023年のレアアース生産枠は前年比14%増
中国情報工業化省と自然資源省は9月25日、それぞれのホームページ上で、2023年のレアアース(希土類)の生産枠を前年比14%増の24万トンにすると発表した。ロイター通信などによると過去最大の規模。
関連記事: 中国、2023年のレアアース生産枠24万トン 前年比14%増で過去最大 | MIRU (iru-miru.com)
9月26日
中国の学者、レアアースの電動採掘技術を開発
AFPが9月26日、中国国営通信の新華社の引用として伝えたところによると、中国の科学者が、風化殻レアアース(希土類)鉱の電動採掘技術の開発に成功した。レアアースの回収率が約3割向上するほか、不純物含有量は約7割減少し、採掘時間も7割短縮されるという。
9月26日
ベトナム、ドンパオ鉱山の生産を再開か
BNN Breakingなどの外電が消息筋の話として9月26日までに伝えたところによると、ベトナム政府は2024年にも西側諸国で最大規模のレアアース鉱床とされる北部ライチャウ省のドンパオ鉱山の生産を再開する計画とつれる。
関連記事: ベトナム、大型レアアース鉱床の生産再開か ドンパオ鉱、来年にも 外電報道 | MIRU (iru-miru.com)
9月25日
中国北方稀土、レアアース価格を引き上げ 受注好転で
中国国有のレアアース大手である中国北方稀土高科技は9月15日、プラセオジムやネオジムなどの主要レアアース原料製品の価格を引き上げたと明かした。磁性材などの主要な下流の消費市場の受注が前期に比べ好転したことが理由という。
関連記事: 北方レアアース:磁性材などの川下受注が好転 プラセオジム、ネオジム価格上昇 | MIRU (iru-miru.com)
(IR Universe Kure)
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