週刊バッテリートピックス 「コマツとGM水素電池で協業」「韓国4兆円の産業支援」など
2023年12月11日~12月16日のバッテリー業界では、相変わらず電気自動車(EV)向け電池を巡る各企業の動きが話題だった。コマツやパナソニック・エナジーが積極的なEV攻勢を仕掛ける中、ホンダの初代EVの生産終了など競争の激しさも浮き彫りになった。韓国が二次電池に巨額投資を決めるなど、国家レベルのバッテリー投資も注目された。
<国内>
●ホンダ、初代EVを1月までに終了へ 競争激化で
ホンダが同社初の量産型EVである「HONDA e(ホンダe)」の生産を来年1月までに終了することがわかった。日刊スポーツ(電子版)などが12月13日までに伝えた。
関係者からは「価格が高い一方で、航続距離が短く使い勝手がよくなかったのでは」との指摘があったとされ、競争が激化するEV業界での生き残りが難しかったようだ。
●コマツ、GMと水素燃料電池部品を共同開発へ
コマツは12月13日、自社ホームページ上で、米自動車大手のゼネラルモーターズ(GM)と、水素燃料電池モジュールの共同開発契約を締結したと発表した。鉱山開発向けダンプトラックに搭載する。
コマツ、GMと鉱山ダンプの水素燃料電池を共同開発へ 建機向け電池導入に急ピッチ | MIRU (iru-miru.com)
●パナエナジー、米スタートアップのシラとEV電池向けシリコン負極材の調達契約
パナソニック エナジー(本社:大阪府守口市)は12月12日、自社ホームページ上で、米電池スタートアップのSila Nanotechnologies Inc.(本社:カリフォルニア州アラメダ郡、 シラ)と、電池の負極に使用する次世代シリコン材を調達するための売買契約を締結したと発表した。車載用リチウムイオン電池の更なる性能向上を目指す。
シラは米政府から支援金を受ける喜悦のスタートアップ企業。11月末に米ワシントン州でシリコン負極材の工場に着工したばかり。
関連記事:米電池スタートアップのシラ、シリコン負極材工場に着工 初の車載向け、米政府が支援 | MIRU (iru-miru.com)
<海外>
●シンガポールのグリン・エナジーが日本進出 大型の電池貯蔵システムを建設へ
シンガポール拠点の再生可能エネルギー企業グリン・エナジー(Gurīn Energy Pte. Ltd.)は12月15日、日本進出を発表した。
日本最大規模の大規模リチウムイオン二次電池電力貯蔵システム(BESS、以下「大規模定置用蓄電池システム」)を開発・建設・運営する計画。東芝三菱電機産業システム株式会社が大規模定置用蓄電池システムソリューションを、日本工営エナジーソリューションズ株式会社が技術的コンサルティングとEPC事業者との仲介を、それぞれ請け負う予定だ。
関連記事: グリン・エナジー、再生可能エネルギーを巡り日本へ進出 | MIRU (iru-miru.com)
●韓国、二次電池産業強化に4兆円投資 2028年までの5年間で
韓国政府企画財政部は12月13日、ホームページ上で、二次電池産業の競争力強化方針を発表した。海外採掘権への投資に対して3%の税額控除を導入し、必須鉱物のサプライチェーンの安定化を支援する。2024年から2028年までの5年間で、有望な企業に対して38兆ウォン(約4兆1500億円円)を超える政策金融を供与し、設備投資の強化を支援する。
プレスリリース: Press Releases (moef.go.kr)
また、使用済み電池については、性能評価、販売前検査、販売後検査の3段階の安全検査体制で計画的に管理するとしている。一部は性能を復元して電気自動車用(再製造)に活用し、それ以外はエネルギー貯蔵装置(ESS)など残りの用途(再利用)に活用する。再製造や再利用が難しいバッテリーは、リチウム・ニッケルなど有価金属のみを回収する方式でリサイクルする。
発表を受け、14日以後の韓国株式市場では二次電池の関連株が上昇するなどの反応があった。
●中国・海南省で「世界新エネルギー車大会」、ファーウェイのEV充電スタンドなど紹介
中国海南省海口市で12月7日~9日、「2023年世界新エネルギー車大会(WNEAC)」が開催された。中国内外から約1000社が参加した。
このうち、EV関連では通信大手の華為技術(ファーウェイ)子会社が、同社の全液冷式超急速充電スタンドの設置拡大方針を発表。2024年から中国全土の340以上の都市と主要道路に10万基超のスタンドを設置するとの計画を示した。
新エネルギー車大会ホームページ: 新能源汽车大会 (wnevc.org.cn)
(IR Universe Kure)
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