緑川化成工業株式会社 真のクローズドループリサイクルへの道のり

2023年12月6日から8日までの3日間に渡って、東京都江東区の東京ビッグサイトにて「SDGs Week EXPO 2023」が開催された。
今回の記事ではアクリル製品のリサイクルと再製品化に心血を注ぐ、緑川化成工業株式会社のソリューションに着目する。
増え続けるアクリル需要と廃棄分
新型コロナウイルス感染症が社会を席巻してしばらくの時が経っている。
多くの企業が様々な方法で感染を阻止し拡散を抑止し、流行の防止に努めていった様子は記憶に新しい人も多いのではないだろうか。
そういった対策の中で用いられた方法の一つがアクリル板を使用した、物理的な飛沫防止の衝立であった。
新型コロナウイルス感染症の主な感染経路が飛沫感染であるため、お互いが会話する際の唾液などの飛散を抑止し、円滑に会話が出来る対策として様々なところでこの衝立は導入された。
今もなお飲食店や区役所などの公共施設で用いられる事も多いこの設備だが、場合によってはその対策基準の見直しから廃棄される事も増えてきている。
そしてこの際に問題となるのが、その処理方法だ。
アクリルはその多くが焼却処分、もしくは埋立処分という形で利用されているが、資源の継続利用という視点で見ると素材そのものを消失させる、あるいは対策を取らずに処分するという方針は余り好ましいものではない。
その上こういった用途で廃棄されるのはアクリルに留まらない。ポリスチレンなどもこの範疇に入ってしまうのである。
こういった素材を回収し、別製品という形で再製品化しようと努めているのが緑川化成工業株式会社である。
完全リサイクルとストーリーの付与
緑川化成工業株式会社は東京都台東区に本社を置く企業である。
プラスチック板や関連製品の生産、成形材料の開発などを手掛ける化学メーカーだ。
そんな同社が今回展示しているのが、多様なアクリル製品を含めたリサイクル製品である。
再生アクリル原料は多様な使い道があり、その一つとしては絵の具としての利用法だ。
回収されたアクリルをペレットとなるまで加工し、その上で絵の具に必要な色素を混ぜ込む事で再製品化したものである。
このペレットである「リアペレット」は他にもアクリルキーホルダーやブロック状の玩具といった用法にも用いる事が出来る。
CO2排出量を抑えた同社の製品「リアライト」という素材にもこのリアペレットは使われており、化粧品什器やアクセサリーといった用途で製品化されている。
こういった製品の再利用は、同社の理念としてリサイクル事業を通じて多くの人に仕事を提供し、素材をより良く循環させるという目的に寄ったものである。
そのリサイクルに掛ける胆力は伊達ではなく、アクリルパーテーションの水平リサイクルといった事も行っている。
経済産業省及び環境省から『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』に基づく自主回収・再資源化事業計画の第1号認定を受ける程だ。
会場内には回収されたペットボトルから作られた透明なPET製ゴミ箱や、PPバンドを再製品化して構成されたPPバンドといった完全水平リサイクルに成功した製品も展示されていた。
今後も製品のリサイクルを積極的に行い、これからの社会における重要な立ち位置を担っていくであろう緑川化成工業株式会社。同社の今後の事業展開にさらなる注目が集まっていくだろう。
(IRuniverse Ryuji Ichimura)
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